158日目 日本
ドシャッ……
僕は【魔力庫】から地下室の穴に魔物の残骸を出す。
昨日までは、魔物の血液と骨を材料に【魔石生成】を使っていたわけだが、今日はちょっと材料が違う。
というのも、昨日の【回転ノコギリ】が原因だ。
これまでは、僕とタンチの罠で弱りきった魔物を入り口の冒険者たちが討伐。
それから彼らが魔物の素材を取り、余った血液と骨をギルドでもらっていた。
しかし、昨日は違う。
僕の【回転ノコギリ】が、魔物をズタズタにしてしまった。
素材として使える状態では無くなってしまったので、僕のところに大量の魔物の残骸があるのだ。
冒険者には、申し訳ない……
これでは【毒ガス】を使わなかった意味が無い。
罠を設置するときに、きちんと謝ろう。
そして【魔石生成】だが、魔物の血液と骨以外にも、死骸であれば材料として使用することができる。
だから、昨日よりもより多くの魔石を生成することができるわけだ。
昨日は【ハイリカバリ】の魔石を作りまくった。
それにより【トラバサミ】よりも消費SPの高い【回転ノコギリ】を設置を大量にできたわけだ。
これから異世界でまた罠を設置するわけだが、【回転ノコギリ】はもうやめたほうがいいよな……
新しく習得した【ギロチン】についても、魔物をぶった斬るわけだから、素材は微妙なのでは無いだろうか。
となると、SPはそれほど必要ないんじゃないだろうか。
今日も結構な魔石ができるわけだが、何にしようか……
候補としては、【オートヒール】と【転移】だ。
【オートヒール】の魔石は、所持しているだけでピンチのときに発動してくれる。
できるだけ多く持っておきたい。
それから、【転移】については、自分で【転移】の魔法を使ったとき、クールタイムが発生する。
だから日本でも異世界でも、日中10回程度しか使えないわけだが、魔石だとそんなことはない。
補充する場合は、結局僕が魔法を使うのでクールタイムが必要だが、一度魔石に込めた【転移】であれば連続で使うことができる。
【結界魔法】のような特殊な空間でなければ、逃げることも可能だ。
外界に行く前には用意しておきたいところだな。
よし、今日は【オートヒール】にしておこう。
HPを減らすのであれば、【フレアバースト】だな。
僕は、空の魔石を左手に握りしめ、深く腰を落とす。
「はっ!」
【フレアバースト】!!
ボゴオォォォォン!!
げ……
しまった……
音が外に漏れないようにと、地下室で【フレアバースト】を発動したわけだが、土埃がやばい。
部屋がそれほど広くないので、音の振動がダイレクトに伝わってしまうのだ。
しかも、最悪なことに【オートヒール】が発動していない。
硬い対象に【フレアバースト】をするよりも、空撃ちの方がダメージが少ないのだ。
少しだけ回復してもう一発撃ちたいところだが、土埃が半端ではない。
一旦地下室を広げるべきだろう。
◇
【魔導合成魔法陣】と【魔石合成】を一通り発動させた後、地下室を広げる作業をする。
ただ広いだけでは、あまりよろしくない。
床、天井、壁は石材にしていったほうが良いだろう。
風呂を造ったときと同じように進めればいいか。
僕は地下室をどんどん広げていく。
今日は土まみれだ。
風呂に入っておくか。




