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49日目(異世界)


今日から戦闘のスタイルをやや変えてみる。

今までは短剣での攻撃、回復をしながら防御というスタイルだった。

回復を使いながらでの戦いは、HPや耐久の低さを補える。

ただし、火力が低い。

SPも低いので、【ガウジダガー】を使い切ったらさらに火力が下がる。


そこで、短剣+【エアカッター】を戦闘に組み込んでみる。

昨日の病室でMPがかなり上がったので、攻撃魔法でMPを使ってもそれなりの時間戦えるだろう。


昨日と同じ魔物、茶色い小さな人型の魔物ボカンが湧く狩場へ行く。

狩場には7匹ものボカンがいる。

囲まれるとやっかいだ。


踏み込んで突進、短剣で【ガウジダガー】を撃ち込む。


バシュッ!

ボカンの小さな身体が吹っ飛ぶ。


さらに吹っ飛んだ方向へ追撃で【エアカッター】を使ってみる。


ブシュッ!


「ギエェッ!」

血が飛び散る。

かなり効いているようだ。


魔力と【風魔法】自体が上がっているため、【エアカッター】の威力が以前と桁違いだ。

【ガウジダガー】と【エアカッター】の連撃でボカンはほぼ瀕死になっている。


他の6匹がすかさず寄ってくる。

次も【ガウジダガー】と【エアカッター】の連撃をするが、今度は方向を変えてみる。


突進と同時に【ガウジダガー】を使い、吹っ飛んだ方向からこちらに向けて【エアカッター】を使う。


ブシューッ!

凄い血しぶきだ。

進行方向とは逆向きに【エアカッター】の直撃を与えることができた。


すげぇ!

連撃で仕留めきれている。


威力が段違いだ。

この辺りの魔物には、魔法の耐性がほとんど無いんだろう。


ものの数分で狩場の魔物を全て仕留めてしまった。

これなら次の狩場へ行ける。

まだMPもかなり残っている。

少し休んでSPを回復させたら、次の狩場へ行こう。


次の狩場も魔物はボカンだった。

数は7匹。

先程の狩場と同じ。

だけど1匹でかいのがいる。

普通のボカンは120cmくらいだが、でかいのは2mくらいある。

縦にも横にも大きく、1mくらいの丸太を担いでいる。

あれで攻撃されたらヤバそうだ。

ボスだろうか。


とりあえずは、デカイのは放置し、周りの小さいのから殲滅していく。

デカイのは動きが遅そうだが、見た目に反して小さいのと速度は変わらない。

やっかいそうだ。


僕は以前と同じように、狩場の外周を回りながら囲まれないように1匹1匹確実に仕留めていく。

数分ででかいボカン以外を全て仕留める。

でかいのが丸太を振り下ろす。

振り下ろしは軌道が読みやすいので、避けることができる。

すかさず【ガウジダガー】と【エアカッター】の連撃。

「グオォゥッ!」


ブッシャー!

大量の血が飛び散る。


僕は右、ボカンの左側に前転で回り込み【ガウジダガー】と【エアカッター】の連撃を叩き込む。

さらに血が吹き出し、僕は返り血に塗れる。

「グォォウッ!」


怯んでいるので、短剣の通常攻撃で畳み掛ける。

通常攻撃を連続で繰り出し、しばらくすると、動かなくなる。


あれ?

こいつそんなに強くない?


そう思っていると、ボカンがわらわらと湧く。

デカイのも出てくる。


ぁ……

ボスじゃないのね……



それにしても湧きがさらに早いな。

さっき7匹倒したばかりだぞ。

このままだとSPがすぐに切れる。


落ちた魔石を回収して、一旦撤退だ。









SPは無くなったが、MPがまだ半分くらいある。

このままここで狩り続ければ、さらにステータスが上がりそうだ。


だけど……

今の自分がクレス達にどれだけ通用するかが知りたい……


それに、クレス達は、僕を痛めつけることはしても、殺すことは無いだろうと思う。

そう思うと、安全にHPを上げられるのではないだろうか?


ボコボコにされるとわかっていても、そこに飛び込むのは異常だろうか。

ステータス上げには最適なんだが……


HPやMP、スキルレベルは使い込めば上がっていく。

だけど、力や耐久などのステータスは実際に戦わないと上がらない。

そして、相手とステータスが離れていればいるほど上昇値が大きいような気がする。

きっとその考えは間違っていない。


よし、今日の狩りは終わりにしよう。


僕は狩場を引き上げ、街へ戻る。







街へ帰ると、盾を持ったまま治療所へ向かう。

普通治療所の【回復魔法】使う側は、盾など持っていない。

回復するだけなのだから、杖など回復用の装備のみを持っていけばいいんだ。


だけど、僕の目的は違う。

今日の目的は、治療ではない。

クレス達に見つけてもらうことだ。


早く来てくれないかな……


とりあえず、目の前の冒険者達を次々に回復していく。

どうしようか……

MPを少し残しておきたいんだけど……


MPが少なくなってきたら帰ろうと思っていたのだが、ちょうどクレス達がやってきた。

やっぱり目が合ってしまう。


彼は僕をにらみつける。

あれほど痛めつけたのにまた来たのか、といったことろだろうか……

逆に後ろの2人はヘラヘラしている。

むしろ嬉しそうだ。


とりあえず、クレスに見つけてもらうという目的は達成できた。

MPが少し残っているうちに、撤退しよう。


僕は彼らに追いついてもらうために、あえてゆっくりと人気のない道から帰る。

ジョブは【盗賊】にしてある。


「おい!」


後ろから蹴り飛ばされる。

1mくらいふっ飛ばされたが、前転して受け身をとる。


「お前さ、まだ懲りてないわけ?

二度と来んなって言ったろ?」

クレスがイライラしたように声をかけてくる。


今日の不意打ちはそれほど威力がない。

僕のステータスが上がっているからか?


僕は盾を構える。


「僕にだって生活がある。

治療所でお金を稼がなくちゃいけないんだ」


うそだ……

本当はクレスに会いに来た。

既に気持ちが高ぶっている。


ただし、今日は勝つつもりは無い。

恐らくまだ勝てないだろう。

彼のあらゆる攻撃を見ておきたいだけだ。


「そんなこと知るかよ、なんだてめぇ盾なんか構えやがって。

そんなんでなんとかなると思ってんのか?」

「回復職の盾使いってか?

【聖騎士】様じゃねぇか!」


後ろの戦士ミューロが笑い出す。


ほほぅ、【聖騎士】は戦士と回復の複合ジョブなのか。


クレスが踏み込み、攻撃をしてくる。

速い!


ドガガガッ!

「おらおら、ちゃんと盾を構えとけよ!」

「うぐっ!」


ドガガガッ!


一撃一撃も重い。

盾の上からなら耐えられないほどではないが、盾の上からでもHPを持っていかれる。


「こっちはどうかなっと」


クレスが横に回り込み、打撃を繰り出してくる。


ドスッ!


「うぐっ!」


横っ腹に一発もらってしまうが、2発目は体をそらし、なんとか後退する。

まずい、【ヒール】だ。


「おっとぉ、回復しだしたぞぉ!」

ミューロがヘラヘラと解説をしだす。


「いいじゃねぇか。

サンドバッグが長持ちするようになったってことだろ!」


クレスが踏み込んで、パンチを繰り出す。

僕は軌道を読み、盾を構える。


ドスッ!


盾で防ぐことはできるが、おそらく……


ザッ!


クレスが横に回り込む。

すかさず盾を横へそらす。


ドスッ!


凄まじいスピードだが、さっきと同じ行動だ。

直撃を避け、盾で受け止める。

僕は受け止めながら、後退をする。


確かに、ステータスの差は凄い……

だけど対応できないほどではない。

彼の動きは雑だ。

ステータスまかせの攻撃をしている。

軌道がよめる。

実際に魔物を狩るときには効率が良いんだろう。


なるほど、勝機が見えてきたな。


「チッ!

クソ地雷の分際で……」


クレスが舌打ちをする。

僕が回復をしながら防御に徹しているのに苛立ってきたのだろう。


「おい、手伝おうか?」

後ろの魔法使いが手のひらに炎を出して言う。


「いや、こんな雑魚一人で十分。

もうめんどくせぇからスキル使うわ」


来る!

スキルだ!

スキルに耐えられれば、恐らく勝てる……


クレスが正面に突進、両腕を後ろへ引く。


「【連撃】!」


ズガガガガガガがガガガッ!


やばい、凄まじい連撃だ。

僕は必死で盾を構える。


ミシミシと身体が軋む。


「おらおらおらぁーー!」


ズガガガガガガがガガガッ!


盾の上からでもHPがどんどん削られていく。


「ハッ!」


ドガッ!


ズザァー!

最後の一撃で僕は吹っ飛ぶ。


「ゲボォッ」

僕は血反吐を吐く。

体中に痛みが走る。

内臓は無事だろうか……


あぁ、また骨が結構やられてるな。

だけど【ガード】なしでも意識は保てる。


「ったく手間かけさせやがって……

二度と来れないようにお仕置きが必要だな」


ガスッ!

僕は蹴り飛ばされ、転がっていく。

意識はあるが、すぐには立ち上がれない


「ちょっと小突いたくらいじゃ回復されちまうからな。

お仕置きだ」


クレスはうつ伏せになった僕の右腕を取り、強引に背中の方へ引っ張る。


「うぎぃ!」


強烈な痛みだ。


ゴキッ!

「ギィヤァァ!」


痛みで勝手に叫びだしてしまう。

骨が完全にやられた。


「おぉ!

いい声で鳴くじゃねぇか!」

「おい、クレス、人が来たらやべぇんじゃねぇのか?」


「そうだな、歩いて帰れるように足はやめておいてやるか。

腕もう一本いくぞ」

「おい、だから人来たらやべぇって」


そう言うと、僕の左手首を掴み固定する。

彼は右手を大きく振りかぶり、僕の左腕に振り下ろす。


バキッ!


「ぐわぁぁあぁ!」

左手の肘先から猛烈な痛みがくる。


「じゃあな、足は勘弁しといてやるから、頑張って帰れよ」

「おい、さっさと行くぞ誰か来たらマジでやべぇ」

「俺腹減ったわ、飯行こうぜ飯」




……

痛みで意識が飛びそうになる。


あぁ……

最高だ……

ステータスの上昇が凄まじい……


僕はなんとか立ち上がる。

MPも尽きかけている。

とりあえず、最低限動くようにはできるか?


僕は【ヒール】を使いながらヨロヨロと立ち上がる。

彼のステータスは僕より全然上だろう。

改めて確認できた。


だが……勝てる……


なんてことだ……

あの単調な動きでは、僕が勝ってしまう……


すぐにでも試してみたいが、もうMPがほとんど残っていない。

明日が待ち遠しい……


あぁ……

クレス……

僕は君に勝ってしまうんだ……


狭間圏はざまけん

【盗賊:Lv10(↑+1)】

HP:34/124(↑+8)【盗賊:+20】

MP:22/306【盗賊:−18】

SP:8/14【盗賊:+40】

力:20(↑+1)

耐久:24(↑+5)

俊敏:30(↑+3)【盗賊:+20】

器用:14(↑+1)【盗賊:+20】

魔力:22【盗賊:−8】

神聖:40(↑+1)【盗賊:−8】

【風魔法:Lv24(↑+1) エアカッター:Lv16(↑+1)】

【回復魔法:Lv18 マイナーヒール:★ ヒール:Lv12(↑+1) アンチポイズン:Lv0】

【短剣:Lv6(盗賊:+5)(↑+1) ガウジダガー:Lv5(↑+1)】

【盾:Lv5(↑+1) ガード:Lv3】

【マルチタスク:Lv6(↑+1)】

【痛覚耐性:Lv0】

【etc.(7)】


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― 新着の感想 ―
ただの変態じゃんw
[良い点] 主人公ヤベェwww自傷ヒールの時点でヤバかったけどw クレス、お前は手を出すやつを間違えた…
[良い点] > …… 痛みで意識が飛びそうになる。 あぁ…… 最高だ…… ステータスの上昇が凄まじい…… > あぁ…… クレス…… 僕は君に勝ってしまうんだ…… [一言] ステータスやスキルの強化に…
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