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149日目 異世界 前編

森で目覚めると、周囲を警戒する。

あれだよ、あれ。

爆弾小僧がいくつか置いてある。

「スー……ハー……」

僕は大きく深呼吸をする。

落ち着け。

このぶちのめしたい気持ちを抑えていく。

そう、あいつはカワイイカワイイ爆弾小僧。

攻撃してはならない……


全ての爆弾小僧を【ストレージ】へと収納していく。

野営の装備を一通り片付けると、小さな魔石が光っている。

イヴォンさんからの呼び出しである。












「準備が整いました。

王都へ向かいましょう」

「わかりました!」


僕はイヴォンさんと一緒に街のポータルへと向かう。

イヴォンさんが守衛にギルドカードを見せて、ポータルを使用する。

僕の分は使い切りのカードで、王都のギルドへ行き、王都とアインバウムの行き来ができるように手続きをするようだ。









でかい……

ポータル周りが城壁のように高い壁に囲まれている。

守衛の人数も多いな。

周りの建物には交代の守衛もいるのだろうか。

僕たちは守衛さんに軽く挨拶をし、扉を通る。


扉を通ると、これまたでかい……

五階建てや六階建ての建物がずらりと並んでいる。

「イヴォン司祭、お待ちしておりました。

こちらへどうぞ」

イヴォンさんを迎えたのは、小綺麗な中年男性だ。

そして、僕たちを馬車に案内する。

豪華な馬車である……

「す、すごいですね……」

僕は少しビビってしまう。

「えぇ、狭間さんにはご自身の能力を自覚していただきましょう」


「あれ?」

馬車に入ると違和感がある。

中が広いのだ。

「【空間魔法】が付与されているのですよ」

僕の疑問を感じ取ったイヴォンさんが説明してくれる」


「まずは王都での狭間さんのするべきことについて、確認をしましょう。

ちなみにこの馬車は防音です。

あのことをお話しても大丈夫ですよ」

「なるほど……」

あのこと、というのは僕が日本と異世界を往復していることだろう。


「これからすべきことっていうと、まずはギルドカードの更新ですか?」

僕は王都へのポータルを初めて使った。

一回きりなら、使い捨てのカードでポータルを使うことができる。

ギルドカードを更新すれば、無制限にポータルを使うことができるようになるはずだ。

何かと便利になるだろう。


「いいえ、ギルドへ行く必要はありません。

それはこれから行く場所でやってもらいましょう」

「そうなんですか。

ではどこへ向かっているのです?」

「中央東です。

王都の軍事や教会、錬金術や薬学を扱っているところですね」

「なんだかすごそうですね……」

「そうですね。この国の中枢と言っても良いかもしれません。

王都は王宮を中心に東西に別れています。

中央西には、政治や裁判を扱っています」

僕たちが向かっているのが中央東。

中央西が政治や裁判を扱うなら、今の僕には関係がない場所だ。


「まず、狭間さん、これからお話する内容を必ず守ってください」

「はい……」

なんだろうか。

防音の馬車で話す内容だから、外には出したくない話なのだろう。


「第一に【ホーリービジュア】についてです。

この魔法については、誰にも言ってはいけません」

「はい……」

「狭間さんは、一度賊に誘拐されています。

さらにマヤシィナでもさらわれていますね?」

「はい、そうですね……」

その節は申し訳ございませんでした……


「狭間さんの危機管理能力について、問題があります。

さらに【ホーリービジュア】ほどの【回復魔法】が使えることが周囲に知れ渡ってしまえば、危険度は跳ね上がります」

「はい……」

「もし仮に、外に知られてしまった場合は、最悪一生を中央東で生活してもらうことになります」

「え!?」

マジか。


「中央東でしたら安全ですからね。

そこで、魔石の生成などの仕事に従事していただくことになるでしょう」

「一生ですか?」

「はい、一生です。

それが嫌なら、誰にも言わないでください」

「わかりました……」


「次に、これからの仕事ですが、とある方の治療をしていただきます。

これについても、内密にする必要があります。

部位欠損が修復されるわけですからね。

狭間さんが回復したことが外に漏れてはいけません」

「了解です」


「それから中央東では、基本的にシトン様の指示に従ってください。

中央東を取り仕切っている人物で、サワナ様の実弟です」

「……………………」

マジかよ……嫌な予感しかしないんだけど……


「安心してください狭間さん。

シトン様は極めてまともなお方です」

「え?

あぁ……はい……」

表情に出てしまったのだろうか。

イヴォンさんは、こちらが聞いてもいないのにまともな人だと教えてくれる。


「ですから、シトン様には、異世界と日本を往復していることや、【狂戦士】についてもお話してしまって大丈夫です。

むしろ、わかっていることは全てお話しておいたほうが、今後有益なはずです」

「わかりました」

イヴォンさんがここまで言うとは、サワナ様と違って立派な人なのだろう……と思いたい。


「中央東では学ぶことがたくさんあるでしょう。

戦闘、魔法、錬金や薬学、全てが高水準です。

フヨウさんの治療に役に立つことがあるかもしれません。

私やカルディも情報を集めますが、狭間さんもこちらでできることをやってみてください」

「はい!ありがとうございます!」













中央東へ到着する。

僕はイヴォンさんに続き、馬車から建物までを歩く。

整備された美しい庭園。

石畳がきれいに並んでおり、中央には噴水がある。

建物も大きく、豪華だが、ところどころに椅子やテーブルが置いてあり、くつろいでいる人たちがいる。

戦闘、魔法、生産について、高水準ということだったから、みんなゴリゴリに戦闘したり、研究したりしているのかと思ったが、全くそんな感じが無い。

金持ちが休日を優雅に過ごしているように見える。


大きなエントランスには、いくつも扉がある。

イヴォンさんがギルドカードを扉へかざす。

小さな魔法陣が空間に現れ、扉が開く。

扉の中は一辺が3mくらいの正方形だ。

これって、エレベーターか?

扉が閉まると、部屋自体が動いている感覚がある。

やっぱりエレベーターだろう。

でも多分、上下だけじゃないな、これ。

左右にも動いているような感覚がある。


「【空間魔法】を利用した魔道具の一種ですよ」

「す……すごいですね……」


扉が開くと、大きな部屋が現れる。

奥にある大きな窓から、光が入っている。

その手前に大きな机があり、青年が座っている。

20代後半くらいの見えるな。

サワナ様と同じく水色の髪を肩くらいまで伸ばしている。

目鼻立ちがくっきりとしており、サワナ様に似ていると言えばにているだろう。

あの人がシトン様だな。

サワナ様と同じく、不老薬を使っているのだろう。

若く、そして美しい。


僕はイヴォンさんに続き、部屋へと入る。


「やぁ……(来たか)」

イヴォンさんがお辞儀をするので、僕も続いてお辞儀をする。

「座りたまえ。(さっさと座れ)」

「はい」

「失礼します」

大きな机の前には、これまた大きなテーブルが置いてあり、その両脇にソファがある。

僕たちがソファへ腰掛けると、シトン様も対面のソファに腰掛ける。

「イヴォンから聞いているね?

私がシトンだ。(私がシトン様だ)」

おぉ……

優雅だ……シトン様はエレガントに挨拶をしてくれる。

挨拶の時点で、既にサワナ様の実弟とは思えないほどに紳士だ。


「狭間です。よろしくお願いします」

僕は立ち上がり、挨拶をする。

「狭間くんか……想像していたよりも若いな(ガキが……)」

「狭間さんは、かなり特殊な人物です。

私からお話するよりも、シトン様ご自身で確認なさってください」

「ふむ……(当たり前だ。成金たぬきの話なんぞ聞いていられるか……)」

「狭間くん、君は姉さんに鍛えてもらったんだって?

(おいガキ、変態ババアの修行に耐えたのか?)」

「はい!

修行をつけてもらいました!」

「なるほど……面白そうな人物だね。(気持ちの悪いガキだな)」


ゴンゴン!


先程僕たちが乗ってきたエレベーターの扉からノックが聞こえる。

「来たみたいだな……入りたまえ」

扉が開き、大柄な人物が出てくる。

50代くらいのイカツイ男性だ。

白髪交じりの髪をオールバックにしており、左目に眼帯をしている。

190cmはあるな。

歴戦の戦士感が凄い……

左肩から先が無いが……もしかして……


「狭間くん、君の【回復魔法】を見せてくれ。

(使えるガキか見てやろう)」

やっぱりそうか。

僕が治療する人物ということだ。

「おいイヴォン!

こいつか?」

歴戦の戦士はその身体に見合った声をだす。

「はい、そうです。

うちの教会で働いてもらっていた狭間さんです」

イヴォンさんがニコリと微笑む。


「ロゲステロンだ!

よろしく頼む!」

「狭間です!

よろしくお願いします!」

「では狭間くん、一度この装備に変えてくれないか。

(最高級品だぞ、汚すなよ)」

「はい!」





僕は魔力系のステータスが上がるであろう装備に着替える。

なんとも仰々しいローブだ。

アクセサリーも複数あり、動きにくいことこの上ない。

これは狩りでは使いにくい装備だな。


「狭間くん、早速【回復魔法】を使ってくれ

(ちんたら着替えやがって)」

「はい!

左腕でいいんですよね?」


「いや、右足から頼む」

え?

左腕じゃないのか?

ロゲステロンさんは、そういうと右足を出す。

これは……義足か。

右足も膝上くらいから無い。

「わかりました」

手よりも足が無いほうが不便だな。

僕はロゲステロンさんの右足に手をかざす。


「【ホーリービジュア】!」

部屋全体がまばゆい光に覆われる。

その光は、僕の手の先、ロンゲステロンさんの足へと集まっていき、光が徐々に足の形へと……

ならない?

「あれ?」


更新が遅く申し訳ありません。

辛辣な感想を多くいただき、プロットに迷いが出てしまいました。


今も書いていた気づいたのですが、女性キャラが全く出ていません。

次に加入するメインキャラも男性の予定でしたが、女性キャラのほうが需要が高いのでしょうか。

キャラ考察していて、男女ともにまぁまぁ悪くないキャラになりそうです。

どっちがいいですか?


・さすがに男多すぎ女性キャラにしてほしい

・今更この話に女キャラとか求めていない

・どっちでもいい

・むしろ男キャラ希望


等ありましたらお願いします。

基本的に男性キャラで進める予定ではあります。

ネタバレになってしまいますので、キャラの詳細は活動報告に書いておこうと思います。

荒れたら消します……

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― 新着の感想 ―
様々な描写が雑すぎて気になる人は発狂してるだろうなと思いながらも自分的にはここまで楽しめました つっこみの多いリアリティの部分は脳内補完、キャラクター奇行部分は事実変人なんて其処らへんに居ますからね、…
最近読み始めたので今更の話ですが、主人公の成長&バトルもの作品として見れば、女性キャラが少なくても違和感ないですよ。 なにしろ、『ドラゴンボール(原作である漫画のほう)』で登場する名前がある女性キャ…
[良い点] TSものを書いて欲しい
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