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159日目 異世界

「なぁ、今日もまた地獄の罠を仕掛けるのか?」

「うん、多分そうなるね」

僕は第六戦線の洞窟の入り口でショーンと話している。

これから中に入って罠を設置するのだ。


「お前ら一体どんな罠仕掛けてんだよ……」

「おいクソガキ、こいつと一緒にするんじゃねぇ」

タンチさんが不機嫌そうに僕を親指でさす。


「ん? じゃああのぐちゃぐちゃの魔物は全部ケンがやったのか?」

「そういうこった」

「あはは……」

僕は頭をかきながら苦笑いする。


「それで、クラールは?」

「あいつなら、テントの中だ」

ショーンが指さした先には、大きなテントがあった。

クラールのものだ。

彼のテントだけは、とても豪華で大きい。

グランピング仕様だ。


「お前が魔物をぐちゃぐちゃにしたせいで具合が悪いんだそうだ」

「昨日も元気がなさそうだったもんね……申し訳ない」


「おい、俺は先に行ってるぞ」

タンチさんがそう言いながら奥へ行ってしまう。

「はい、わかりました。後から行きます」


「ちょっとクラールの様子を見てくるよ。もしかしたら何か【回復魔法】が効くかもしれないし」

「おぉ、行ってこいよ」

僕はショーンにそう言うと、護衛のローシュさんと共にクラールのテントへ行く。


「クラール、具合が悪いんだって?」

僕がテントの外から言う。

「あぁ、ケンか。入ってくれ」


「じゃ、行ってきますね」

「承知しました」

ローシュさんに言い、僕だけ中に入る。


相変わらず中は豪華である。

大きなベッドに豪華なテーブルやティーセットが置いてある。

中では、ベッドに腰掛けぐったりしているクラールがいた。

「申し訳ない、僕の罠のせいで……」

「いや、僕が不甲斐ないんだよ」

クラールはぐったりしている。

不思議なことだが、ぐったりしていて髪もボサボサなのに清潔感の極みなのだ。


「こういうときって何か効くような【回復魔法】は無いの?」

「残念ながら無いね……肉体にダメージがあるわけじゃないから」

そうなのか。


「僕だって【解体】スキルを習得するために、この手で魔物を解体したことがある。だけどしばらくスキルに頼っていたせいで、免疫が無くなってしまったのかもしれないな」

そういうと、クラールの顔がひきつる。


「うっ……」

マズイ!!

吐くのか!?

「大丈夫!?」

なぜかわからないが、クラールが吐くのは見てはいけない気がする……


「いや、大丈夫……僕の口からは虹しか出ないんだ」

「え?」

このイケメンは何を言っているのだろうか……


「そう……絶対に……虹しか出ない……出ないんだ」

「相当重症だね……」

今日の狩りはやめておいた方がいいのではないだろうか。

なにせ【ギロチン】が発動するだろうし、どうなるかわからない。


「とりあえず今日は休んだ方がいいよ」

「ありがとう……そうさせてもらうよ」

僕はテントを出て、ショーンのところへ向かう。


「あのさ、クラール相当重症っぽいよ。今日は狩りを休ませた方がいいと思う」

「そうなのか? まぁあいつが休んでる間に、どんどんレベル上げてやるぜ」


「うわ……容赦ないね。僕もしばらく前衛としては戦えてないから、差をつけられてそうだよ」

「お前さ、回復メインじゃなかったのかよ? 昨日罠で魔物をぐっちゃぐちゃにしたのもそうだけど、一体何を目指してるんだ?」


「いや、目指すと言うか、成り行きで罠を鍛えてるだけだよ。目的はフヨウの回復で、そのためにギルド貢献度が必要なだけなんだけど」

「そうか? お前、なんかいろいろ楽しんでそうだけど……」

ショーンがジトッとした目で僕を見てくる。

失礼な……













一通りの罠を仕掛け終わり、酒場へ来ている。

今日も【回転ノコギリ】を設置しまくった。

しかし、本命の罠は【ギロチン】である。


「今日はここだ」

「ここって……」

タンチさんの魔道具によって、水晶に洞窟が映し出される。

まだ魔物が外へで始める前の夕方であるにもかかわらず、大量の魔物が映し出される。


「おぅ、昨日お前が【ギロチン】を仕掛けたとこだ」

「あのとき魔道具を設置しておいたんですか?」


「ま、そういうこった」

いつの間に仕掛けたんだろうか。

「でも、あんな奥深くに魔道具を置いてきてもいいんですか?」

魔道具は貴重なもので、もちろんお値段も高い。

それをあんな魔物が湧き出るところに置いてきてしまうとは。


「あぁ、これか?」

ジャラ……

タンチさんは、10cmくらいの青く光る石を出す。

魔石っぽいな。


「それです。それで写した映像がこの水晶に出てるんですよね?」

「そうだ。だが、こいつ自体はそんな馬鹿みたいに高いもんじゃねぇ。この水晶の方は別だがな」


そういうことか。

「なるほど。その洞窟内に設置した方の魔石はそこまで高価じゃなくて、水晶の方が超高価なんですね」

「ま、そういうこった」

タンチさんは機嫌が良さそうに酒を飲む。


「だがな、今日はここにしか設置してねぇぞ。お前の【回転ノコギリ】は飯も酒もまずくなるからな」

「そ、そうですね……」

確かに、【回転ノコギリ】付近の映像が出たところで、ただのグロ動画なのだ。

食事をしながら見るものではない。


「おい、お前【ギロチン】ってのは大丈夫なんだろうな?」

「いや……まだわかりません」

だって発動したことないもん。

【回転ノコギリ】だってあんなことになるなんて知らなかったし。


「おい頼むぜ……」

タンチさんはやれやれといった感じで再び酒を飲む。


「あ……30時間たったようです」

仕掛けた罠の感覚が変わる。

「ほぉ……」


「あれ……?」

けど、おかしいな。

「どうした?」


「発動時間が経過した感覚なんて初めてです。【トラバサミ】や【回転ノコギリ】ではこんな感覚ありませんでした」

「そりゃ、任意発動型だな」


「任意発動型?」

「あぁ、罠にはいくつか種類があって、仕掛けておけば勝手に発動するやつがある。それが自動発動型、【トラバサミ】や【アイアンアロー】それから【回転ノコギリ】は全部自動発動型じゃねぇか?」


「なるほど。確かに、魔物が通ったときに勝手に発動してくれますね」

「ほら、昨日【ギロチン】を仕掛けたところを見てみろ」


「はい。あ……発動してませんね」

天井に【ギロチン】を仕掛けたわけだが、その下に魔物がいるにもかかわらず、特になんの反応もない。

「これが任意発動型ってわけだ。お前のタイミングで発動できんぞ」


「おぉ!! 本当ですか!? やってみていいですか?」

「いや、まだやめとけ」

タンチさんはくいっと酒を飲んでニヤリと笑う。


「SP消費量、発動時間から考えると相当でかい罠だ。大物が来たときに発動させてみろよ」

「なるほど! はい! そうします!」










「こいつだ……サイクロプスだな」

「うわ……確かにでかいですね」

大きな一つ目の魔物がのそのそとやってくる。


「あれってボスではないんですか?」

「いや、ボスじゃねぇな。ただし、かなりつえぇぞ。戦線の冒険者でも結構時間がかかる。でかい身体だからな。いつもは、洞窟から出てきたところを袋叩きにするんだ」


「確かに、洞窟前の冒険者の方々はかなり強そうでしたよね」

まぁショーンたちもいたし、他の人たちもかなりの実力者だろう。


「そうだな。罠を突破した時点でかなり弱らせておきたい」

「ですね……」


「よし……そろそろ来るぞ。【ギロチン】の下に来たときに発動させてみろ」

「はい……」


サイクロプスはゆっくりのそのそと【ギロチン】の近くへとやってくる。

まだだな……

もう少しか?


「今だ!」


ズドンッ!

幅3m、高さ2mくらいの分厚い金属の刃が天井から落ちてくる。


ズシャッ……


ギロチンの刃にサイクロプスの上半身がへばりつき、ズリズリと下がっていく。

胸から上だ。

真っ二つである。


「おいおい……一発かよ……」

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― 新着の感想 ―
水晶で見てなかったら使えなかったんじゃ? 下手したらフレンドリーファイアの可能性も・・・
[一言] 『つぎラノ』投票してきました。 次巻も楽しみにしています。
[一言] 罠(使用者の嗜好を反映しています)使いの職業って殺意強めなんですね!
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