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167日目 異世界-2

僕とトロゲンさんが向かった先には、怪我人が大勢いる。


「では、【エリアヒール】を試してみましょう」

トロゲンさんが魔石を握りしめ、掲げる。

淡い光が周囲に広がり、【エリアヒール】が発動する。


「なるほど……これで5割程度ですか」

「はい」

微妙なリアクションだな。

良いのか悪いのかわからない。


「狭間様の回復職のジョブはなんでしょう?」

「【大司祭】です」


「な!! なんと!!」

「あ……」

しまった。

言わない方がよかったのか?

せめて【司祭】と言っておけばよかったかもしれない。


「く、【空間魔法師】でありながら、魔石作成が可能な【錬金術師】のジョブも習得していらっしゃる。そして、【大司祭】のジョブとあのミドーとの近接戦……」

トロゲンさんが唖然としている。

やってしまった感はあるが、仕方ない。

これから共に外界へ行くのだから、能力を隠していても仕方がないだろう。

それに【ホーリービジュア】で欠損の回復までできることが公になってはまずいだけだ。

そして、その役目も終わっている。


「直接【エリアヒール】を使用していただいてもよろしいでしょうか」

「はい……」

なんというか、トロゲンさんの敬語がより丁寧になったような気がする。


一応ジョブを【大司祭】にしておこう。

「【エリアヒール】」

周囲に淡い光が立ち込め、【見習い聖騎士】の方々が回復していく。

「確かに……先程のおよそ倍くらいの回復力のようですね」


「にしても、すごい怪我人の数ですね」

「はい。しかし、訓練の特性上仕方のないのとです。

 カウンタースキルの習得のためには、ある程度強力な攻撃を受ける必要があるのです」

確かに、新スキルは強力な相手のほうがより習得しやすい。


僕は訓練の方に目をやる。


「次ぃ!!」

上官だろうか。

「お願いします!!」

大剣を持ったガタイの良い人間が、大盾を持った人間に思い切りそれを振り下ろす。


ガギンッ!!


「もう一発いくぞぉ!!」

「お願いします!!」


ガギンッ!!


大盾を持った人間が吹っ飛ばされる。


「次ぃ!!」


吹っ飛ばされた人間の後方から、再び大盾を持った人間が前進し、大盾を構える。


「お願いします!!」


「なるほど……ひたすら大盾で攻撃を受け止め、カウンタースキルの習得を目指すんですね」

「そうです。

 そして同時に【聖騎士】たちの【回復魔法】を鍛える場所でもあります。

 見てください」


僕は再び怪我人の方を見る。

確かに【回復魔法】を使っている人間も大勢いる。

ただし、今までの回復職の方々とは異なる。

みんなガタイがいいのだ。


【回復魔法】を使っているのも、使われているのも【聖騎士】なのだろう。



「【聖騎士】が自身で【回復魔法】を使用しています。

 ですから神聖のステータスと【回復魔法】のレベルアップにも有効なのです。

 ただし、MPは有限ですから訓練には限りがあります。

 そこで、どうでしょうか。

 狭間様の魔石の能力を疑うわけではありませんが、どの程度魔石補充ができるか数日ここで確認させていただけないでしょうか」

「はい。それはもちろん」

久しぶりに神聖のステータス、【回復魔法】の強化ができる。


「先程、【エリアヒール】の魔石がもっとできそうだとおっしゃっていましたが、そちらが出来上がるまで、というのはいかがでしょう」

「はい。あの、僕からも一つお願いしたいのですが」


「なんでしょう」

「僕もここの訓練に参加して、カウンタースキルの習得をしたいです」

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