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65日目(異世界)前編


暗闇で目覚める。

どうやら攻撃は受けていないようだ。


ノーツさんたちは無事だろうか。

気配はある。


【炎魔法】で状況を確認するべきか?

いや……

獣の気配もある……


【炎魔法】はやめておいたほうがいいだろう。


僕は【魔力操作】で、魔力を目に集中させる。


……いるな。

入り口を塞ぐようにダブルヘッドがいる。


動けない状態にするのは諦めたようだが、ここから出す気は無いようだ。


ノーツさんたちもいる。

おそらく怪我をしているのだろう。

二人とも横たわっている。


まずいな……

僕のHP、MPが全快なだけで何一つ改善できていない。

多少の耐久とHPが上がった程度で勝てる相手ではない。


なんとか逃げ出さなければ……


僕は【土魔法】で背中の土を掘る。

奴らが気づく前に、穴に埋まって通路を作れば活路を見いだせるかもしれない。


!!

背筋が凍る。


圧倒的な何かが迫ってくる。


ダメだ……

震えが抑えられない……


のそのそと大きな巨体……

ダブルヘッドをさらに一回り大きくした巨体だ。


手足が4本ずつなのはダブルヘッドと変わらないが、頭が3つある。

トリプルヘッドという魔物だろう。


ガタガタと震える。


確実な死……

HPや耐久を鍛えるとかそういうレベルではない……


素っ裸で戦車の前に立たされた感じだ。

戦うはおろか、逃げることも諦めたくなるような……

そんな感覚に襲われる。


これから行われるのは、ただの食事なのだろう。

トリプルヘッドは僕たちをじっくりとなめるように見る。


それからノーツさんの方へ近づく。


そしてがぶりとゆっくり噛み付く。

「ぐあぁっ!

ぐああああああああぁぁぁっ!」


ノーツさんが叫びだす。


クソ!


身体の震えが邪魔だ!


クソ!


クソ!


動け!


【エアブレード】!


プスッ!


弱々しい音がなる。

おそらくノーダメージだろう。


トリプルヘッドはこっちに向き直る。


3つの頭のうち、右のやつがニタリと笑う。

何故だろう。

暗闇なのにはっきりと分かる。


やつはノーツさんを放り投げる。


ドサッ!

「がはっ!」

ノーツさんはまだ生きているようだ。


そしてこちらへゆっくりと近づいてくる。


あぁ、これは死んだな。


【エアブレード】!

プスッ!

【エアブレード】!

プスッ!

【エアブレード】!

プスッ!

【エアブレード】!

プスッ!

【ファイアボール】!

ポスッ!

【ウォーターガン】!

ビシャーッ!

【ショットストーン】!

ドゴッ!


まるで効いていない。

ニタニタとしながらこちらにゆっくりと近づいてくる。

とにかく魔法を撃ち時間を稼ぐ。


【プロテクト】!

【バイタルエイド】!


「ガァッ!」

メキメキッ!


「うああぁぁぁっ!」

僕の左肩に大きな牙が食い込む。


【ヒール】だ!


僕は【オートヒール】と【ヒール】を重ねがけていく。


するとトリプルヘッドは噛むのをやめ、こちらをニタニタと見ている。


クソッ!

完全に楽しんでいるようだ。


それでも僕は魔法を撃つしかない……


【エアブレード】!

【エアブレード】!

【エアブレード】!

プスッ!プスッ!プスッ!


「うあぁぁぁっっ!!」


再び肩を噛まれる。

僕は噛み付いている頭に【エアブレード】を直に打ち込む。


「うおぉぉ!

【エアブレード】!

【エアブレード】!

【エアブレード】ぉぉ!」


すると、ニタニタと笑いながら、僕を噛んだまま首をぶんぶん振る。


メキメキッ!

「うあぁぁ!」

骨がきしみ、血が飛び散る。


ドサッ!

やつが噛むのをやめると僕は放り投げられる。


するとまたのそのそとゆっくり近づいてくる。









もう何度繰り返しているんだろう……

「うわぁぁああああ!!」


血が飛び散り、骨が砕ける。


ダメだ……

回復しても無意味だ……


もう一思いに殺してくれ……


僕は【ヒール】を使うのをやめるが【オートヒール】が発動してしまう。



僕の回復速度が遅くなると、トリプルヘッドはのそのそとノーツさんたちのほうへ行く。


やめろ!

そっちへ行くな!


僕はもう死にたい。

でも、でも目の前で知り合いが死ぬのは見たくない。

くそ、死ぬわけにはいかない!


僕は【ヒール】を重ねる。


【エアブレード】!

【エアブレード】!

【エアブレード】!

プスッ!プスッ!プスッ!


ヤツは待ってましたと言わんばかりにこちらへ振り向きニタリとする。


クソが!









まだMPがある……

何故?

何故回復しているんだろう……


メキメキメキッ!

「うああぁぁっ!」

痛みで勝手に叫びだしてしまう。


【オートヒール】は仕方ないか……


でも【ヒール】はもう止めたい。

痛いんだ。

気が狂いそうになる。


おかしい……


【ヒール】の重ねがけが止まらない。

もういい……


もう十分だ……


【プロテクト】

【バイタルエイド】


あれ?

おかしいな……


何故補助魔法を?





ゴゴゴゴゴ………………





重い……




なんだろう…………




ゴゴゴゴゴ………………




頭の中で何かが動いている……




ゴゴゴゴゴ………………




とても重い何かが動いている……




【ヒール】

【ヒール】

【ヒール】




もういい……




もうやめよう……




【ヒール】

【ヒール】

【ヒール】




【ヒール】が止まらない……




苦しいだけなのに、何故回復を?




こんなに痛いのに?



あれ?




ゴゴゴゴゴ………………




ぁ……


わかった……


僕は……



楽しいんだ……




HPや耐久が上がってる……


成長してるんだ……


それが……


楽しいんだ!











ガッシャンッ!!!










頭の中で何かが猛烈にハマる。





「ぐがぁぁぁ!」

トリプルヘッドが苦しむように叫び、後退する。






バックン!


バックン!


心臓の鼓動が聞こえる……






トリプルヘッドは目を抑えている。

目から血が出ているんだ。





バックン!


バックン!


身体が熱いな……







僕は右手を見る。

親指から血が滴る。






バックン!


バックン!


心臓の鼓動が頭まで響く……


頭蓋骨を揺さぶるように……






これは僕の血じゃない。


そうか、トリプルヘッドの目に親指を突っ込んだんだ。






バックン!


バックン!


鼓動が心地良い……




「ぐがぁ!」

トリプルヘッドが物凄いスピードでその大きな腕を振る。


なんだろう……


物凄いスピードのはずだ。


遅い……



速く、そしてものすごく遅く感じる。

意味がわからない。



ヤツの爪が僕の顔をひっかく。


ブシュッ!


血が飛び散る。




おかしいな……


頭が吹っ飛んでもいいくらいの威力だろう?





僕は自分の頬を左手でなぞる。


あれ……



傷が……



傷がふさがっていく……





おかしい……



いや……




そうじゃない……




おかしいのはそこじゃない……




口角が上がっている……?




またか……






僕は……






いや……





オレは……





オレは笑っていたんだ……





こいつらを……





こいつらを皆殺しにできる……


「アハハハ!」


洞窟中に笑い声が響き渡る。





最高だ……


笑いが止まらねぇ…


「アハハハァー、アハ、アハ、ハハハァー!」





最高にいい気分だ……







クソどもが!



皆殺しだ……



一匹残らずぶっ殺してやる!





狭間圏はざまけん

【狂戦士】

HP:244/244(↑+18)

MP:221/450

SP:54/54

力:21【狂戦士:?????】

耐久:57(↑+5)【狂戦士:?????】

俊敏:37【狂戦士:?????】

器用:14【狂戦士:?????】

魔力:31【狂戦士:?????】

神聖:71【狂戦士:?????】

【回復魔法:Lv35(↑+1) ヒール:Lv37(↑+2)オートヒール:Lv14(↑+3)】

【補助魔法:Lv9(↑+1) プロテクト:Lv11(↑+1) バイタルエイド:Lv10↑+1)】

【マルチタスク:Lv24(↑+1)】

【狂乱の舞:Lv0(New)】

【フレアバースト:Lv0(New)】

【痛覚耐性:Lv3(↑+2)】

【etc.(30)】

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― 新着の感想 ―
[一言] 某職業のように、熊さんは覚醒(暴走)踏み台b 主人公、高々1/6目抉られただけなのに大袈裟な♯
[良い点] 延々と続く極限の拷問状態でいい修行になるかと思ったけど、 覚醒、いや暴走化?した?
[一言] おぉ、覚醒した
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