41日目(異世界)後編
今日は2匹のホーンラビットと戦い、4匹の解体加工をした。
いつもよりもギルドへ向かう時間が遅い。
治療所にはちらほら冒険者が来ていた。
席はまだ空いていたので、席に座り、冒険者を回復していく。
初日よりも、回復速度が上がってきた気がする。
それよりも、明らかにわかるのが、【マイナーヒール】を使ったときの淡い光だ。
これは光が強くなっているな。
1発での回復量は体感的にも上がっている。
カチャリ……
なんだろう?
頭の中で、何かがハマる感覚があった。
ぇ?
さっきよりも光が強い。
回復速度もやや上がったか?
おかしい。
この世界のステータス成長はこんなに一気にはこない。
「ぉ!
おめでとう。
【僧侶】のジョブじゃないか?」
「ぇ? ジョブですか?」
治療中の冒険者が教えてくれる。
急に回復量があがったことに気づいたんだろう。
僕はステータスを確認する。
狭間圏
【見習い聖職者:Lv0(New)】
HP:40/41
MP:164/224【見習い聖職者:+10】
SP:1/2
力:13【見習い聖職者:−5】
耐久:5【見習い聖職者:−5】
俊敏:17【見習い聖職者:−10】
器用:8
魔力:15【見習い聖職者:+5】【ステッキ:+3】
神聖:16(↑+1)【見習い聖職者:+10】【ステッキ:+5】
【魔力操作:Lv9】【炎魔法:Lv5 ファイアボール:Lv0】【風魔法:Lv21 エアカッター:Lv7】【水魔法:Lv1】【回復魔法:Lv7(見習い聖職者:+5)(↑+1) マイナーヒール:Lv11(↑+1)】【体術:Lv1】【短剣:Lv2 ガウジダガー:Lv0】【炎耐性:Lv0】
「【見習い聖職者】というジョブになってます」
「おぉ、そりゃ良かったな」
「はい!ありがとうございます!」
【見習い聖職者】?
【僧侶】ではないのか?
まぁ恐らく同じようなジョブだとは思うけど。
ステータスを見ると、ジョブはステータスに補正がかかるみたいだな。
回復量と回復速度が一気に上がったのはこれか。
そのおかげで、他の人の回復量、回復速度とほとんど同じになった。
MPだけは僕のほうが多いから、それでもこの席にはしばらく座っていることになるけど。
これで地雷と呼ばれることは無いだろう。
それにしても、もう日が暮れるというのに冒険者は続々とやってくる。
それに対して、回復する人はやや少ないな。
やはり【回復魔法】の需要は高そうだ。
その後もMPが切れるまで回復し続けた。
今日の治療費は、420セパタだ。
【見習い聖職者】のジョブの効果により、順調に増えている。
ホーンラビット2匹でも赤字は100セパタまで抑えられた。
満足して、ギルドから帰ろうとすると
「おい、地雷。
お前迷惑だからもう来んなよ」
この前僕が回復をした少年が話しかけてくる。
赤い髪の目つきが鋭い少年だ。
身軽な装備に、両手に手甲をつけている。
武闘家だろうか。
「ぇ?
でも【回復魔法】は不足してるみたいで、ギルドからは歓迎されてるけど?」
しかも、今日の回復速度は悪くない。
彼らは僕の今日の回復を見ていないのだろう。
少年はパーティの仲間とやれやれ、といった感じで話す。
「だいたいお前さぁ、歳いくつよ?」
少年の後ろには2人いる。
恐らくパーティメンバーだろう。
一人は縦にも横にも大きい。
目が小さく、鼻が大きい。
多分戦士だろう。
もう一人は、同じく長身だが細身でタレ目の少年だ。
装備からすると、魔法使いか僧侶だろう。
いずれにしろ魔法系だ。
クスクスと笑ってこちらを見ている。
「18歳だよ」
彼らはぎょっとして、そのあと爆笑する。
「おいマジかよ!
聞いたかミューロ!
歳上だとは思ったけど3つも上だったぞ!」
「なぁクレス!
だから言ったろ?
結構上だって!」
「 なぁなぁ、その歳で神聖Fで治療所来て、恥ずかしくないわけ?」
どうやら赤髪の武闘家がクレスで、大柄の戦士がミューロというらしい。
参ったな。
こういうしょーもない奴って何処にでもいるのか。
僕は思ったままのことを正直に言う。
「まぁちょっと恥ずかしいけど、ステータスが上がるまでは仕方ないかなぁ」
この恥ずかしさを乗り越えないと、結局ステータスは上昇しないからだ。
「だ!か!ら!
それが超迷惑だっつってんの!」
「いや、それじゃステータス上げられないでしょ」
「知るかよ、そんなこと」
クレスとかいうヤツが僕を睨みながら言う。
「まぁそのへんにしとけよ、18歳のお兄さんが困ってるだろ?」
ミューロとかいうヤツがそう言うと、また3人が爆笑する。
「いや、悪かったわ。
お前面白かったから許してやるよ。
明日からはマジで来んなよ」
クレスはそう言うと去っていった。
……胸糞が悪い。
彼らが思うよりは、今の僕の回復は早いだろう。
しかし、弱いのは事実だ。
そしてこれまでの修行効率は悪くない。
このまま順調にいけば、バカにされることも無くなるだろう。
宿屋では、残りMPとSPを消費するために、【ガウジダガー】を空撃ちした。
今日一日を振り返る。
ジョブの効果は大きいな。
ステータスのマイナス面はあるものの、トータルではプラスになるようだ。
明日はカルディさんにジョブについていろいろ聞いてみよう。
そんなことを考えながら、ステータス確認をして眠った。
狭間圏
【見習い聖職者:Lv0】
HP:41/41
MP:6/224【見習い聖職者:+10】
SP:1/3(↑+1)
力:13【見習い聖職者:−5】
耐久:5【見習い聖職者:−5】
俊敏:17【見習い聖職者:−10】
器用:8
魔力:16(↑+1)【見習い聖職者:+5】
神聖:19(↑+3)【見習い聖職者:+10】
【魔力操作:Lv9】【炎魔法:Lv5 ファイアボール:Lv0】【風魔法:Lv21 エアカッター:Lv7】【水魔法:Lv1】【回復魔法:Lv8(見習い聖職者:+5)(↑+1) マイナーヒール:Lv12(↑+1)】【体術:Lv1】【短剣:Lv2 ガウジダガー:Lv0】【炎耐性:Lv0】




