表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

268/312

154日目 異世界

ザザァ……

「あの、これって錬金棟にすべて持って行ってもいいんでしょうか」

「これは、昨日一日で合成したのか?」

僕は朝からシトン様のところへ来ている。

昨日、魔石を合成しすぎた件で錬金棟の局長から怪しまれている。

その上、今日はさらにその量を大きく上回る量を合成したのだ。

シトン様が、昨日局長へ手紙を書いてくれたが、それでも一応確認しておいたほうが良いと思って相談してみた。


「はい。【魔導合成魔法陣】を習得したことで、大幅に効率が上がりました。今は【魔力庫】を強化中で、明日にはさらに合成できると思います」

「それは……確かに良い判断だな(なんなんだこの量は……)」

シトン様の顔が引きつっているように見える。

あまり感情を表に出さない人だと思っていたが、予想以上の量だったのだろうか。


「では、この量の半分、いや、4分の1を持っていきなさい。

 そうだな……

 狭間君が持っていく必要もないだろう。

 ローシュに運んでもらいなさい」

「はい」

【魔力庫】も【ストレージ】もあるから、別に僕が持って行っても問題ないと思うんだが。


「狭間君は当分錬金棟へ行かないほうがいいだろう。

 変に勘ぐられても困るからな」

「はぁ……」

マジか。

錬金棟でのお勉強は早くも終了ということになる。


「それから、合成前の魔石も全てローシュに運搬してもらおう」

「あの、それでしたら、薬学棟で【薬師】のスキル上げをしてきてもよろしいでしょうか」

シトン様は、眉間にしわを寄せる。


「(この……糞ガキが)

 狭間君、考えてくれたまえ。

 キミは豊富なMPで魔石を合成してくれている。

 これは非常にありがたい。

 しかし、だ。

 量が尋常ではない。

 キミを利用しようという輩が出てきてもおかしくはない。

 むしろ、出てくる方が自然だろう。

 ここまではわかるな?」

「はい」

まずい……。

完全に説教モードにさせてしまったようだ。


「そして、早くも錬金棟の局長に怪しまれている。

 この上薬学棟の連中に目をつけられれば、もっとやっかいなことになる。

 大量の魔石を合成している上に、【調合】までし始めたら、生産工場だと思われるだろう」

「生産工場ですか……」

工場っていうのはなんか嫌だな。


「そうだ。

 そして、厄介なのは不老薬の存在だ。

 不老薬の生成のためには、様々なポーションが必要になる。

 キミのMPが豊富でしかも【リカバリ】でSPの回復が可能と分かれば、それこそ監禁されるぞ」

「あの、ここは安全な場所ではないんですか?」

ここにいれば監禁されるような危険はないと思っていた。

それに、ローシュさんもいるわけだし。


「なにも、武力での監禁が全てではない。

 たとえば、キミに媚薬を飲ませ、近づいてくる女性たちもいるだろう。

 そして、キミ自身の意志で不老薬や美容薬の生産工場になるわけだ」

「そ、それは非常に怖いですね」


「わかったら大人しくしておいてくれ。

 ロゲステロンのリハビリでも手伝ってあげなさい。

 必要なものがあったらローシュにでも言うと良い」

「わかりました……」

少しの間、生産系のスキルは日本でのみ上げよう。

異世界では、ロゲステロンさんとの修行で、前衛のステータスを上げるべきだな。


「ふぅー……

 (こいつは、修行になると頭が悪くなるタイプだな)」

シトン様は大きなため息をつく。









「【魔影脚】!」

ドスッ!

全力の【魔影脚】だが、ロゲステロンさんの大盾に衝撃を吸収されてしまう。

「よし、一度休憩をいれるぞ」

「はい!」

というわけで、地下でロゲステロンさんに鍛えてもらっている。


「その装備はどの程度のものなんだ?」

「これはレッドクロコダイルの素材ですね。

 以前第三戦線で修行をしていましたので、その素材を使っています」


「なるほどな。

 悪くはないが、お前、武器は無いのか?」

「はい。

 短剣を使うこともありますが、今は【魔影装】での【体術】のほうが使いますね」

それに今は短剣を持っていない。

ギュエンとの戦いで短剣が砕けてしまった。

短剣を使えば【狂乱の舞】を使うことができるし、一本は持っておいたほうがいいか。


「【体術】で戦うにしても、手甲や脚甲は装備しておいたほうがいいんじゃないか?」

「たしかにそうですね。

 今までは後衛でパーティにいることが多かったので、武器についてはあまり考えていませんでした」


「それだけ戦えるなら、前衛としての武具も考えたほうがいいぞ。

 ここならそれなりのものは揃うはずだ。

 さっそくローシュに持ってきてもらえ」

「はい。ローシュさんに頼んでみますね」










「お持ちしました。

 手甲と脚甲です」

「ありがとうございます」

ローシュさんに頼んで、腕から拳にかけて防具にも武器にもなりそうな手甲、それから脛からかかと、つま先までを覆っている脚甲を持ってきてもらった。


「軽いですね」

「はい。

 いずれもここの錬金棟で制作しているものです。

 代金は魔石合成分から引いておくとシトン様から伺っています」

かなりの量の魔石を合成しているからな。

お金の方にも余裕がある。

素材についてはわからないが、軽くて硬い。

ものは良いはずだ。













「よし、そいつを装備して全力で撃ち込んで来い!」

「はい!」

僕は全力で【魔影装】を発動する。

「【魔影脚】!!」

踏ん張りを効かせ、勢いとともに回転し、蹴りをぶちかましていく。

ドスッ!


「ん?」

「【魔影連脚】!!」

僕は蹴りの衝撃を利用し、逆回転からの【魔影連脚】を次々にぶちかます。

ドドドスッ!


「おい、ちょっと待て」

「え?」

スタッ……

僕は後ろへ飛ぶ。


「全力か?

 こっちのことは気にせず全力で撃ち込んで来い」

「はい!」

あれ?

おかしいな。

さっきも全力のつもりだったんだけど。


「【魔影脚】!

 【魔影連脚】!」

ドスッ!

ドドスッ!

先程と同様に全力で蹴りをぶちかまし、反動で後ろへ飛び着地する。

スタッ!


「おい、いまのが全力なんだな?」

「はい……」


「おい、今度は手甲と脚甲をはずせ」

「え? はい、わかりました」

僕は先程ローシュさんに持ってきてもらった手甲と脚甲を言われたとおりにはずす。


「よし、もう一回全力で来い」

「はい!」

僕は、三度【魔影脚】と【魔影連脚】の連撃を繰り出す。

ドスッ!

ドドスッ!


「あれ?」

おかしい、さっきよりインパクトが強いのだ。


「変です。

 装備、外したほうが強い?」

「あぁ、間違いないな」


「どういうことなんでしょう?

 武器を外したほうが威力が強くなるなんてことあります?」

「いや、普通は無いな

 普通は……」


「お前のその【魔影装】ってのは、MP消費で攻撃しているんだろ?」

「はい、そうです」


「それだな」

「え?」


「その手甲と脚甲や武器であると同時に、防具でもあるだろ?

 魔法耐性だ。

 魔法の威力を軽減してくれる機能もある。

 そのせいで、お前の【魔影装】の威力が落ちてるんだな」

「えぇ!?

 それじゃ武器なんて装備できないじゃないですか」

マジかよ。


「いや、違うな。

 正確には武器が装備できないんじゃなく、今回のような防具の役割もするような装備は適さないってことだ」

「なるほど、武器は普通に装備できるってことですよね?」

確か、ギュエンに短剣で【狂乱の舞】を使ったときは十分な威力だった。

武器は問題ないはずだ。


「おそらくそうだな。

 防具の機能が無い攻撃特化の手甲や脚甲か……

 完全受注だな」

「た、高そうですね」


狭間圏はざまけん

【魔闘家:Lv47】

HP:441/408【魔闘家】:+33

MP:11/1228【魔闘家】:+33

SP:9/520+1【魔闘家】:-21

力:72+1【魔闘家】:+14

耐久:132【魔闘家】:+14

俊敏:74+1【魔闘家】:+73

技:67+1【魔闘家】:+43

器用:127【魔闘家】:-21

魔力:89【魔闘家】:+14

神聖:154

魔力操作:206【魔闘家】:+53

【転移】Lv41+1

【魔影装】Lv52+1

【魔影脚】Lv18+1

【魔影連脚】Lv14+1

【魔影連撃】Lv9+1

【魔影突】Lv8+2

【魔影風神脚】Lv6+2

第一巻 Amazon等で無料で30ページほど読めるようです。

ピッコマだと無料でももっと読めるようです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] >こいつは、修行になると頭が悪くなるタイプだな 自傷もいとわない主人公は珍しい
[一言] フレアバーストに耐えられる手甲や脚甲じゃないと使う度に買い替えるハメになる・・・金で解決できるから問題ないか。武器・防具は壊す前提のスタイルだし、ステータス補正付きのお高い装備はアクセサリが…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ