76日目(異世界)
今日の午前中は接待狩りの同行だ。
2回目のため、子供たちの同行は僕とラルフさんだけ。
ウォルターさんは教会で魔石の補充だ。
前回同様、ラルフさんの見事な双剣で魔物が次々に殲滅される。
僕は子供たちに【プロテクト】【バイタルエイド】をかけていく。
ウォルターさんがいないので、【リヒール】は無しだ。
そのうち【リヒール】も覚えたい。
子供たちは前回と数人入れ替わっている。
ローテーションが決まっているのだろうか。
そして、これまた前回同様にラルフさんが数匹だけをこちらに通す。
安全な接待狩りである。
しばらくの間奥へ進むとマッスルゴートがいた。
「おい……
今回も出たな……
マッスルゴートだ。
新入り、攻撃魔法で雑魚どもを殲滅できるか?」
「はい、マッスルゴート以外は動きも遅いですし大丈夫だと思います。
2匹くらい残しつつ殲滅ですね?」
「わかってんじゃねぇか。
じゃぁ任せたぞ。
ヤバいと思ったらすぐに呼べ」
「はい」
ザッ!
僕の返事が終わるか終わらないかくらいのタイミングでラルフさんがマッスルゴートへ突っ込む。
マッスルゴートの動きやラルフさんの動きを見ておきたいが、子供たちの安全を第一にしなければならない。
僕は【ファイアアロー】と【氷結】【ショットストーン】をメインで使っていく。
【エアブレード】の攻撃力が一番高いが、できるだけ病室で鍛えにくい魔法を使っておきたい。
マッスルゴート以外の魔物は、スライム、ゲルカメレオン、パラソルフラワーといった雑魚だから【エアブレード】で無くても余裕で倒せる。
そして、ジョブは【聖職者】だ。
【聖職者】を教会のアベレージくらいまで上げておきたい。
うん。
余裕だ。
常に2匹だけをこちらへ引き寄せながら、魔物が増えてきたら魔法で倒していく。
それから、子供たちもなかなかの攻撃力だ。
魔法を使っている子も少しだがいる。
ただしMPがすぐに切れてしまうようで、弓に切り替えて攻撃をしているようだ。
おかげで僕のほうに余裕ができる。
ラルフさんとマッスルゴートの戦いをよく見ておく。
マッスルゴートもそれほど動きが速いわけではない。
ただ、一発の攻撃力がデカそうだ。
あれなら僕でもなんとかソロで狩れないだろうか。
1対1ならいけそうだな。
ただ雑魚が結構いるから、完全なソロ狩りは厳しいかもしれない。
様子を見ていると、ラルフさんがマッスルゴートを倒してしまう。
また首から上だけを攻撃してくれているので、素材を回収できる。
僕はまた素材の半額をラルフさんに支払うことで、素材を手に入れた。
「時間はまだあるな。
おい新入り、まだMPはあるか?」
「はい、大丈夫です」
「どうする?
奥に行くか?」
「はい、行きたいですね」
まだまだMPがある。
是非行きたい。
「じゃぁいくぞ」
「「「はい!」」」
子供たちも元気よく返事をする。
奥に行く前に、補助をかけ直しておく。
「ぁ〜……
新入り、あれが見えるか?」
ラルフさんの指差す方向に黒っぽい殻をかぶった魔物がいる。
初めて見る魔物だ。
「あれがロックアルマジロだ。
マッスルゴートと同じく素材は1500だな。
ただし、傷つけずに倒すには魔法が必要だ。
お前攻撃魔法は何が使える?」
僕は自分の習得している攻撃魔法をラルフさんに説明した。
「じゃあ【氷結】だな。
新入りはロックアルマジロにひたすら【氷結】使っとけ。
あとはガキどもへの補助を切らすなよ」
「はい、わかりました」
僕はロックアルマジロの方へ近づく。
周りの魔物はラルフさんが片っ端から殲滅してくれる。
ロックアルマジロが僕に気づき、ギュルギュルと回転し突進してくる。
今だ!
【氷結】!
ピシッ!
ロックアルマジロの身体の一部が凍り、動きが鈍くなる。
おぉ、これなら連続で当てられるな。
弱点が氷か?
ロックアルマジロはこの辺りの魔物では1番素早いが、動きが直線的で対応しやすい。
【氷結】も一発で当てることができた。
さらに一度【氷結】を当てることで動きが鈍る。
僕は【氷結】を連発して仕留めることができた。
ラルフさんもほぼ殲滅を終え、残りは子供たちのところにいる2匹の雑魚だ。
「よし、素材に傷が殆どないな。
おいどうする?
お前これも買ってくか?」
「ロックアルマジロも防具の素材になるんですか?」
「まぁな。
盾がいいんじゃないか?
お前【聖職者】のくせに盾持ってるし」
「おぉ、盾の素材なんですね。
購入したいです。
ありがとうございます」
「よし、そんじゃ帰るか」
「「「はい!」」」
子供たちが元気よく返事をする。
そうか、そろそろ昼か。
「すみません、僕残って狩りをしたいんですが良いでしょうか?」
さっきの狩りで、僕が脅威とする魔物がほぼいないことが分かった。
苦戦するとしたらマッスルゴートだろう。
このまま帰るのは勿体ないので、もう少し狩りをして帰りたい。
「ん?
別に構わねぇが帰りは歩きだぞ」
もちろん歩きだろう。
そこは気にするところなんだろうか……
「はい、大丈夫です」
「ソロはMP切れたら終わりだから気をつけろよ」
「はい、わかりました!」
「じゃぁ素材は馬車で運んでおいてやるから適当に狩りして帰ってこい」
子供たちとラルフさんは帰っていった。
僕は1つ手前の狩場へ戻る。
さっきマッスルゴートがいたところだ。
魔物はまだそれほど湧いていないな。
少しずつ出てくる魔物は、魔法で殲滅しておく。
この狩場は現状の僕のステータスだとかなり丁度いい。
魔物の動きが遅いし、魔法も効果的だ。
ただし、素材がよろしくない。
ラルフさんの話だと、マッスルゴートもロックアルマジロも1日狩りをしても出ないこともあるそうだ。
だから冒険者達には人気がなく、接待狩りに使われるのだろう。
そしてそのまましばらく狩りを続けたが、マッスルゴートもロックアルマジロも出現せずに雑魚を倒しただけだった。
◇
MPが減ってきたので、アインバウムへ帰る。
道具屋では、毒の実の毒抜き、【創造】での食器づくり、ポーションと毒薬の生成を一通りする。
ラルフさんからマッスルゴートとロックアルマジロの素材を買っても6000セペタ近くの収入になった。
やはり狩りの同行と、魔石の補充はかなりの収入だ。
明日もあるのであれば、参加したい。
狭間圏
【聖職者:Lv19(↑+1)】
HP:246/246
MP:6/488【聖職者:+49】
SP:0/91(↑+4)
力:21
耐久:58
俊敏:37【聖職者:-2】
器用:14
魔力:35(↑+2)【聖職者:+39】
神聖:73【聖職者:+49】
【炎魔法:Lv35 ファイアアロー:Lv2(↑+1)】
【水魔法:Lv33(↑+1)氷結:Lv3(↑+2)】
【土魔法:Lv28(↑+1) 創造:Lv18(↑+2) ショットストーン:Lv2(↑+1)】
【毒薬生成:Lv3(↑+1) ポーション生成:Lv2(↑+1)】
【補助魔法:Lv29(↑+1) プロテクト:Lv54(↑+1) バイタルエイド:Lv54(↑+1)】
【etc.(27)】




