53日目(日本)
病室で目覚める……
アケミおばさんはまだ来ていないようだ。
とりあえず、毒のダメージがあるので【ヒール】を使っておく。
それから【エアブレード】の空撃ちを始める。
う〜ん……
やっぱり風の音がするな。
向かいのベッドはおじいさんだから、恐らく大丈夫だろうが、骨折している男の子には気づかれてしまうかもしれない。
う〜ん……
周りを見てみると、ポットがある。
ぁ、そうだ。
【炎魔法】!
僕はポットの中に【炎魔法】を発動させる。
ポットから蒸気がでる。
これなら【炎魔法】とMPの強化ができるな。
ただ、【エアブレード】よりも発動に時間がかかる。
MP効率は【エアブレード】に比べるとかなり落ちるな。
【炎魔法】はまだ全然低いので上げておきたいところだ。
ポットの中に【ファイアボール】を撃つのはまずいだろう。
ポットが吹っ飛びそうだな。
しばらく【炎魔法】をしていると、蒸気が出なくなった。
中の水を全て蒸発させてしまったようだ。
【水魔法】!
僕はポットの中に水を発生させる。
よし、これで3属性の魔法を強化することができるな。
しばらく【炎魔法】と【水魔法】を撃ちまくった。
◇
面会が来た。
アケミおばさんかと思ったら、担任のイケザキ先生だった。
「おぉ、狭間」
「…………………………」
「無理にしゃべらなくていいぞ。
ところでお前、耳は問題なく聞こえるんだよな?」
アケミおばさんに状態を聞いたのだろうか。
確かに耳は聞こえる。
僕はうなずいた。
「よしよし、先生な、お前のために良いものを用意してやったぞ」
イケザキ先生はそう言うと、スマホを取り出し、操作をする。
スマホからは英語の音声が聞こえてきた。
「お前これなら英語の勉強ができるぞ!
退院したときに、勉強が遅れないように用意したんだ」
「……………………」
英語か……。
英語一番苦手なんだよな……。
イケザキ先生は英語の先生でかなりの熱血だ。
しかし、この状態でも勉強とは筋金入りだな。
イケザキ先生は、英語の音声を流すと、自分は本を読み始めた。
これ、この音声終わるまでずっと続くのかな……
とりあえず、僕はポットの中に【炎魔法】と【水魔法】を繰り返しておく。
そういえば、異世界では普通に日本語が使えたけど、英語とかって通じるんだろうか。
もう2ヶ月くらい生活しているけど、異世界のことはあんまりわかっていないな。
英語の音声がしばらく続いた頃、アケミおばさんがやってきた。
おばさんがイケザキ先生と挨拶をすると、先生は少し話して帰っていった。
「この状態で英語の勉強って、凄い先生ね……」
おばさんが若干引いている。
あの先生は、体育祭や文化祭でもプリントを渡してくるほどの先生だからな。
修学旅行中に課題を出されたときは何の冗談かと思った。
「ねぇケン。
私の腰、すっごく調子良いんだけど……
何か知らない?」
こういうときのおばさんの鋭さには参る。
普通に考えて僕だとは思わないだろう。
「……………………」
僕は首を振っておく。
「ふーん……」
なんだか疑っているようだが、どうしようもないだろう。
「まぁいいわ。
明日は仕事だから、また明後日来るわね」
やっぱり下手に回復するのはよくなさそうだ。
狭間圏
【見習い魔法士:Lv3】
HP:110/130【見習い魔法士:−20】
MP:399/431(↑+7)【見習い魔法士:+32】
SP:18/18
力:21【見習い魔法士:−10】
耐久:27【見習い魔法士:−10】
俊敏:31
器用:14
魔力:25【見習い魔法士:+17】
神聖:45
【魔力操作:Lv27(↑+1)】
【炎魔法:Lv18(↑+3)】
【水魔法:Lv6(↑+4) ウォーターガン:Lv0(New)】
【毒耐性:Lv7(↑+1)】
【etc.(16)】




