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プロローグ

初投稿ですので拙い部分もあるかと思いますがよろしくお願いします

 世の中は“壁”が支配している。


 部屋や敷地を区切る壁。

 家族や所属する国といった枠組みという名の壁。

 身体や性格などの個人間の差という名の壁。

 そして、努力して超えるのも壁。


 パッと思いついただけでもこれだけあるが、多くの人が一番に思いつくのはこれだろう。


 青空の下に出て、ちょっと周囲を見渡せば目に入るそれ。

 どこまでも高く続いている巨大な霧の壁はその存在を強調するように薄く発光している。


 その名は〈次元壁〉。


 俺たちヒトがこの世に存在したその時からそこに在ると言われているそれは四方八方を囲っ(とじこめ)て今日も人を世界を見守っ(監視し)ている。


 他の奴はこんな穿った見方をしないだろう。

 少なくとも俺は世界中から人が集まる学園の中でさえ同じ考えをしたやつに出会ったことがない。


 それならばなぜ俺がこんな考えを持つのかというと、ある人にそんな考えを語られてそれに感化されたからだ。


 それは薄れて霞がかかったように不鮮明なものに囲まれている中で今でも鮮明に覚えている何よりも大切な記憶の中の住人。


 あの夢を語るときのきらきらとした表情が、臨場感満載な体験談が俺を心の隅々まで魅了し、引きずり込んで離さない。

 誰よりも熱く真剣に、かつ楽しそうに語るその姿は太陽の光を独り占めしたかのようだった。

 夢を語るあの瞬間だけは間違いなくあの人が世界の主人公だった。



『なあ、ハーウィット』


『どうしたの? おとうさん』


『遠くに見える大きな雲みたいなやつ、何か知ってるか?』


次元壁(じげんへき)でしょ? それくらいしってるよ!』


『おおっ、そんなことを知ってるなんてハーウィットは凄いな!』


『ほんと!? ぼくすごい?』


『もちろんだ。なんたってハーウィットは俺の息子だからな。じゃあ、そんな賢い子にもう一つ質問だ。次元壁の向こうには何があると思う?』


『えっ。なにが……えーと………………わかんない……』


『大正解だ!』


『……え?』


『だから、正解は“わからない”だ! いやー、まさかこれにも正解してしまうとは、さすがハーウィットだな!』


『やったー!!』


『……なあハーウィット。次元壁の外には何があるのか気にならないか?』


『きになる!』


『俺はな、いつかあれの向こうに何があるのか知りたいんだ。俺的には俺たちを閉じ込めて暮らしやすいところを独占している奴がいると思うんだよなー』


『どくせ、ん?』


『独り占めってことだ』


『なにそれ、ずるい!』


『だろ? だから俺はいつか次元壁を壊してみんなが平等になれるようにしたいんだ』


『あんなにおおきいのこわせるの?』


『あれを造ってる奴がいると思うんだ。そいつを倒せばきっと壊せる! そのために父さんは鍛えてるんだ。めちゃくちゃ強いんだぞ~』


『ぼくも! ぼくもつよくなりたい! そしておとうさんといっしょにわるいやつをやっつける!』


『それは頼もしいな! ……よし、ちょっと早いような気がしないでもないが明日から強くなるための特訓をしようか!』


『うん!』



 初めて親父から夢を聞いたとき、そしてそれに感化されたときのことはこんなときでもこうやって一言一句思い出せる。


 次元壁を超えるためには力が必要だからと肉体を徹底的に鍛え、役に立ちそうな知識もできるだけ詰め込んだ。

 俺は天才ではなかったが努力だけは誰よりもこなしてきた自信がある。


 だから神様……



「ハーウィット・ゴルドー!! 貴様に決闘を申し込む!!!」



 そろそろ報われてもいいのでは!?



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