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聖女じゃないと追放されたはずなのに、何故か聖女の力で皆を治していたら、領主の兵士達に拘束されました

私はクリフに馬に乗せてもらっていた。


最初はおっかなびっくりだったけれど、慣れたら本当に快適だった。

後ろから支えてくれるクリフは口は悪いけれど、とても暖かかったのだ。

でも、そんなクリフの繰るホワイトから私は突然、落馬してしまったのだ。


「クリフ!」

私は慌てて叫んだのだ。


「ごめん、アオイ、急遽やらなければいけないことが出来たんだ。本当にごめんよ」

クリフは落ちた私を無視して急いで行ってしまったのだ。


「そんな、クリフ……クリフのバカ」

私は置いてけぼりを食ってクリフに恨み言を言っていた。



「お姉ちゃん、お姉ちゃんたら」

私は遠くから呼ぶ声にハッとして目を覚ました。


外は既に明るくなっていた。私は男の子につんつんと頬を突かれて起こされたのだ。


「あっ、元気になったんだ」

私は子供を見て喜んで言うと


「ありがとう、お姉ちゃんのおかげだよ」

子供がお礼を言ってくれるんだけど。


「父ちゃんも母ちゃんも妹も熱が下がったみたいなんだ」

男の子は嬉しそうに話してくれた。

私が皆のおでこを触ると本当に下がっていた。息も荒くない。


「ベン、元気になったのかい」

お母さんと思しき人がるを開けてベンに話しかけた。

「うん、このお姉ちゃんが治してくれたんだ」

「この方が」

お母さんは起き上がろうとした。

「大丈夫です。まだ完全に治っていないと思いますから寝ていて下さい」

私はそう言うと起きようとするお母さんを止めたのだ。

「それよりもすぐに食べられる物ありますか」

「パンが少し残っていると思いますが」

お母さんはベンに指示パンを持ってきてもらった。


昨日の昼からほとんど何も食べていなくて私はもうお腹がぺこぺこだった。

腹が減っては仕事が出来ない。

ベンからパンを受け取ると私は申し訳ないけれどむしゃむしゃ食べさせてもらった。

これから一仕事あるのだ。


たらふく食べると

「ベン、他にも病気の人がいるよね。私をその人の所に連れて行って」

「えっ、お姉ちゃん、皆も治してくれるの」

「できる限りやってみるわ」

私は頷いたのだ。

「じゃあ、デリアのところからで良い?」

「良いよ」

私は頷いた。



デリアの家はベンの家の隣だった。

「ベン、どうしたんだい。もう来てはいけないって行ったじゃないか」

そこにはまだ元気なおかみさんがいた。


「おばちゃん、病気を治してくれるお姉ちゃんを連れてきたよ」

「何言っているんだい。この病気を治せる人なんていないよ。あんたもここに近寄っちゃ駄目じゃないか」

おかみさんが言うが、


「このお姉ちゃんは治せるんだよ。俺も妹も母ちゃんや父ちゃんもキラキラ光るもので治してくれたんだ」

「そんなわけ無いだろう。あんたも余計なことをしておくれで……」

「ヒール」

おかみさんがあくまで断ろうというので、私は問答無用でおかみさんに向かってヒールを発動したのだ。

「えっ」

私の手から金色の光が光っておかみさんを包んだ。


「どうですか?」

私が聞くと

「うそだ……気分が良くなったよ」

おかみさんは驚いて言った。

このおかみさんも少しは病にかかっていたのだろう。


「お子さんたちはどこにいますか」

「えっ、こちらだけれど」

半信半疑でおかみさんが部屋に案内してくれた。

子どもたちは3人いた。それとお父さんと思しき人も。

皆、顔色も悪くて息も苦しそうだ。

もう躊躇していられない。


「ヒール」

私はペスト菌をやっつけるのと免疫の活性化を願ってヒールを一人ひとりにかけていく。

4人終わったときにはほっとした。


「ちょっとあんた、今度は皆熱が上がって真っ赤になっているじゃないか」

おかみさんが怒り出したんだけど。


「免疫を上げたから熱が上がったんです。明日には良くなっていますから」

「良くなるって本当なんだろうね」

おかみさんは半信半疑みたいだった。


「ベンの家族もそうでしたから」

私はそう言うと、まだ何か言いたそうなおかみさんを置いて行った。

時間がないのだ。

できる限り次々にやっていかないと。


ベンに連れて行ってもらってつぎから次にヒールをかけていく。

起きている人間は皆半信半疑だけれど、構うことなく私はヒールをかけていった。


でも、さすがに10軒も回ると私もフラフラになっていた。


私はベンに支えてもらってなんとか、ベンの家に帰ったのだ。

そのまま、ベンの布団に入れてもらってベンを抱き枕にして爆睡してしまった。




「いや、もう、驚いたのなんのって」

翌朝、私は大きな声で起こされたのだ。


「あっ、起きたかい」

そこには昨日のおかみさんが立っていたのだ。

「いやあ、本当に昨日は助かったよ。あんたが帰ったあの後、皆、熱が上がって大変だったけれど、今日になったみたら皆熱が下がっていたんだ。本当にあんたのおかげだよ」

おかみさんがお礼を言ってきたのだ。


「いえ、当然のことをしたまでです」

私は喜んで言った。

前の世界では私は治される方だった。治されなかったけれど……

でも、この世界では逆に人を治せている。

人を治せるってなんて素晴らしいんだろう。

それにとても幸せだ。


周りを見たら他にも何人か昨日治した家の人がいた。

皆が次々にお礼を言ってくれた。


それにベンのお母さんもお父さんも起き上がって動いていたのだ。

私の前に温かい朝食が置かれる。


「頂きます」

私は元気よく食べだした。

今日も病気の人を治しに行こうと思っていたのだ。できるだけ多くの人を治療していかなければいけない。今日は元気なこのおかみさんに連れて行ってもらおうと思った時だ。


いきなり扉がガラリと開いたのだ。


そこには武装した兵士が立っていた。

「領内で怪しげな術を使うという女はお前か」

兵士は目ざとく私を見つけると、ガチャリと私に手錠をかけてくれたのだ。


ここまで読んでいただいてありがとうございます。

よく捕まっているアオイでした……


続きは明朝です

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。
この話の

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でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。

しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。

この話の

フランの小さい頃の話はこちら


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上記のフランの子供の頃の物語です。

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