44日目(異世界)後編
15分くらいだろうか。
森の中の道をまっすぐに進む。
途中ラオペが2匹ほど出てきたので倒した。
狩場以外でも普通に出てくる。
すると、またひらけた場所が出てくる。
今度は既にラオペが2匹、それから1匹木のような植物の魔物がいる。
あれがバウームという魔物だろう。
僕は飛び込んで、まずはラオペに【ガウジダガー】を叩き込む。
すると、もう1匹がゴロゴロと転がって突進してくる。
かわしながら、2匹のラオペを相手にしているとバウームが近づいてくる。
こいつは遅いな。
バウームは動きが遅いので、近づいてくる前にできるだけラオペにダメージを与えておく。
ビュン!
あぶなっ!
僕の頭の上をバウームの枝が通り過ぎる。
ヤツ自身の動きは遅いけど、攻撃自体はそれほど遅くない。
それよりもリーチの長さに気をつけないといけない。
ただ、リーチが長いということは、振りかぶったときに軌道が予測できる。
かわすことはそれほど難しくないだろう。
僕はラオペを2匹仕留めたあと、バウームを攻撃していく。
それほど硬い魔物ではない。
ベリベリと短剣が入る。
この感触は悪くない。
少なくとも、芋虫に短剣を撃ち込むよりは全然いいな。
本体の動きが遅いからだろう。
クリティカルヒットが結構入る。
ただし、バウームのHPは結構あるようだ。
30発くらい攻撃したところで倒せた。
僕は魔物を全部仕留めたあとに、狩場を観察する。
また薬草の植物がある。
薬草を3枚ほど採取すると、更に奥へ進むか少し迷う。
もう少しバウームとの戦いが慣れてからのほうが良いだろうか。
いや、ここにいてもHPは上がらないな。
さらに奥へ進もう。
今度は30分くらい進んだだろうか。
さっきよりも大きな広場になっている。
ラオペ2匹、バウーム2匹、ホーンラビット1匹。
合計で5匹もいる。
5匹か。
SPは少し回復して、あと9発【ガウジダガー】が撃てる。
いけるか?
最初にラオペに突っ込み、【ガウジダガー】を撃ち込む。
出し惜しみは無しだ。
とにかく早く数を減らさなくてはならない。
【ガウジダガー】なら2発でラオペを仕留められるので、速攻で仕留める。
が、ホーンラビットが素早いので突進がくる。
攻撃をかわしながら、バウームから遠ざかる。
バウームに関しては、距離をとってしまえば追いつかれることは無い。
僕はかわしきれずに、何発か盾で受け止めるが、【ガウジダガー】でラオペを仕留めたあとは余裕だった。
いつものようにホーンラビットを仕留める。
こいつは干し肉にしたいが、ここでは敵が湧くので無理だろう。
あとはバウームだが、こいつの攻撃はまだ受けたことがない。
大きくブンッ!と枝を振り回すので、盾で受け止めてみる。
ドガッ!
軽く身体が後ろへ飛ぶ。
威力は強めだ。
攻撃力はこのなかでは一番高いな。
この威力なら耐久は上がりやすそうだ。
僕は残りのバウーム2匹も仕留める。
狩場としてはなかなかおいしいんだろう。
今までは何時間もかけてチマチマとホーンラビットを仕留めていたからな。
さらに広場の薬草を3枚採取する。
これ以上奥は危険かもしれない。
ただ、危険を冒さなければ、HPの上昇は見込めないだろう。
僕はステータスを確認する。
狭間圏
【盗賊:Lv1(↑+1)】
HP:71/73【盗賊:+11】
MP:245/245【盗賊:−20】
SP:−8/5【盗賊:+22】
力:15(↑+1)
耐久:11(↑+1)
俊敏:22【盗賊:+11】
器用:10【盗賊:+11】
魔力:20【盗賊:−10】
神聖:28【盗賊:−10】
【魔力操作:Lv13】【炎魔法:Lv9 ファイアボール:Lv0】【風魔法:Lv21 エアカッター:Lv7】【水魔法:Lv1】【回復魔法:Lv13 マイナーヒール:★ ヒール:Lv0】【体術:Lv1】【短剣:Lv2(盗賊+5) ガウジダガー:Lv1】【炎耐性:Lv3】
基礎ステータスの上がりはそれほどないけど、【盗賊】のレベルが上ったのは大きいな。
けどやっぱりこのままではダメだ。
さらに奥へ行こう。
奥の狩場は更に30分くらい時間がかかった。
バウームが2匹、ホーンラビットが4匹だ。
これはヤバい。
だけどなんだろう。
…………
バックン!
バックン!
心臓の鼓動が激しい。
ダメだ、戦いたくて仕方ない。
こいつらを僕が一人で全て倒していいんだ。
いや、危険だろうか……
大丈夫、いざとなったら逃げればいい。
あぁ……もぅ我慢ができない!
僕はホーンラビットへ突っ込み【ガウジダガー】を撃ち込む。
すぐさま他のホーンラビットが突っ込んでくるが、僕は構わず追撃で【ガウジダガー】を撃ち込む。
2発目を撃ち込むとすぐに横に飛び、受け身を取る。
さらにホーンラビットの追撃が来るが、盾で受け流す。
バコッ!
しまった!
バウームが枝を振り回す。
まともに食らってしまった。
「ゲホッ!」
後ろへ転がり、受け身を取るとすぐに構え直す。
これだ……
これだよ……
どうしてこんなに楽しいんだろう?
僕は、安全なレベル上げを求めてはいなかったのか?
さらにホーンラビットが突っ込んでくる。
かわしながらの【ガウジダガー】。
そしてその後はすぐに横へ転がり受け身を取る。
一瞬でも止まれば、まともにダメージをもらってしまう。
動きを止めてはいけない。
木といえば火だろう。
試してみるか。
「【ファイアボール】!」
僕はホーンラビットの攻撃を避けた瞬間、バウームへ【ファイアボール】を撃ち込む。
バウームは燃え上がり、その場でバタバタとしている。
ヤツの動きを止めるには使えそうだ。
僕はとにかく止まらないように、身体を反らし、盾で攻撃を受け止め、さらなる追撃には横に飛び受け身を取る。
隙きあらば、【ガウジダガー】を叩き込む。
6発ほど【ガウジダガー】を撃ち込むと、SPが切れる。
もう通常攻撃しか撃てなくなるが、すでにホーンラビットは1匹仕留めた。
3匹同時なら、多少攻撃をもらうがなんとかなる。
僕は直撃を避けながら、攻撃を続ける。
だいぶダメージをもらった。
【ヒール】を使いながら戦おうと思ったが、避けることに集中できない。
ホーンラビットを全て倒したあと、バウームに向かう。
ここからは作業だ。
1匹を倒し、残りの1匹では、【ヒール】を使いながらの戦闘に慣れるため、こちらからは攻撃をせずに【ヒール】を使いながら攻撃を避ける。
そうこうしていると、新しくホーンラビットがやってくる。
そうか、魔物が沸くことを忘れていたな。
バウームをできるだけ早く仕留めたあと、またホーンラビットを仕留める。
ただし、敵が残り1匹になったら必ず【ヒール】を意識しながら戦う。
1時間も経たずに、体力の限界が来る。
一旦全部仕留めよう。
それから薬草を3枚とよくわからない植物の葉を1枚採取する。
魔素が濃いので、こちらも何かのアイテムだろう。
ホーンラビットの肉は欲しいが、とてもそんな余裕は無い。
一旦撤退だ。
僕は狩場から離れ、水分を補給し、呼吸を整える。
気持ちが高ぶっていたせいで気が付かなかったが、相当ダメージをもらっていたようだ。
しかも、まだ動きながらの【ヒール】全然できていない。
こうして一度休憩を取らなければ、【ヒール】を使うことができない。
クレスともう一度戦うとすれば、戦闘時の【ヒール】は必須だ。
せめて、防御に専念しながらの【ヒール】だけでも習得しなければならない。
僕はHPを回復させ、呼吸を整えると、再び狩場へ突っ込む。
◇
もうすぐ日が暮れる。
このあたりで切り上げよう。
帰りにも狩場を通り、魔物を狩った。
広場にはまた薬草が出ていたので、採取しておいた。
全部で薬草が18枚、謎の草が2枚だ。
結局【ヒール】を使いながらの戦闘はできなかった。
ただし、盾の扱いに慣れた気がする。
数回だけだが、受けるだけでなく、盾で払うことができた。
ある程度の攻撃でも払えるようになれば、敵の隙きをつけるだろう。
金銭的には赤字にはなるが、かなり効率のいい狩りができた。
街に帰る頃には日が落ちていたので、薬草は明日の朝道具屋でカルディさんに渡そう。
僕はいつものようにステータス確認をして眠りに落ちる。
狭間圏
【盗賊:Lv3(↑+2)】
HP:71/75(↑+2)【盗賊:+13】
MP:26/245【盗賊:−20】
SP:−18/8(↑+3)【盗賊:+26】
力:16(↑+1)
耐久:14(↑+3)
俊敏:25(↑+3)【盗賊:+13】
器用:11(↑+2)【盗賊:+13】
魔力:20【盗賊:−10】
神聖:28【盗賊:−10】
【魔力操作:Lv13】【炎魔法:Lv9 ファイアボール:Lv0】【風魔法:Lv21 エアカッター:Lv7】【水魔法:Lv1】【回復魔法:Lv13 マイナーヒール:★ ヒール:Lv1(↑+1)】【体術:Lv1】【短剣:Lv3(盗賊+5)(↑+1) ガウジダガー:Lv2(↑+1)】【炎耐性:Lv3】【盾:Lv0(New)】




