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152日目 異世界 前編

「なにか興味のある魔導具はある?」

「そうですね……現状は血鎖(けっさ)の指輪ですね。

あれについて何かわからないと、フヨウが……仲間が意識を失ったままですので」

僕は朝から錬金棟で勉強中だ。

今日も局長から錬金術についていろいろ話を聞いている。


「それね。まぁここにいる間に魔導具の研究をするしかないよね」

「はい」


「それとは別に、そうだな、何か作りたい魔導具って無いの?」

「そうだね。ここの人たちはさ、お金を稼ぐって目的もあるんだけど、だいたい人間は何か作りたいものがあんだよ。だからキミも何か目標があったほうがいいんじゃないかな」


「なるほど。 しかし、そもそもどんな魔導具があるのかあまり知識が無いんですよね」

「あぁ、それは良くないね。中を見学してくるといいよ。キミ、魔石の合成をしているんだろう?」


「はい。毎日小さい魔石を受け取って、ある程度合成して納品しています」

「それじゃ、そこの職員に言っておくよ」



「いやぁ、今日もありがとうございます。なにせ十年分の魔石ですからね。まだまだあるんですよ」

シトン様の指示で、魔石の合成をしている。

この錬金等で使い物にならないほど小さな魔石を受け取り、【魔導合成】を使って魔石を合成していく。

魔石を受け取ってからは、異世界でも【魔導合成】を使っているが、メインは日本だ。

日本でMPが使い放題のときに、魔石を合成している。

この魔石の合成は、錬金等の若手……若手と言ってもここでは30〜40代のようだが、彼らがメインで合成をしている。


「それで、僕は魔導具について知識がほとんどありませんので案内していただけないでしょうか」

「はい。もちろんですよ」

職員の方はにこやかに答えてくれる。


「狭間さんが来てまだ数日ですが、使い道のない大量の魔石が少し減りましたからね。これまででしたら考えられないことです」

「そうなんですか?」


「えぇ。魔法を入れられる最小の魔石は、だいたいこれくらいの大きさです」

「いつも合成してくる大きさですね」

職員の方は3cmくらいの魔石を見せてくれる。

これより小さいと魔石は使い物にならないのだ。


「御存知の通り、今いる部屋が魔石を合成する部屋で、こちらが一番広い部屋ですね、職員も一番多くここにいます」

僕はうなずく。


「魔石はこの使える最小単位にさえしてしまえば、需要がありますからあまることはありません。それに【魔導合成】の出来はスキルレベルや器用のステータスに依存しません。作成スピードにのみ依存しますから。【錬金術師】なら誰でもできるんですよ」

「なるほど」



「次に大きな部屋がこちらです。こちらは教会から最も近い位置にあります。ここで【魔導命令】によって魔石を魔法として使えるようにします」

「僕が知っているのはこれです。アインバウムの教会では、魔法補充の仕事をしていました」

やっぱりこれが一番需要があるんだろうな。


「では、次にあちらの部屋へ参りましょう」

「はい」

結構部屋があるな。


「こちらは、主に調理器具や食品加工に使う魔導具を作成しています」

「僕が購入した冷蔵庫もここで作られてるんですね」

冷蔵庫やコンロのようなものがある。


「これって魔導具なんですか?」

僕はフライパンを指差す。

コンロの実演用に置いてあるのだろうか。


「そうですね。こちら【加熱】の魔法が使われています。ここに魔石が入っています」

「ほんとだ」

取っ手のところに小さな魔石が入っている。


「もしかして、これだけで焼くことができるってことです?」

「そうですね。多少MPは消費しますが、それほどではありません」

なるほど。

フライパンに直に魔石が埋め込んである。

フライパン自体が加熱されるため、コンロなどが必要ないようだ。


他の魔導具もよく見ると、見たことがあるようなものが置いてある。

あれなんか完全にミキサーだろう。



いろいろと見学した。

家電製品のようなものが多かったな。

ちなみにトイレもあった。

日本では自分で作ったわけだが、ここで買ったものを【ストレージ】で日本に持っていくこともできたな。

ただ、自分で作ることによりスキルや器用のステータスが上がるので最終的には作ったほうがいい。


「次はこちらです」

「おぉ……」

鍛冶場だろうか。

高そうな武具が並べておいてある。

「こちらは様々な魔法を武具に付与しています。使われる魔石は【回復魔法】の他に【補助魔法】が多いんです。装備に魔石が付いていれば、【補助魔法】がすぐにかけられますからね」

「なるほど」

別で魔石を持っているよりも、効率が良いわけか。


「しかし、かなり高そうですね」

「そうですね。ここで作成しているものは、素材から高価な物が多いです」

いずれここの装備に買い替えたい。



「今日はありがとうございました。勉強になりました」

「いえいえ。こちらこそご購入ありがとうございます。またこれからも魔石の合成をよろしくお願いします」


僕は錬金棟を一通り見て回ったので、職員の方にお礼を言う。

ちなみに魔導具も購入した。

魔石付きのフライパンと鍋だ。

いずれも【加熱】の魔法が入った魔石。

それから、電子レンジ。

正確には、魔石が付いた箱だ。

この魔導具にも【加熱】の魔石がついている。

3つとも日本で使うようの魔導具だ。

これらがあれば、電気なしでも調理器具を使うことができる。


あとは【結界魔法】の魔石は是非ほしい。

今はソロで野営することは無いが、僕の場合異世界では夜目覚めることはない。

【結界魔法】の魔石がないと危険だろう。

そして中でも最も必要なのは、【虫よけ】の【結界魔法】だ。

日本で是非使いたい。

何故買っていないかというと、単純に品切れ状態だったのだ。

【結界術師】のジョブは僕も持っていないし、かなりレアらしい。

だから魔石の入荷もほとんど無い。

多少値が張っても【虫よけ】は手に入れておきたかったな。


いろいろ見て回ったが、どの魔導具も結局は魔石の魔法がベースとなっている。

ということは、血鎖の指輪のようなステータスを奪い取るような魔法があるということだろうか。

いやいや、そんなチートあり得ないだろう。

しかし、ステータスを奪い取る魔導具が存在するなら、ステータスを譲渡する魔導具があってもおかしくはない。

指輪から人に戻すことができれば、フヨウの意識が戻る可能性もあるよな。

虫よけ案いただきました。




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― 新着の感想 ―
[一言] 久しぶりに全部読み直したら内容変わった?と思ったけど1日目からのやつがなくなったのか。 カルディと出会うまでの部分をカットした感じですかね。 
[良い点] 更新待ってました!今日もすごく面白かったです!
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