ファースト・エンカウント
よく晴れた空の下の森の中。それは、突然の出会いであった。
俺と目と鼻の先の茂みから唐突に何か飛び出してきたっ!
「GuGYAOooooooooAAaaaa!!」
それは四本足で立っているという以外はなにもわからない未知の生物だった。ノイズの様な叫び声を上げて俺を睨んでいる。 睨んでいる? 眼?そんなのないぞ、代わりに穴みたいなのが空いてるが、もうひとつ涎みたいなのが垂れてるから口だろう。なんだコレ、本当に生き物なのか?
いや、そんなに一瞬冷静になれるほどのアドレナリンか何かが俺の脳味噌で分泌されまくっている。
時間がスローモーションになってゆっくりに感じられる。
頭がカァっっと熱くなり、全身から汗が噴き出すのがわかる。
でも、俺もやり忘れてたことあったわ。 あダメだ、もう我慢できn
「で、でぇたあああああああああああ嗚呼ああああぁぁっぁぁ!!?!」
☛モンスターが現れた! コマンド?
「やってる場合かよっ?! てか選択すべきはたったひとつっ!!」
………よしっ!
「逃げるんだよおおおおおおおおお雄おおおおぉぉぉぉっっ!!」
そう逃げるが勝ちという言葉があるのだからっ!当然の選択だなっ!
☛サバ缶は敵に背中を見せて逃げ出したっ!
「GuBABaBaBaBaBaBaBaBaBa!!」
☛だがしかし、サバ缶は敵に追い付かれてしまった!
☛モンスターの攻撃!
モンスターから突進を受けて俺はまるでボールかなんかみたいに吹き飛ばされる。
「ぐふおぇっ!!」
10メートル以上吹っ飛ばされて木々の枝をへし折りながら藪の中に突っ込む。
「ぐっ…!ガチで痛ぇ。この感じはやばいぞ。ス、ステータス!」
サバ缶
しょくぎょう:ヴィーガン
HP: 136/257 (+2)
MP: 97/98 (+1)
そこぢから:67 (+1)
じょうぶさ:98 (+1)
みのこなし:83 (+2)
かっこよさ:2 (+1:ヴィーガン)
「げっ?! 100以上はダメージ食らってんぞ!」
俺の【丈夫さ】が単純に防御力としてさっき化け物から喰らったダメージをゲームみたいにアルテリオス計算式で考えると、アイツは少なくとも200以上の攻撃力を持っていることになる!
そんなの序盤で登場していいモンスターじゃあねえだろおがよぉっ!
あの似非関西弁の露出狂め!何がスタート地点だ!こんなの地下世界スタートの〇QⅢみたいなもんだろう。しかも勇者一人旅の装備縛りでな!
「BUBABaBaBaBaBaBaBa!!」
やべ!来やがった!隠れられるか?!
俺は咄嗟に昨日食糧探しで茂みに掘っていた穴に潜り込む。
「BUBUBUBU!! GYGYGYGYGYGY!!」
相変わらず不気味な鳴き声を上げながら近くの茂みに頭?を突っ込んで俺を探している。
一体何なんだあ?こんな奴らが一般のモンスターなのか?
速攻でエンカウントしてたら、俺余裕で初日からピチュってたなあ。
「BUBU!!BIBIBI!!」
にしてもまだ諦めないか。あんな奴の攻撃をあと一発でも喰らったらアウトだ。
だんだんアイツとの距離が近づいてくる…俺は唯一の武器であるミキサーを手に身構える。
と、急に少し離れた場所から
「ガサガサッ!」
「GuBABaBaBaBaBaBaBa!!」
モンスターが揺れた茂みから飛び出した何かを追っていった。
今ですっ!誰かの叫び声が聞こえたような気がした。 どの孔明かな?
俺は急いでその場を離れると必死に走って距離をとった。
暫く走り続けて、見晴らしのいいところまでくると周りを警戒してから地面に座り込む。
「ハァ…ハァ…畜生め。なんだってんだ? …ハァ、喉渇いたな」
俺はその辺の種類の違う草をミキサーに適当に放り込み稼働させる。
「ギュウイイイン!! チーン! シュポン」
「ゴクゴクッ! …プハァ。生き返るわホント」
ステータスを確認する。
サバ缶
しょくぎょう:ヴィーガン
HP: 170/258 (+1)
MP: 96/98
そこぢから:68 (+1)
じょうぶさ:98
みのこなし:84 (+1)
かっこよさ:2 (+1:ヴィーガン)
「HPの回復が足りないな。とにかく後2本はつくって飲んでおくか」
俺は立て続けにその辺の雑草から作ったジュースを一気飲みしていく。
「プハァ。 …とりあえず、肉はまだ暫くお預けだな」
そう言って俺は地面に仰向けに倒れこんだ。
焼肉食いたい(真理)




