135日目(日本)
今、異世界の僕はマヤシィナの密林のど真ん中で熟睡している。
異世界には基本的に魔物が発生しやすい場所と、発生しにくい場所がある。
どこの狩場でも、魔物の発生が低い場所が安全地帯として、休憩スペースに使われている。
昨日ガンビさんからもらった地図にも安全地帯が描いてあった。
ただし、マヤシィナの場合、完全な安全地帯というものは無いらしい。
さすが人間が住める限界領域だ。
他の場所よりは割と安全、くらいとのことだ。
その場所に、【風魔法】で切った草を集め、簡易テントを使って横になった。
僕の場合、異世界の夜になると、どんな状況でも眠っているので寝心地とかはあまり気にならない。
そして、【結界魔法】の入った魔石を使わせてもらった。
【結界魔法】にも色んな種類があるようで、最も一般的な【耐魔物結界】というものを使った。
魔物に対してのみ効果的で、安静にしていれば魔物がよってくることはほぼ無いという。
かなり便利な魔石だ。
ちなみに購入するとめちゃくちゃ高いらしい。
いいものを得られたと思う。
ガンビさんの話だと、【結界魔法】と【闇の衣】の魔石を補充していた人は同一人物らしい。
もしかしたら、【結界魔法】で魔物に対する認識阻害効果の魔法を使っていたら【闇魔法】の【闇の衣】を習得したのではないだろうか。
マヤシィナの密林で爆睡中だが、安全であってほしい。
まぁ仮に攻撃されても、今なら無限に回復できるわけだけど……
それはさておき、僕は今川沿いにある廃工場に来ている。
目的は2つだ。
一つは昨日までと同様に【補助魔法】の強化。
河原には小さな虫や小魚が大量にいるので、人間にはかけることができない【補助魔法】のレベルを上げることができる。
僕の場合、特に力のステータスが低いので、実戦では【フレアバースト】に頼りきりだ。
現在は【パワーストライク】(力強化)の【補助魔法】があるが、力については上位の補助魔法をまだ覚えていない。
【パワーストライク】をカンストするか、【上級補助魔法士】のレベルを上げれば、おそらく【ハイパワーストライク】を習得できると思う。
今は、【上級補助魔法士】だがマヤシィナでは【魔闘家】のジョブで戦っている。
ソロで戦うときには、【上級補助魔法士】で戦うのは無理だ。
後衛職で戦うには魔物が強すぎる。
だから【上級補助魔法士】のレベルは0のまま。
日本でひたすら【パワーストライク】を上げるしか無い。
そして、もう一つの目的は昨日倒したエルダーライノの解体作業だ。
昨日は結局2頭のエルダーライノを倒すことができた。
その2頭は【魔力庫】に入れてある。
結構な大きさだが、 【魔力庫】のレベルが上っているため、【ストレージ】のほうに入れなくても容量としては足りた。
しかし、倒した魔物をそのまま入れてあるだけで、一切解体をしていない。
この大きな廃工場で、魔法のみで解体してみよう。
ドスン!
工場の大きな広場にエルダーライノの死体を出す。
ちなみに、河原の小虫や小魚には【補助魔法】をかけまくっている。
完全に【補助魔法】だけに集中するよりは、遅くはなるが、その分【マルチタスク】のスキル上げにもなる。
しかしデカイな。
このへんかな?
【エアブレード】!
ブシュッ!
僕はエルダーライノの首筋に【エアブレード】を放つ。
ブシャァ!
勢いよく血が出てくる。
やばいやばい……
僕は再び【魔力庫】を展開し、血が飛び散らないように受け止める。
戦っているときよりも、耐久力が大幅に下がっているな。
戦闘中にエルダーライノに【エアブレード】を使っても、あれほどのダメージは与えられないだろう。
魔物の耐久は、単純な身体の表面の硬さとかではないようだ。
まぁ、だとしたら肉だってもっと固くて不味いはずだよな……
しかし、結構な血の量だな。
このまま【魔力庫】に入れておいても使わないだろうし、川に少しずつ流すしかないな。
生態系に変な影響が出ないといいけど……
血抜きが終わっただけで、質量がある程度軽くなったはずだ。
今度は皮を剥いでいこう。
今までの狩りでも、解体の仕方はある程度見ていた。
見様見真似でやってみるか。
僕は大まかなところは【エアブレード】で、細かいところは【エアカッター】を使い皮を剥いでいく。
うまくできてんのかこれは……?
次は内臓を取り出す。
直接見るわけではなく、常に【空間魔法】の【パーセプション】で状態を確認しながら作業をしている。
実際に見たらグロいんだろうな。
それは【パーセプション】でもある程度はわかってしまうが……
取り出した内臓は、さすがに川に流すわけにもいかない。
【炎魔法】で燃やしてしまおう。
燃やした後なら、川に捨ててしまってもなんとかなるだろう。
ぁ〜……
【マルチタスク】が限界に近いな。
河原の虫や魚に【補助魔法】。
【エアカッター】と【エアブレード】で解体。
そして【炎魔法】で内臓の焼却。
【パーセプション】でそれらをすべて見ながら作業をする。
全く別のことをしている上に、【補助魔法】については、やや場所が離れているのだ。
あまり調子にのって【マルチタスク】を使っていると、頭痛がくる。
◇
一通りの解体作業が終わった。
クラールが以前【解体】というスキルを使って一瞬で魔物を解体していた。
自分で、しかも魔法のみで解体してわかったが、あの【解体】スキルはかなり使えるな。
僕もこのまま解体作業を続けていれば、いずれ習得できるんだろう。
解体して、いらない部位を燃やし、血を捨てたことで【魔力庫】にはかなり余裕ができた。
次は、肉を処理しておこう。
僕は【風魔法】を使い、一斗缶を並べる。
その上に、金属の棒を網状に並べる。
これがまた難しい。
一斗缶はまだ表面積が大きので、【風魔法】を使えば容易に配置できる。
しかし、金属の棒を【風魔法】の風圧で動かすのが難しいのだ。
【補助魔法】の【コントロールエイド】(魔力操作強化)がなければ無理だったかもしれない。
次に、網目状に置いた金属の棒を【ウォッシュ】で洗う。
その上に、先程解体したエルダーライノの肉を並べる。
それから、【炎魔法】を使って焼いていく。
燃料になるような薪を使っているわけではないので、【炎魔法】は常に発動しなければならない。
焼き加減がよくわからないな。
うまくできているだろうか?
マヤシィナでは、ソロで活動を続けているので、食料はあったほうがいい。
それに魔物の肉は美味いんだ。
だけど、手持ちの調味料が少ししか無いな……
狭間圏
【上級補助魔法士:Lv0】
HP:350/380【上級補助魔法士】:-30
MP:1088/1048(↑+17)【上級補助魔法士】:+40
SP:494/494
力:56【上級補助魔法士】:-20
耐久:121【上級補助魔法士】:-20
俊敏:72【上級補助魔法士】:-20
技:49【上級補助魔法士】:-20
器用:103
魔力:87
神聖:150
魔力操作:177(↑+6)【上級補助魔法士】:+20
【炎魔法】Lv40+1
【ウォッシュ】Lv1+1
【風魔法】Lv90+1
【エアカッター】Lv★
【エアブレード】Lv68+1
【補助魔法】Lv164+17
【パワーストライク】Lv★+16
【ハイプロテクト】Lv79+10
【ハイバイタルエイド】Lv78+9
【ハイアジリティエイド】Lv51+11
【マナエイド】Lv94+3
【ホーリーエイド】Lv★+8
【コントロールエイド】Lv★+8
【パーセプション】Lv98+1
【魔力庫】Lv118+2
【転移】Lv27+1
【魔影装】Lv37+2
【マルチタスク】Lv127+2
【自己強化】Lv20+1
【不屈】Lv16+1
【鉄壁】Lv24+1
【ストレージ】Lv85+1




