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147日目 異世界

目覚めると、豪華な部屋にいる。

あれ……ここは……?


異世界……教会の僕の部屋だ。

そうか、異世界に来れたんだな……

身体は若干寝起きのだるさがあるけど、問題なく動く。

とりあえず、みんなに会いに行こう。











「とりあえず目覚めて安心したよ」

クラールがさわやかな笑顔でこちらを見つめてくる。

僕が女性だったらイチコロだな……

「で、あのあと何があったんだよ?」

ショーンは不機嫌そうに言う。

「俺達だけを【転移】で飛ばしたんだろ?

お前が病み上がりじゃなきゃぶん殴ってるぜ……」

そうだった。

僕一人であの場に残ったことについて、怒っているんだろう。


「ちゃんと説明するよ……

けど、その前に」

僕はショーンに近づく。

彼の右腕をとる。

肘から先が無い。


「おい……」

ショーンは僕を制止しようとするが、僕はそれを無視する。

「【ホーリービジュア】」

部屋中が一気に大きな光に包まれる。

光が徐々にショーンの腕、肘の先に集まり腕と手を形作っていく……


「おいおい……」

「これって……」










教会の部屋、防音の結界がほどこされた豪華な客間には、僕とショーン、クラール、イヴォンさん、カルディさんがいる。

僕は、【狂戦士】についても包み隠さず全てを話した。

「【狂戦士】か……」

「私も聞いたことがありませんね」

クラールやイヴォンさん、カルディさんでも知らないらしい。

それも納得できる。

普通【狂戦士】に一度なったらHPが尽きるまで殺戮をして絶命する。

僕だって日本にいけなければそのまま死んでいただろう。


「この国が拷問を禁止しているのも、【狂戦士】の影響かもしれませんね」

カルディさんが言う。

「それが原因なのかはわからないけど、拷問が禁止される前の国はいくつか滅んでいるからね」

「ばか言うなよ、国が滅ぶってぶっ飛びすぎだろ」

クラールの話にショーンが反応する。


「いや、あのタイラを圧倒したんだ。

十分にありえるだろう」

「………………」


「それで、フヨウは?」

僕はフヨウについて聞く。


「それが……」











教会の別室へ来る。

大きなベッドが置いてあり、フヨウがいた。

「よかった、無事だったんだ」

「なぁケン、さっきの【ホーリービジュア】ってやつ、フヨウにやってくれないか?」

ショーンが言う。

なぜ?


「いや、【ホーリービジュア】はもうフヨウには使ってあるよ?」

「フヨウは、あれから目覚めていないんだ」

クラールがこたえてくれる。


僕は【パーセプション】で確認をする。

フヨウはたしかに生きている。


「あれ……?」

しかし、なにか違和感がある。

「指輪だ……指輪から生命力が……」

指輪にまだ生命力が残っている。

【ホーリービジュア】では、指輪とフヨウの間の生命力を回復したにすぎないのだろうか?


「狭間さんも気づきましたか」

イヴォンさんが言う。

「おそらく【ホーリービジュア】で一命をとりとめたのでしょう。

しかし、目覚めるには至っていません。

我々には、もう少し様子を見るか、狭間さんの【ホーリービジュア】に頼るしかないようです」

「そうですか……

でも【ホーリービジュア】は奥義なので、一度使ったらしばらくは使えません。

それに……」

僕としては感覚でわかる。


「フヨウには一度【ホーリービジュア】を使っています。

感覚的な話ですが、フヨウには使おうと思ってもおそらく発動しないと思います」

「「「……………………」」」

「それで、どうすんだ?」

ショーンが言う。

相変わらず切り替えが早いな。


「まぁ待ってれば、ケンのように目覚めることもあるかもしれないけど……」

「いや、このまま待ってるってのも性に合わねぇな」

クラールの言葉をショーンが遮る。


「既に、情報は集めています。

でしょう、カルディ?」

「えぇ、私もその指輪、調べさせてもらいましたよ」

イヴォンさんとカルディさんが言う。

「おぉ、で、なにか分かったのか?」


「いえ、私もこのような魔道具は見るのは初めてです。

ただ、王都に行けば何かわかるかもしれません」

「そうですね。

まさに今の狭間さんにはちょうど良いかもしれません」

カルディさん、イヴォンさんに言われる。


「え?

僕ですか?」

「そうです。

教会としては残念ですが、【ホーリービジュア】を習得した狭間さんは、もはやここに留まっている段階ではありません。

王都にいる知り合いを助けてあげてください」


「はぁ……」

「私が手続きをしておきましょう。

その間に狭間さんはできるだけ【挑発耐性】を鍛えたほうが良いでしょうね」

「だろうな。

【狂戦士】ってやつが発動すれば、俺達じゃ太刀打ちできないんだろ?

それと、ケンがブチ切れやすい理由が分かった気がするぜ」

いや、僕はそんなにブチ切れたりしてないと思うんだけど……


「それじゃ僕たちも王都へ行く準備をしておかないとね」

「いいえ、クラール。

あなたとショーンは第六戦線で修行をしてもらいます。

王都に行ってもあなた方ができることはありません」

「そうなのか?」


「狭間さんには、回復メインで行ってもらいますからね。

王都へ行ってからは狩りは当分我慢してもらいます」

「はい……」

狩りはしたいが、魔道具についての情報のほうが重要だ。

王都がどんなところかわからないけれど、できることはやっていきたい。












それから僕は一人で第3戦線へと来た。

イヴォンさんが王都への手続きをしてくれている間、【挑発耐性】を鍛えておかなければならない。


目的は爆弾小僧だ。

爆弾小僧は、第三戦線にいる丸い岩石の魔物だ。

直径30cmくらいの岩石に細い手足がついている。

つぶらな瞳に、大きな鼻の穴、額のあたりに小さな炎が揺らめいている。

見ていると猛烈にイラつく魔物だ。

しかも、怒りに任せて攻撃をすると、大爆発を起こす。

以前、こいつを倒すために、【挑発耐性】【炎耐性】の修行をしたことがある。


ただし、今回は倒すのが目的じゃない。

持ち帰れとのことだ。

僕は【パーセプション】で魔物の位置を一通り確認する。

これは非常に有効だ。

爆弾小僧を目視してしまうと、イライラが出てきて攻撃してしまう。

しかし、【パーセプション】による位置の把握では、やつの挑発を直接受けることがない。


とりあえず、僕は自分に一通りの【補助魔法】をかけて、【魔影装】を発動する。

爆弾小僧以外の魔物、レッドクロコダイルと炎狐の魔物を殲滅していく。

以前ここへ来たときには、完全に後衛で回復と補助をしていた。

だけど、今は違う。

フル補助【魔影装】なら僕一人で狩り尽くすことが可能だ。


基本的に狩りは目を閉じたままだ。

現在【挑発耐性】のレベルは19。

けれども、ソロ狩りで爆弾小僧を爆発させてしまう可能性は十分にある。

目視しないように戦ったほうが安全だろう。


僕は【魔影脚】【魔影風神脚】を次々に叩き込み魔物を殲滅していく。

【魔影風神脚】は風属性が付与されているが、ここの魔物に対してはそれほど有効ではない。

【魔影脚】よりも若干威力が高いくらいだ。

ただし、少しではあるが【魔影脚】にもクールタイムが必要であるため、【魔影風神脚】と交互に打ち込んでいったほうが殲滅力が格段に上がるのだ。


さて、爆弾小僧以外の魔物は殲滅できた。

僕は目を閉じたまま【パーセプション】で爆弾小僧の位置を確認。

【氷結】を打ち込んでいく。


【氷結】

【氷結】

【氷結】

【氷結】

【氷結】


クソ……

弱いな。

僕は魔法系のステータスがアップする【補助魔法】も使っている。

それでも、圧倒的に殲滅力が下がる。

氷系の魔法が【氷結】しかない。

この【氷結】自体がそれほど攻撃力が無い上に、【氷結】のスキルレベルも【水魔法】のスキルレベルも低いのだ。


【氷結】

【氷結】

【氷結】

【氷結】

【氷結】


幸い爆弾小僧は攻撃をしてこないので、他の魔物が出現するまでは【氷結】を撃ち込みまくってやろう。










5匹いた爆弾小僧のうち、3匹を【氷結】で凍らせたまま絶命させ、【魔力庫】へ入れることに成功した。

最初の2匹については、凍らせて絶命させるところまではいけたのだが、【魔力庫】に入れる前に、ムカついて破壊してしまった。

爆発で多少はダメージをもらったが、既に【氷結】で倒しているため、本来の爆発よりも規模はかなり小さくなっていた。


さて、帰ろう……











僕はカルディさんから野営のセットを購入し、東の森へ来ている。

ここは、特に魔物が出るわけでもなく、人がくるわけでもない未開の土地だ。

数年すれば、街がここまで広がってくるかもしれないが、今はなにもない。

以前リバースフロッグの嘔吐物で各種耐性を上げた場所でもある。


なぜここへ来たかというと、本日この場所で野営をするためだ。

教会で食事などをすませ、今日はもうやることが無い。

あとはコイツとにらめっこだ。


僕は【魔力庫】から凍った爆弾小僧を取り出す。

とりあえず目を閉じたまま、20mほど離れた場所に置く。


おぉ……大丈夫だ。

絶命した爆弾小僧なら20m離れていれば、ぶちのめすことはない。

ただ、結構イラつく。

あんなに離れているのに、ムカついてくるのだ。


「ふぅ……」

とりあえず僕は深呼吸をする。

慣れてきたら、少しずつ近づけていき、さらに数を増やしていこう。


狭間圏はざまけん

【大司祭:Lv2(↑+2)】

HP:408/408(↑+2)

MP:39/1195【大司祭】:+210

SP:514/514(↑+1)

力:67(↑+1)

耐久:131(↑+1)

俊敏:70

技:60(↑+1)

器用:109

魔力:89【大司祭】:+104

神聖:154【大司祭】:+160

魔力操作:192【大司祭】:+54

【水魔法】Lv48+1

【氷結】Lv15+5

【回復魔法】Lv103+1

【グレイトヒール】Lv17+1

【ホーリービジュア】Lv2+1

【魔力庫】Lv127+1

【体術】Lv33+1

【魔影装】Lv46+1

【魔影脚】Lv14+1

【魔影連脚】Lv11+1

【魔影風神脚】Lv1+1

【マルチタスク】Lv143+1

【挑発耐性】Lv22+3

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― 新着の感想 ―
[良い点] 再び異世界に戻れた事。 [気になる点] 一番最後のステータスでセットしてあるジョブは上級補助魔法士ですが上がっているステータスは大司祭になっています。 [一言] フヨウがまだ目覚めていない…
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