65日目(異世界)後編
「グオゥッ!
グオォォォゥッ!!」
トリプルヘッドが叫びだす。
「片目ぐれぇでうるせぇ野郎だな。
6つもあんじゃねぇか」
トリプルヘッドが4本ある手の一本を大きく振りかぶる。
「ガァッ!」
凄まじい風圧とともに腕が振り下ろされる。
ガシッ!
オレはそれを片手で受け止める。
「クソが!
散々いたぶっておいて、てめぇは目の1つで騒ぎすぎだ」
メキメキメキッ!
ヤツの力で身体が地面にめり込んでいく。
「あぁ、そうだ。
その右のヤツ、ニタニタしやがって……
てめぇが一番むかつくんだよ!」
オレは右のトリプルヘッドの口に拳を突っ込む。
「【フレアバースト】!」
バゴォォーン!
トリプルヘッドの右の頭が爆発とともに燃え上がる。
ん?
【フレアバースト】?
知らねぇな。
スキルか?
「グオォォー!」
トリプルヘッドは叫びながら4本の手を高速で振り回す。
風圧が物凄いが、今のオレには遅すぎる。
「おいおい、魔法は効かねぇんじゃなかったのか?
随分苦しそうじゃねぇか!」
4本の手が上下左右から襲ってくる。
「アハハヒャ!
おせぇ!
おせぇんだよ!」
オレはトリプルヘッドを蹴り飛ばす。
ズザァー!
数メートル後ろへ吹っ飛ぶ。
「しかしあれだな、素手はやりづれぇな……
おぉ、いいのあんじゃねぇか」
大きめの片手剣だ。
そこらに転がっている冒険者のものだろう。
手にとって感触を確かめる。
軽い……
まるで小枝のようだ。
「これよ、これ」
オレは片足を後ろへ大きく引き、左手を地面につく。
右手を片手剣ごと後ろへ回し、体勢を低く、低くする。
顎が地面に付きそうなほど低くする。
何故かわからんがこれが一番しっくりくる。
「【狂乱の舞】」
オレは片足を踏み出し、突進すると同時に身体を大きく右へひねる。
ぎゅるりと回転の勢いのまま、トリプルヘッドへ剣をぶん回す。
「グガァアァッ!」
4本あるトリプルヘッドの腕の?うち1本が吹き飛び、もう一本の半分くらいまで剣が食い込む。
「フンッ!」
オレはその反動で大きく左へ回転する。
今度はその回転のまま、左に剣をぶん回す。
ズシャッ!
ヤツの身体をぶった切ってやった。
「あぁー……
いい気分だぁー……」
トリプルヘッドの胴体から大量の血が飛び散っている。
オレはそれをシャワーのように浴びる。
「たまんねぇ……」
ピシッ!
片手剣にヒビが入り、ボロっと崩れ落ちる。
もう使いものにはならないだろう。
「グオォォッ!」
ダブルヘッドだ。
ダブルヘッドが逃げていく。
「おいおい、逃がすわけねぇだろ。
皆殺しだ!」
オレは逃げるダブルヘッドの頭を鷲づかみし、強引に引っ張る。
ブチッ!
まるで果物の収穫のように、頭をもぎ取る。
ブッシャアァァー!
血が飛び散る。
「さぁさぁ、お仕置きの時間だ」
オレは巣穴の入り口の方へ行く。
途中シングルヘッドが数匹いたが、同じように頭をもぎ取ってやった。
入り口に来た。
久しぶりの日光だ。
「おぉ、ぞろぞろといるねぇ……
おいゴミ共!
皆殺しだ!」
ブチッ!
オレはそう言うと、近いやつから頭をもぎ取ってやった。
「アハハァ!
アハハハァ!」
「グモォォォッ!」
ブチッ!
ブチッ!
ブチッ!
ドサッ!
ドサッ!
ドサッ!
シングルだろうとダブルだろうと、次々と首をもぎ取る。
「グオォォォ!」
ブチッ!
ブチッ!
ブチッ!
ドサッ!
ドサッ!
ドサッ!
立ち向かってくるものも、逃げるものも片っ端からだ。
「お前ら最高だぞ!
もっとだ!
もっと楽しませてみろぉ!」
◇
「あれ?
もう全部殺っちまったか?」
バックン!
バックン!
心臓の鼓動が止まらない。
バックン!
バックン!
高揚感が止まらない。
まだだ。
まだ殺し足りない。
参ったな。
もう一匹も残ってねぇよ。
バックン!
バックン!
ぁ、まだ巣穴に2人いたな。
それを殺っちまえば……
バックン!
バックン!
いや……オレは何を考えているんだ?
バックン!
バックン!
殺すんだろ……
バックン!
バックン!
何を馬鹿な!
殺せ!
コロせ!
コロセ!
殺せ!
バックン!
バックン!
ヤバい……
殺したい!
殺してしまう……
「なっ!」
急激なめまいに襲われる。
頭が割れるように痛い。
視界が赤黒く染まる。
なんだ?
頭だけじゃない。
身体中がメキメキときしむ。
「がぁぁぁぁあああぁぁあぁ!」
オレは両膝をつき、頭を抱える。
「がぁ!
うがあぁぁあ!」
いてぇ!
いてぇよ!
オレは地面をのたうち回った。
狭間圏
【狂戦士】
HP:240/244
MP:0/448
SP:0/54
力:21【狂戦士:?????】
耐久:57【狂戦士:?????】
俊敏:37【狂戦士:?????】
器用:14【狂戦士:?????】
魔力:31【狂戦士:?????】
神聖:71【狂戦士:?????】
【狂乱の舞:Lv0】
【フレアバースト:Lv0】
【etc.(33)】




