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プロローグ“始まりと終わり”

不束者ですがよろしくお願いします!

……とある部屋。

その部屋で、金髪を揺らし、身体を揺らされてもスウスウと寝息を立てながら熟睡している女の子が一人。神の子孫と呼ばれる全種属の血を引いた者。ベル=シレームである。ひたすら熟睡し続ける美少女に対し、少しづつ体重が掛かってゆく。そこまでして懸命に起こそうとする金髪緋眼、バストはEくらいか?の美少女。何故ここまで必死なのか?それは。「妹」から伝言を頼まれて、しかもそれが恐ろしく大事な用事だと言っていたが為に、ここまで必死なのだ。

「もう!速く起きなさいよ!」

と、金髪緋眼の美少女――もといベルの姉はゆらゆらと激しく揺さぶる。更には。その豊満な巨乳を擦り付ける。それ程までに必死なのだろう。対して本人のベルの方は紫色の目が半開きとなり、眠さも相まってフワァっと欠伸(あくび)をする。その姿は、男性が見れば即座に魂が奪われると錯覚出来る程の美貌だ。眠さで半開きの目、割と余裕のある年長者の貫禄。それら全てがマイナスでは無く、プラスとして反映される。ゆっくりとその紫色の瞳が開いて――

完全に開ききった。その金髪紫眼の寝巻き姿の美少女はベル。先程も言った通り、神の子孫とされている。無論、ベルの姉やまだ姿すら見ていないがベルの妹もであるが。そして、そのなかでも最弱がベルなのだ。ちなみにベルは次女である。順位を申し上げるとするならば、《1》ミナ。(ベルの姉)《2》リン(ミナに対し伝言を頼んでない方。)《3》スズ(ミナに対し伝言を頼んだ方)《4》ベル――である。ちなみに、ベルの実力は、人間達と同レベルである。


この世界には、種属毎に優劣がある。当たり前だが、千差万別だ。その中でも人間というのは世界で一番最弱の種属である。ベルのか弱さをその事実を持って知るべし。だ。


無論、そんな最弱、ベルは同時に才能があると信じられている。本来あり得ない事だ。けれど、彼女と彼女の姉妹達の種属からそう信じられているのだ。彼女らの種属は。《ユニハーフ》。全種属の血が流れる、史上最強の種属である。


そして、目覚めた眼をゴシゴシと強めに擦り、まだ眠くて怠い身体を起こす。そして、ベルが口を開く。「うん。起きたよ。ミナ姉。そこまでして起こしたんだしさ、なんか理由があるんだよね?」と。その問いに対し、「勿論」とミナが答える。そして、彼女は告げた。「スズが呼んでたわよ?」っと。その言葉を聞き、少し、ベルは憂鬱になりながらも、可愛い妹の為と割り切り、自室を抜けた。


ゆったりと歩いてミナ姉から聞いた待ち合わせ場所に向かう。そして、ふと、「今日の天気、晴天だぁ。」と呟いた。何故かはわからない。やはり晴れというのは本能的に良い事に感じるのだろう。そんなふうに考え、ベルは待ち合わせ場所に着いた。


――全智之図書館――

ここは、あらゆる本が集まる場所。無論、教育に悪かろうが良かろうがあらゆる本がある。そして、その部屋(部屋なんてレベルの小規模じゃ無いが。)の大広間の真ん中の席。そこに金髪碧眼、ロリータを着ている、スズ=シレームである。まぁ、系統で言うと、ロリだ。そこに何の迷いもなく、金髪ロリロリータの前に座る。そして、本題について聞き出した。

「一ついいかな?スズ。どんな用なの?」

と、単刀直入にそのまま聞いてみる。すると、スズは憂うような、悲しむような、寂しがるような表情を浮かべ、こう告げる。

「…‥私達。いや、この国の存続に関わる大事な話。」

と。

私は、言った意味を吟味し、咀嚼して、理解した。妹の言ったことは本当だ。じゃなければ、国レベルの話を魔力特性(センスアーツ)しない。そこまでベルが理解した所で、ベルは驚愕する出来事を言い放つ。

「私、魔力特性(センスアーツ)『予知夢』で見たの。この国が白い霧に呑み込まれる所を。そして、その霧がここに住む者達を消滅させていったことを。」

と言った。本来ならその話は悪い夢でも見たんだと言える。けれど、この世界には、特性があり、その特性は、おおよそ三つに分かれる。まず、魔力の特性を魔力特性(センスアーツ)と呼ぶ。次に、固有の特性を固有特性(ワン•オブ•アーツ)と呼ぶ。最後に種属としての特性を、種属特性(アーツ)と呼ぶのだ。そして、その中の、魔力特性(センスアーツ)をスズは使用して、事実を体験()たのだ。ならば、それは事実だろう。ベルとスズはそこから対抗策をどうにかして見つけようとする。

しかし、対抗策は分からなかった。けれど、どんな相手なのかは分かった。

この世に棲まう、七体の災厄。通称七大災禍。モンスターの中でも一番強いモンスターの王者。【伝説災禍(レジェンド)】。その内の一体。《消霧の怪物》“ワルプルギス”だ。


ワルプルギス。そんな化け物と戦う事になるなんて。――と、ベルとスズは思う。その後は二人共黙考していた時だった。突如破壊音が鳴り響き、城の外壁が破砕する。その瞬間。チラリと巨大な眼が見える。その蒼眼はまるで、深海より更に仄暗い蒼だ。どちらかと言うと藍眼だ。そんな眼を此方(こちら)に向けて、ゆっくりと歩き出す。丁度外壁の破砕された所から居なくなったと同時にベルとスズは下を見る。そこには、沢山の想い出を作った感慨深い中庭が変わり果て、崩壊していた。そんなとこにベルの妹にしてスズの姉。

リン=シレームが走っていた。

ベルは、「待ちなさい!リン!行くな!駄目っ!辞めなさい‼︎」

先程、化け物として知識が入ったのだ。そんな化け物の前に立つなんて無謀過ぎる――っと、ベルは思った。しかし、リンは聞こえないフリをして、唯ひたすらに駆けてゆく。

「今までありがとね。ベル姉。」

とリン以外に聞こえない呟きをして。

直後、白い白濁が城内と中庭に立ち込める。ベルとスズはそれが何か知っている。だからこそ、全力で逃げた。逃げた。逃げたのだ。ただひたすら何もできず、抗えず。《逃亡》。命がある。五体満足だ。でも心は少しづつ自分に対し嫌悪する。それでも、尚逃げる。けれど、そんな必死の逃亡も功を奏さない。スズがこけた。そして、霧に呑まれた。ベルはひたすら、自分の不甲斐なさに涙を流して、悲鳴を上げる。

「うわぁぁぁぁぁ!」

と、城内に絶叫がこだまする。そして。ベルはヘタリと座り込んだ。胸中で、「死にたく無い死にたく無いでも。スズもリンも死んだ。どう。すれば?」などと疑問が浮かび続ける。そして、ふと頼れる姉の事を思い出す。「み……な。そうだ。ミナ姉なら。何」グシャリグシャリグシャリ。

ボリボリッ。ミチミチッ。そんな咀嚼音が城外から聞こえてきた。

ワルプルギス……だ。そこには、人――だったのだろうそれが赤黒い液体をワルプルギスの口元にベットリと貼り付けている。そこで(ようや)く。

“姉妹が全滅”した事を理解した。ホロホロと涙を零し、キッとワルプルギスを睨みつける。そこで、初めて、覚えた事の無い感情が浮かぶ。これまで、人となりとしては、馬鹿とも呼べる程に心優しい者だった。けれど、今、手にした感情は。そんな人となりとは関係無いぐらいドス黒い感情を持った。


《殺意》。

それも純粋に仇に対する殺意だ。

ベルは一周回って冷静になった。自分との実力を考えても、ここで、逃げ切らなければ“殺意”を向けることも、“仇打ち”する事も許されない。決死の覚悟で城から飛び降りる。








ベルは、ここで覚醒した。まだ小さな覚醒だ。けれども最弱は今から災厄に復讐の宣戦布告を申し込むのだ。覚醒なんて、幾らでもしよう。これから現れるであろう厄災たちも、今目の前で理不尽に姉妹を奪ったクズもいつかは絶対に倒す。それが彼女、――ベルの覚悟。

そして、それに呼応するように、竜人属の最強の種属特性。“ 各竜息(ブラスター)”。それの一種。

旋風之竜息(サイクロン•ブラスト)‼︎」

そうベルが叫び、それに呼応するかのように霧が霧散し、命からがらと形容するしかないように近くの森へと身を投げた。

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