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77日目(異世界)前編

本日2回目の投稿です。

1話目まだのかたは、そちらからお願いします。


朝食後、応接室に来ている。

「おはようございます、狭間さん」

「おはようございます」


教会の司祭、イヴォンさんだ。


「どうですか?

教会の生活には慣れましたか?」

「はい、快適すぎます。

一度ここに住んでしまったらなかなか元には戻れませんね」


「それは良かった。

仕事の方はどうです?」

「はい、昨日の狩りも問題ありませんでした。

ラルフさんがいましたし、安全な狩りですね」


「そうですね。

貴族の子供ですからできるだけ安全にステータスを上げる必要があるんです。

そうすると、魔石の補充、狩りへの同行についての仕事は問題ないようですね。

何か疑問などありますか?」

「いえ、報酬も含め大変満足しています」


「フリーの職員は貴重な人材ですからね。

満足していただけて嬉しいです。

それで、今日はまた新しい仕事を1つ頼もうと思っていまして」

「新しい仕事ですか」


なんだろう。

基本は魔石の補充だけだと思っていたからな。


「えぇ、今回は魔石の生成です」

「魔石の生成は【錬金術師】ではないんですか?」


「そうですね。

もちろん【錬金術師】は必要です。

ただ生成する際には、補充する人間も必要なのです。

そうですね、詳しくは実際にやってみてもらいましょう」


「まずはこちらに着替えていただけますか。

それからこの杖を装備してください」

「着替えが必要なんですね」


おぉ、ものすごい高そうな装備だ。

白い法衣には細かい刺繍がしてある。

帽子の方には宝石がはめられている。

魔石だろうか。


そしてデカイ杖。

両手杖という感じだ。

とても片手では持てない。

これまた先端にデカイ魔石がついている。


……怖くて値段が聞けないな。


「【錬金術師】もそろそろこちらに来る頃です。

魔石の販売所までいきましょう」

「わかりました」


ぁ、もしかして【錬金術師】の先生ってカルディさんのことだろうか。



「おはようカルディ」

「やぁ、イヴォン」


2人は昔からの知り合いなんだろうか。

お互い呼び捨てだ。


「おはようございますカルディさん」


「おや?

お二人は既に知り合いだったようですね」

「はい、カルディさんにはいつもお世話になっています」


カルディさんは無言で微笑む。

「では早速やってもらいましょう。

カルディ、お願いします」

「えぇ、【魔導合成】である程度の魔石はできています」


ゴトッ!

カルディさんは灰色の魔石を台座に置く。


カルディさんが魔石に手をかざすと、魔石が強く光りだす。

しばらく強い光を放ち続ける。


「【魔導命令】が完了しました」

「では狭間さん、魔石が光っている間に【エリアヒール】を10回ほど撃ち込んでください」

「わかりました」


僕は魔石に手をかざし、【エリアヒール】を10回ほど撃ち込む。

魔石の補充のときとほぼ同じだ。

ちなみに魔石を握りながらでもできるし、少し離れていてもできる。

あんまり離れると【魔力操作】が不足して届かなくなる。


【エリアヒール】の撃ち込みが終わると、魔石の光が弱くなり灰色だった魔石が淡い緑色になる。


「できました」

「これで完成です。

ではカルディ、またよろしくお願いします」

「えぇ、狭間さんもまた後ほど」


魔石の生成って意外と短時間で終わるんだな。

いや、もしかしたらこの準備に時間がかかっているのかもしれない。


「では狭間さん、報酬をお渡ししますので応接室へ」

「はい、わかりました」


僕は応接室で報酬をもらう。

なんと6000セペタだ。

同じことをやったのに補充のときの2倍である。


「またお願いします。

アインバウムで【エリアヒール】の魔石が普及すれば、補充の仕事のほうも増えてくると思います」

「わかりました」


それはそうと気になることがある。


「あの、補充のときは僕の神聖や魔力で大丈夫なんでしょうか」

「あぁ、そのあたりの説明がまだでしたね。

補充は問題ありません。

というより、魔石の補充はその魔法さえ使えれば誰がやっても変わらないんですよ」


マジかよ!


「えぇ!

ステータスは影響しないのですか?」

「あくまでも補充のときは、です。

先程魔石を生成しましたが、あれは狭間さんのステータスが影響しています。

そのため今日は装備を一時的に変えてもらいました。

まだ狭間さんの神聖や魔力はそこまで高くありませんから、王都で売っている【エリアヒール】の魔石より安くなってしまいますね。

ただしカルディのステータスと【魔導合成】【魔導命令】が高いため、そこまで減衰しないんです」


「減衰……ですか?」

「そうですよ。

魔石の魔法は、直接使用する魔法よりも威力は低いんです。

ですから先程の【エリアヒール】は実際に狭間さんが使う【エリアヒール】のおよそ80%くらいのものになりますね」


「なるほど」

「【魔導命令】を得たばかりの【錬金術師】の場合、ステータスにもよりますが50%くらいになってしまうんです。

さらに王都に仕える【錬金術師】は100%を越える魔石を生成することもできるようです」


100%越えって普通に魔法使うよりも、魔石で魔法使ったほうが強くなるってことか。

それは凄まじいな。


「そうなんですね。

せっかく【エリアヒール】の魔石を生成したのに、なんだか申し訳ないです……」

「いえいえ、そもそも【エリアヒール】の魔石を生成できるようになったこと自体大きなことです。

もし【エリアヒール】の魔石を買って仕入れる場合、相当な額になってしまいますからね。

ですから、狭間さんのステータスが上がれば生成時の報酬も上がりますよ」


「ありがとうございます!

頑張ります!」


イヴォンさんはニコリと微笑む。


しかし、教会はものすごい金額が動くな。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ボロもうけうらやま
[一言] イヴォンさんとは宗教的な話は一切なくて、ビジネスの話しかないから宗教家っていうより、教会という魔石事業を牛耳る企業のFC経営者っぽい。 終始にこやかな対応だけど、教会の権益に触れたら恐ろしい…
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