45日目(異世界)
今日は朝から道具屋へ来ている。
昨日採取した薬草を売りに来た。
「薬草は全部で18枚、180セペタですねぇ」
「はい、お願いします」
やっぱり治療所に比べると、金銭的にはきつい。
「あとは、この2枚なんですがこれは何かのアイテムですか?」
「これは毒草ですねぇ。
残念ながら、ほとんど価値はありません。
1枚5セパタですねぇ」
「あぁ〜……そうですか。
毒草の毒はどれくらい強いんですか?」
「薬草もそうですが、このままではほとんど使い物にならないんですよ。
薬草の場合は30枚でポーションが一つ。
毒草は50枚で毒薬が一つくらいです」
なるほど、どうりで薬草が1枚10セペタだったわけだ。
一応食えばHPが1くらいは回復するらしい。
ある程度のHPを回復するためには、薬草をサラダのように食わなければならない。
しかも味はクソ苦いらしい。
「ポーションを作るには、薬草30枚を使って加工をするってことですか?」
「まぁそうですねぇ。
ただし、干し肉のような加工ではありません。
【薬師】のスキルを使います。
見せましょうか?」
「おぉ!
カルディさんは【薬師】スキルを持っているんですね」
「そうですよ。
道具屋ですからねぇ。
【薬師】のない道具屋は、どちらかというと商人なんでしょう」
カルディさんはそう言うと、奥から薬草と小瓶を持ってくる。
薬草に手をかざすと、カルディさんの手と薬草が淡く光りだす。
薬草がフッと消え去り、小瓶に液体が溜まる。
「これで完成です。
結構SPを消費しますので、一日にそんなに連発はできません。
まぁそれよりも、それほど大量の薬草はうちにはありませんが」
「おぉ!
すごいですね!
僕も【薬師】スキルを習得することはできるでしょうか?」
「必ずできるというわけではありませんが、可能性はあると思いますよ。
まずは、【土魔法】の習得が先です。
【土魔法】には【創造】というスキルがあります。
【創造】は低レベルのうちはレンガを作って終わりですが、ある程度になるともっと大きな建造物の材料を生成することができます。
【土魔法】と【創造】のスキルを上げていると、【薬師】が出てくることが多いでしょう」
なるほど、先は長いな。
あと一つ気になることを聞いてみる。
「毒草は食べても大丈夫ですか?」
カルディさんはぎょっとした顔でこちらを見る。
「毒草を食べるんですか?」
「えぇ、以前睡眠耐性が全く無いのですぐ眠ってしまったと思うんです。
毒草を食べれば、毒耐性とかつくのかなと思いまして」
「なるほど、理論上は可能だと思いますが、あまり聞いたことありませんねぇ」
そうなのか。
毒耐性をつけるのに、毒性の低い毒草を食べるのは普通だと思うんだけど。
異世界の人は自傷でステータスを上げるとかもしなそうだし、あんまりそういうことしないのかな。
「毒草の毒性ですが、何の耐性もない人が1枚食べれば、1日中HPが下がり続けるでしょう。
下がる量は、恐らくですが、1日でHP100くらいでしょうかねぇ。
あとは、1日経てば毒消しなどを使わなくても自然治癒すると思います。
何しろ、毒草を食べてその後一日中放置する人なんていませんから、あくまで私の予想ですよ」
「なるほど、ありがとうございます。
では、この毒草は持って帰りますね」
「いやはや、本気で食べるんですねぇ……」
カルディさんは怪訝な顔をしながら、メガネを上げる。
それからカルディさんには狩場について聞いた。
カルディさんは狩場にはそれほど詳しくないようで、もし詳しいことが知りたければギルドのドグバさんに聞くといいと教えてくれた。
ん〜……
ギルドへ行くとクレスたちと鉢合わせる可能性がある。
今はやめておいたほうがいいだろうなぁ……
その後僕はギルドへは行かずに、直接昨日の狩場へ向かう。
昨日は森の入口から3つ目の狩場を中心に戦闘をしていた。
今日は1つ目の狩場で魔物と戦うつもりだ。
この1つ目の狩場では芋虫の魔物、ラオペしか出てこない。
まずはジョブを【盗賊】にして、狩場のラオペを全て倒してしまう。
それから薬草を採取し、毒草を一口だけかじってみる。
うげぇ!
超苦い……
舌もビリビリする。
僕は無理やり水で流し込む。
飲み込む瞬間が一番きっつい……
身体に違和感がある。
いわゆる普通の食中毒とは全く違う。
なんだろう、HPにダイレクトにダメージがあるというのは感覚そのままだ。
身体の中から攻撃されているようで、痛みがある。
僕はHPを確認する。
HP:84/85
もちろん減っている。
先程のラオペとの戦いではダメージは受けていない。
毒によるダメージということだな。
それから僕は、ジョブを【見習い聖職者】にしラオペが沸くのを待つ。
今回の目的は行動しながら【ヒール】をすることだ。
そのため、俊敏や器用よりも、魔力と神聖を上げておきたい。
ジョブが【見習い聖職者】のほうが、【ヒール】をするハードルが低いだろう。
2分くらいでラオペが沸いたので、盾を主体として戦ってみる。
うん、いける。
俊敏が下がった状態ではあるが、ラオペなら問題無さそうだ。
ホーンラビットだとちょっと怪しいけど……
それから僕は【ヒール】を意識しながら、防御に徹する。
なかなかうまくいかないな。
ラオペが転がってこっちに向かってくるところまではいい。
ただ、攻撃を盾で受けた瞬間にまた【ヒール】を最初に戻されてしまうような感覚だ。
一瞬【ヒール】への意識が途切れてしまうんだろうか。
そうこうしていると、2匹目のラオペが沸いてしまう。
僕はこれを【見習い聖職者】のジョブのまま、短剣で倒す。
【盗賊】のときと違って、倒すのに時間がかかる。
敵が2匹以上になったらジョブを【盗賊】に切り替えたほうがいいかもしれない。
さらにラオペが沸いたので、僕はジョブを【盗賊】に切り替え、もうすぐ倒しそうだと思ったら【見習い聖職者】に変える。
それからトドメを刺し、残りが1匹になったら防御に徹し、【ヒール】を意識する。
その間も、徐々にではあるが、毒でHPが減っていく。
それから2時間ほど経っただろうか。
一度狩場を離脱して、【ヒール】で身体を回復する。
なんだろう、絶対に無理という感じではない。
もう少しでできそうだ。
そして、毒の効果が切れてしまった。
僕は呼吸を整えて一休みする。
それから、何度も同じことを繰り返す。
◇
ドスッ!
僕はラオペの突進を盾で受け止める。
ぉ!
いけそうだ!
【ヒール】発動が継続されている!
僕の身体が淡く光る。
よし!
できた!
とりあえず防御しながらの【ヒール】はいけたぞ!
この感覚を忘れないうちに繰り返しておこう。
僕は毒草を取り出し、ラオペの攻撃をかわしながら毒草を食べる。
クソまずい!
よし!
さぁどんどん来い!
それからは防御しながらの【ヒール】ある程度できるようになった。
確率で言えば50%くらいだろう。
昨日よりも狩場が近かったので、日が暮れるギリギリまで【ヒール】の練習をした。
1つ目の狩場にずっといたので、薬草は12枚しか手に入らなかった。
赤字がヤバい……
狭間圏
【見習い聖職者:Lv1(↑+1)】
HP:86/86(↑+1)
MP:78/255【見習い聖職者:+11】
SP:0/9(↑+1)
力:16【見習い聖職者:−5】
耐久:15(↑+1)【見習い聖職者:−5】
俊敏:25【見習い聖職者:−10】
器用:11
魔力:21【見習い聖職者:+6】
神聖:32(↑+1)【見習い聖職者:+11】
【魔力操作:Lv16(↑+1)】【炎魔法:Lv11 ファイアボール:Lv0】【風魔法:Lv21 エアカッター:Lv7】【水魔法:Lv1】【回復魔法:Lv15(見習い聖職者+5)(↑+2) マイナーヒール:★ ヒール:Lv5(↑+1)】【体術:Lv1】【短剣:Lv3 ガウジダガー:Lv2】【炎耐性:Lv5】【盾:Lv1(↑+1)】【毒耐性:Lv0(New)】【マルチタスク:Lv0(New)】




