46日目(異世界)
今日は早朝から森の狩場へ来ている。
昨日は結局薬草12枚しか取れなかったため、道具屋でわざわざ買い取ってもらう必要がないと思ったからだ。
昨日は【見習い聖職者】のレベルを1上げることができた。
今日は【見習い魔法士】で【マルチタスク】が使えるか試そうと思う。
相手は昨日と同じく、芋虫の魔物ラオペ。
実験には都合のいい最弱な魔物だ。
短剣で攻撃しつつ【エアカッター】を発動させる。
ブシュッ!!
短剣と【エアカッター】のダメージが両方入る。
いける。
というより、防御しながらの【ヒール】のほうがハードルが高い。
そもそも【エアカッター】の発動までの時間は【ヒール】より断然短い。
さらに、【見習い聖職者】と違い、【見習い魔法士】は俊敏のマイナス補正が無い。
動きながらの攻撃魔法は、【ヒール】よりだいぶ楽だ。
短剣で攻撃をしながら、【エアカッター】、【ヒール】とソロで戦う上での材料が揃ってきた。
ただ、ジョブがまだまだだ。
ジョブレベルが低いのはもちろん、【盗賊】では、魔力、神聖にマイナス補正。
【見習い聖職者】、【見習い魔法士】では前衛として戦うステータスにマイナス補正が入る。
【魔法剣士】や【勇者】のような万能ジョブもあるのだろうか。
あったとしても、今の僕には程遠いな。
僕は2つ目の狩場まで、【見習い魔法士】のまま進み、薬草を採取しておく。
その後【見習い魔法士】がレベル1に上がるまで2つ目の狩場でラオペとバウームを狩り続ける。
【見習い魔法士】がレベル1に上がると、ジョブを【盗賊】に切り替えて3つ目の狩場へ向かう。
それにしても、この狩場には誰もいないな。
アイテムも薬草と毒草しか手に入らないし、ホーンラビットは持ち帰るのがけっこう大変だからな。
クエストでも出てないと、誰も来ないのだろうか。
3つ目の狩場も難なく一掃できた。
ステータス上昇と、【盾】スキルの恩恵が大きい。
そして今まで耐久は防御力だけだと思っていたが、どうやらスタミナにも関係しているようだ。
7匹くらい同時に相手にしたあとの疲労がこの前とは違う。
そして薬草、毒草の採取をする。
ややHPは減ったものの、【ヒール】を使うのは勿体無い。
今日はさらに奥へ向かおう。
奥の広場が見えてくる。
……様子がおかしい。
デカイのがいる。
ボスだろうか。
樹木の魔物バウーム、それのデカイヤツが中央にいる。
そして、その周りには、ラオペが3、バウームが3、ホーンラビットが2。
ヤバいな。
ボスの能力が未知なのと同時に雑魚の数が多い。
幸いまだこちらには気づいていない。
広場に入れば気づかれるだろう。
さて、どうするか……
さっきの狩場でも7匹同時に相手に戦うことができた。
それほどダメージは受けていない。
仮にボスがホーンラビットよりも素早かったとしても、なんとかなる気がする。
そして、何よりあのボスはデカイ。
ホーンラビットよりも素早いイメージはできないな。
最悪やばくなったら、この狩場から逃げればいい。
雑魚は追ってくるだろうが、あのサイズではこっちの道には入ってこれないだろう。
よし、いけるな……
僕は一番仕留めやすい、ラオペから【ガウジダガー】を不意打ちで叩き込んだ。
すぐさま連続で【ガウジダガー】で追い打ち。
これでとりあえず1匹減らす。
気づいた他の魔物が近づいてくる。
ボスは動き自体は遅く、雑魚から先に近づいてくる。
思った通り、ボスは動きがそれほど速くない。
いけるな……
SPを温存せずに次々に【ガウジダガー】を撃ち込む。
やばいのは、SP切れよりも雑魚に囲まれることだ。
ボスが近づいてきたので、一旦距離を取ろうとする。
「うぉ!」
ドスンッ!
ボスが自らの枝を振り下ろす。
とっさに盾で受け止める。
想定していたよりもリーチが長い。
それに動きは遅いが、攻撃自体は結構速い。
メキメキッ!
ダメだ!
盾で受けたとはいえ、上からの振り下ろしを受けてしまった。
他の魔物が来る。
横に飛び、前転で受け身を取る。
ヤバいな、盾で受け止めたときに左肩がやられた。
とにかく一旦距離を取ろう。
僕は【ヒール】を使いながら距離を取る。
防御に徹しながら、回復していく。
肩が最低限動くようになるまで、動き回る。
「ハァ……ハァ……」
距離を取ると、最初に近づいてくるのは一番素早いホーンラビットだ。
攻撃をかわし、すばやく【ガウジダガー】を繰り出す。
さっきのボスの攻撃で、大体のリーチがわかった。
これ以上は危険だ。
さらに距離を取り、ホーンラビットを仕留める。
あぁ……
これだ……
この感触……
高揚感……
動きが研ぎ澄まされる……
何だこの感覚は?
アドレナリンというのが出てるのか?
ラオペが転がり、突進してくる。
僕はこれを難なくかわし、【ガウジダガー】を撃ち込む。
バツン!!
キタ!
クリティカルヒットだ。
僕はラオペを一撃で仕留める。
さらにテンションが上ってくる。
「アハハハ!!」
素早く走り込み、姿勢を低くする。
突進と同時に【ガウジダガー】をラオペに撃ち込む。
バツン!!
またクリティカルヒット。
一撃で仕留める。
あとはバウームが3匹とボスだけだ。
動きが遅いな。
僕は、バウームの間を這うように走り回り、切り刻む。
ザクザクと切り刻む。
途中ボスの攻撃が来るが、盾で攻撃をそらし、身体もそらす。
こいつの攻撃はリーチが長いだけだな。
それさえ気をつければ問題ない。
体勢を低く構え、バウーム3匹をひたすらに切り刻む。
【ガウジダガー】を使うまでもない。
少し時間がかかったが、残りはボスだけになった。
僕は踏み込み、ボスに突進する。
懐に入ってしまえば、リーチの長さが逆に不利になる。
ボスの周りを切り刻んでいく。
ん?
こいつ……
先程切り刻んだ傷が修復されていく。
自然回復か……
僕の攻撃力が低すぎるんだ。
残りのSPをすべて使って、【ガウジダガー】を撃ち込んでいく。
SPが切れても、ヤツは動きを止めない。
MPならまだまだあるな。
ボスが枝を振り回す。
僕はそれを前転しながらかわし、起き上がると同時に魔法を撃つ。
「【ファイアボール】!」
ボッ!
メキメキメキッ!
暴れまわっている。
【ファイアボール】のレベルは0だが、それなりに効いているようだ。
僕はさらに近づき、至近距離で魔法を撃つ。
「【ファイアボール】!」
回避、短剣での攻撃、魔法を繰り返す。
上からの振り下ろしさえ避ければ、横の振り回しは盾で耐えられる。
たまに、盾で攻撃を受け吹き飛ばされるが、すぐに距離をつめる。
十数分の末、大きな樹木の魔物が倒れる。
メキメキメキメキッ!
ドォーンッ!
「ハァ……ハァ……」
呼吸を整え、少しの時間待つとボスモンスターが灰になってゆく。
ボスの中から、アイテムが出てくる。
魔力が濃いアイテムだ。
植物の葉が10枚ほど。
…………毒草かよ!!
誰もここの狩場に来ない理由がわかった気がする。
まぁ僕は戦いを楽しむことができたのでまだマシか。
もうMP、SPが残り少なかったので、その日はアイテムを回収しながら帰っていった。
狭間圏
【盗賊:Lv5(↑+2)】
HP:75/97(↑+2)【盗賊:+15】
MP:33/263【盗賊:−19】
SP:−26/11(↑+2)【盗賊:+30】
力:17(↑+1)
耐久:16(↑+1)
俊敏:27(↑+2)【盗賊:+15】
器用:13(↑+2)【盗賊:+15】
魔力:21【盗賊:−9】
神聖:35(↑+1)【盗賊:−9】
【魔力操作:Lv18)】【炎魔法:Lv13 ファイアボール:Lv1(↑+1)】【風魔法:Lv21 エアカッター:Lv7】【水魔法:Lv1】【回復魔法:Lv17 マイナーヒール:★ ヒール:Lv7】【体術:Lv1】【短剣:Lv4(盗賊:+5)(↑+1) ガウジダガー:Lv4(↑+2)】【炎耐性:Lv6】【盾:Lv2(↑+2) ガード:Lv0(New)】【毒耐性:Lv1】【マルチタスク:Lv1(↑+1)】