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53日目(異世界)前編


今日は朝から道具屋へ来ている。


「野営装備ですか。

一式揃えるんですか?」

「そうです。

要請が出ているので、ダブルヘッドというモンスターを討伐に行く予定です」


「ダブルヘッド……」

カルディさんはメガネを持ち上げながら言う。

何か思うことがあるんだろうか。


「?」

「いえ、おそらく知り合いの息子がその討伐に参加すると思います。

ショーンと言いましてね。

なかなかの槍使いですよ」


僕が疑問に思っていると教えてくれた。


「丁度いい。

狭間さん、彼に鍛えてもらうといいでしょう。

後で一筆書いておきますね」

「おぉ、ありがとうございます!」


槍使いか。

カルディさんの知り合いというだけで強そうだな。


「あぁ、野営装備でしたね。

寝具とテント、それから食料といくつかの魔石が必要ですよ。

まずは寝具とテントですね。

こちらへ来てください」

僕はカルディさんに付いていく。


「今回の討伐でシングルヘッドという魔物も出てくると思うんですが、そのシングルヘッドの毛皮でできたものです。

一人用だと、3000、5000、10000セペタのものがあります」


一番高いものはしっかりとテントに骨組みがある。

一番安いものは、ただの長い毛皮を棒でコの字にするだけだ。

激しい雨だと寝られそうもないな。


今所持金は15000セペタとちょっとだ。

最近黒字になったばかりで調子に乗っていたが、また一気に所持金が減りそうだ。


「では5000のものをお願いします」


僕は横風もある程度防げる5000セペタのものにした。


「では次に携帯食料ですね。

要請では基本的に食料は支給されるんですよ」

「おぉ、それは助かります」


「ただし本隊に合流するまでは、自分の食料を使います。

乾燥肉とパンですね。

5日分くらいあれば十分だと思います。

500セペタですね」

「では、それもお願いします」


そういえば、僕は病室でずっと点滴をうけている。

最悪食べなくても死にはしないだろう。

遭難したとしても、ずっと生きていけるかもしれない。

そう考えると凄いな。


「あとは水ですね。

狭間さんは【水魔法】は使えますか?」

「はい、昨日【ウォーターガン】という魔法を覚えました」


「それは素晴らしいですね。

通常水はこのような容器に入れて持っていきます」


カルディさんが木でできた容器を見せてくれる。


「ただし水は重いし、消費も激しいですからね。

お金に余裕のある人は、この水の魔石を持っていきます」


カルディさんが20cmくらいの魔石を見せてくれる。


「これにMPを注げば、水が出てくるんです。

そうすると荷物になりませんからね。

ちなみに5000セペタです。

狭間さんの場合、【水魔法】が使えますので、必要ないでしょう」


それは助かる。

5000の出費は痛い。


「その他ですが、狭間さんは【光魔法】は使えますか?」

「いえ、【光魔法】は覚えていません」


「では、こちらとこちらが必要になりますね」


カルディさんは、木の筒とランタンのようなものを見せてくれる。


「どちらも中央に魔石が入っています。

MPを注ぐと、【光魔法】が発動しますね」

「二つ必要なんですか?」


「そうです。

こちらがこのように使います」

カルディさんが木の筒にMPを注ぐ。


「おぉ、結構光りますね」

「そうですね。

一度MPを使えば、1時間位は光っぱなしですよ」


木の筒は懐中電灯のようだ。


「それからこちらも同じように光ります」

今度はランタンにMPを注ぐ。


周辺が明るくなる。


「どちらも腰につけて使用します。

このランタン型のほうは、野営でも必要になります。

これも5000ですね」

「ではそれでお願いします」


全部で10500セペタの出費だ。

所持金が5000セペタになってしまった。

これ結構やばくないか?


「では用意しますので、少し待っててください」

「はい、ありがとうございます」


カルディさんが一式用意してくれる。


「この手紙をショーンに渡してください。

それからこのバックパックはお貸ししますよ」


大きなバックパックだ。

今は買ったもの以外は入っていないが、パンパンになるまでものを入れたら背中に背負えなくなるんじゃないだろうか。


「ありがとうございます!」


ちなみにカルディさん相手に遠慮するのはもうやめた。

素直に借りておこう。

にしてもデカイな。

恐らく回収した素材を入れるんだろう。

帰りのほうが中身が多くなることを考えてか。








買い物を終えた僕は、ギルドへ来ている。


受付のスキンヘッド、ドグバさんが誰かと話をしている。

身なりは普通の冒険者だな。

ドグバさんが僕に気づいたようだ。


「おぅ小僧、良いところに来たな。

ちょっとこっち来い」

「はい」


僕は小走りでドグバさんのほうへ行く。


「こいつがさっき話した回復職だ」

どうやら冒険者に僕の話をしていたようだ。


「今回の要請クエストに参加するノーツだ」

ノーツさんというのか。

大きいな。

180cmはありそうだ。

背中に大きな盾と剣を装備していて、防具も重装備とまではいかないが、胸や肩、膝に手甲と主要な部分には金属製のものを装備している。

20代後半だろうか。

僕から見ると、ベテランの冒険者に見える。


「どうも、狭間です」

僕は軽くお辞儀をする。


「君が狭間くんか。

早速だが、ちょっとギルドカードを見せてくれないか?」

「ぇ?

はい、わかりました」


そうか。

僕のステータスを確認しておくってことか。

一応ジョブを【見習い聖職者】に変えておく。


狭間圏はざまけん

【見習い聖職者】

HP:E

MP:C

SP:F

力:F

耐久:E

俊敏:E

器用:F

魔力:E

神聖:E


MP以外のステータスがしょぼいな。

連れて行ってもらえるだろうか。


「ほほぅ、まだ若いのにMPがCか。

これは期待できそうだな」

「だろう?

魔力や神聖だってMPがありゃ上がってくはずだ。

今回ノーツが連れてってやりゃ、【見習い聖職者】も卒業できるかもな!」


「あ、ありがとうございます」


おぉ、MPがCというのはまぁまぁなのか。

MPだけは駆け出し冒険者よりも多いっぽいよな。


「キミ、パーティは初めてなんだって?」

「はい、そうなんです」


「今日は時間があるかい?」

「はい、野営装備も買いましたし、いつもの狩りへ行こうかと思ったくらいです」


「そうか。

では少しパーティに慣れてもらいたい。

そろそろ俺のパーティメンバーが来る。

今日は一緒にクエストをしてみないか?」

「いいんですか!

是非お願いします!」


やった!

これは良い機会だ。

ベテラン冒険者の動きを是非見てみたい。


しばらくすると、ノーツさんのパーティメンバーがやってきた。


【斧戦士】のオルランドさん。

【剣士】のラウールさん。

【アーチャー】のカーシーさん。


ちなみにノーツさんは【シールドウォーリアー】だ。

【聖職者】と【僧侶】が誤差程度の違いしかないように、【盾戦士】と【シールドウォーリアー】もほとんど差がないらしい。

バリバリの物理攻撃パーティだな。

要請で討伐するダブルヘッドには魔法がほとんど効かないらしいからこのパーティなんだろう。

みんな見た目はノーツさんと同じくらいの年齢だ。


「今回は、彼にパーティでの戦いに慣れてもらうこと。

それから彼にどんなことができるか俺たちが把握することが目的だ」

ノーツさんが今日の狩りについて説明してくれる。


「とりあえず、狩場へ向かいながらスキル等の確認をしよう。

今日はフォレストウルフでいいな?」

ノーツさんがそう言うと、他のメンバーがうなずく。


フォレストウルフというのは名前からして魔物だな。

出てくるのはいつもの狩場よりもレベルの高い狩場だろう。


「それから狭間くん。

大きなバックパックだな。

今日は野営は無いがそれで来てくれ。

荷物の多い状態にも慣れてもらおう」

「はい、よろしくお願いします」


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