66日目(日本)
うっ……
ここは……
そうか……
病室だ。
オレは日本に戻ってきたのか。
身体は……
動かない……
そういえば、異世界では全身の猛烈な痛みで意識を失った。
今はというと、痛みは全く無い。
頭もスッキリしている。
ただ……
バックン!
バックン!
心臓の鼓動と高揚感がすごい……
とにかく誰でもいいからすぐにぶち殺してやりたい。
病室にはガキとジジイが何人かいる。
準備運動にもならないほどクソ雑魚だろう。
だが、ぶち殺す!
視界に入ったものを殺さずにはいられない……
「……………………」
ダメだ……
身体が動かない……
クソッ!
今すぐにでも殺してやりたい!
いや。
いやいやいや。
何を考えてるんだ?
殺していいわけないだろ……
いや、視界に入ったら殺すだろ……
いや、ダメだろ……
クソ!
どうなってんだ?
ふと冷静になる。
いやいや殺すとか無いでしょ。
ステータスを確認する。
【狂戦士】
これだ!
カチャリ
ジョブを【聖職者】にする。
心臓の鼓動が収まる。
先程の殺意がウソのように無くなる。
あっぶねぇ……
ノーツさんたちは無事だろうか。
殺意が無くなり、初めてまともにノーツさんたちのことを考えられるようになってきた。
僕は今巣穴の前で、大量のシングルヘッド、ダブルヘッドの死体とともに転がっているんだろう。
巣穴のノーツさんもそうだが、僕も結構やばいよな……
だれかに見つけてもらうか、明日自力で帰るしか無いよな。
僕はもう一度ステータスをよく確認してみる。
あれ?
ジョブにはもう【狂戦士】は無い。
一時的なものだったのだろうか。
凄まじい強さだった。
だけど、あの殺意はどうしようもない。
それから、あの全身の痛みはなんだったんだ?
ん?
ステータスも変だ。
HP:119/244
MP:252/448
SP:0/54
ぇ?
MPが全快じゃない。
病室でMPが減ってるところなんて初めて見た。
HPも減っているし、SPも0だ。
とりあえず、【ヒール】で回復しておこう。
僕はHPを全快にする。
おぉ、MPは今はもう全快だ。
SPも徐々に回復している。
ん〜……
おそらく【狂戦士】がMPやSPを消費するんだ。
そして、SPとMPが枯渇したところでHP消費、それと同時に全身の痛みってとこだろうか。
だとすると、僕じゃなきゃ死んでたんじゃないか?
あのままHPが減っていたら完全にアウトだよな……
さらに、身体が動かないことに助けられたな。
動いていたら病室の人を手にかけてしまっただろう。
考えただけでもゾッとする。
それからあれだけの数の魔物を倒したのに、ステータスが上がっていない。
【狂戦士】ではステータスは上がらないのか?
ぁ……
あとはスキルだ。
【狂戦士】のジョブは無くなっているけど、【フレアバースト】と【狂乱の舞】はある。
おぉ!
あの強力なスキルを使うことができるってことか!
あぁ、そうだ。
いろいろあって手が止まってしまったな。
僕は自分に【プロテクト】と【バイタルエイド】をかける。
これから病室では常に補助魔法を使おう。
【ヒール】などの【回復魔法】と違い、【補助魔法】は効果さえ切れてしまえば何度でも使うことができる。
病室で強化するにはもってこいだな。
できれば【ストレージ】も鍛えたいが、今はSPが無い。
SPが回復してきたら、【ストレージ】と【炎魔法】、【水魔法】をそれぞれ鍛えよう。
とにかく命は助かった。
あとは異世界で目を覚ましたら、街を目指そう。
そんなことを考えながら就寝した。
ところが……
翌日目を覚ますと、そこは病室だった……
狭間圏
【聖職者:Lv18】
HP:244/244
MP:498/450(↑+2)【聖職者:+48】
SP:0/59(↑+3)
力:21
耐久:57
俊敏:37【聖職者:−2】
器用:14
魔力:31【聖職者:+38】
神聖:71【聖職者:+48】
【炎魔法:Lv30(↑+1)】
【水魔法:Lv25(↑+1)】
【補助魔法:Lv12(↑+3) プロテクト:Lv17(↑+6) バイタルエイド:Lv17(↑+7)】
【マルチタスク:Lv25(↑+1)】
【etc.(29)】




