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2話/魔力さんこんにちは

6歳になった。


 そう、もう6歳になってしまったのだ。


 この世界に来て1番ワクワクした魔法の感想を言おうと思ったのだが、なんとこの世界、魔法は7歳からしか使えないように生まれた時に制約を課せられるのだ。

 

 ちゃんとした適正と指導を受けないと魔力が暴走して体が爆発するやら、魔力を蓄積させる体が出来上がるのは7歳が基準になっているだとかでこの6年間一切の魔法を使わせて貰えなかったのだ。


 だから俺は剣術に打ち込んだ。


「やぁ!」


「甘い!」


 振り下ろした木刀の威力を相手が抑えるように自分の木刀と交わせ、剣先を俺の木刀の根本に這わせ、巻き上げる。


 俺の木刀が手から離れ、宙を舞う。


「あっ…」


「よいしょー!」


 頭に木刀が振り落とされ、気持ちの良い音が鳴り響いた。


「坊っちゃんは筋はいいんですが、変なクセがあるようでして」


 今日俺の相手をしてくれたのはこの屋敷の護衛を任されているシルバーさんだ。


「でも坊っちゃんは剣の才能が中の上ぐらいあるんでこのまま努力を続けていればすぐ強くなれますよ!」


「励ましの言葉になっとらんやんけ」


「あぁっ、すみません」


 剣道全国大会優勝経験者の才能が中の上とは、この世界の基準は高いんだなぁ。


 まぁいい。今の俺には剣よりも大切なことがある。


 「アレスー!夕飯できたわよ!」


 あと、言い忘れていたがこの世界での俺の名前はアレス・エンフィールドだ。


 「今行くよ!」


 今日は大切な話があるそうなので少しウキウキしながら食卓へ向かう。話の内容は大体分かっているからだ。


 食卓には豪華な料理が並んでいた。


「ついにこの時が来たな!アレスよ!」


 父、グレン・エンフィールド。情熱的で賢く、俺が剣を習いたいと言えば、すぐに高級な木刀を用意し、応援してくれた。

 

 父は強くはないが商人として成り上がり、尊敬できる。


「アレスはずっと待ち望んでいたものね」


母、ミレーユ・エンフィールド。優しく、おっとりとしているが、父は母に頭が上がらない。よく、魔法を見せてくれる。


「父上、母上、俺、ついにっ…!ついに!」


「あぁ、7歳の誕生日だ」

 

「ぃやったぁー!!」


 立ち上がり、口の中に含んだ肉が飛び散る程声を上げる。それほど嬉しいのだ。やっと魔法が使える!


「汚いから座りない」


母の鋭い視線が突き刺さる。


「あ、はい」


「オホン!」


 父が咳払いをし、話を続ける。


「アレスよ。魔法が使えるようになるのは7歳からだと言ったがすぐに使えるようにはならんぞ」


「分かってるよ。次の4月に学園に入学してそこで魔法の指導を受けるんだよね」


「そうだ。学園で指導を受けながら魔法を使っていく。魔法属性の適正もその時に確認するんだ」


「それまでに出来ることはない?」


「そうだな。明日には制約が無くなっていると思うから、瞑想をして魔力を自分の中で感じたり、循環してみたらどうだ?」


「学園に入る前にやってもいいの?」


「まぁ、そんぐらいなら問題ないな。魔法を使うのが学園に入ってからだというルールだからな」


「分かった!」


 夕食を食べ終え、すぐにベットに向かう。


「明日からってことは12時ってことか。あと3時間後ね」


 当然、12時になった瞬間に瞑想をするつもりだ。


3時間だけ寝ておくか。


 俺はベットに入り、12時になるまで寝ようと思ったが、まるで明日遠足にでも行く子どものようにワクワクして眠れなかった。

 

 チクタク……チクタク……


 針が動くのを目で追う。


 チクタク……


 あと10秒……


 よし!12時になった!


 瞑想を開始しよう。やり方は既に確認済みだ。


 目を閉じて血の流れを意識する。


 深呼吸をし、体をリラックスさせ、体内だけに集中させる。


 ホワッ


 心臓のあたりで温もりを感じた。


 その温もりを感じながら体中の端から端まで意識を巡らす。


 体が熱い。それと同時に血液が体内を循環するのをイメージを持つ。


 ぐるぐる……ぐるぐると暖かいものが巡る。


「これが魔力か」


 アレスは今日初めて魔力を感じることができた。





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