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134日目(異世界)前編

「では、まいりましょう」

「ありがとうございます」


僕は今、マヤシィナ付近にある村へ来ている。

昨日マヤシィナの地下から脱出した僕は、マヤシィナに復帰するのは危険だと思い、魔法職の方々と近くの村へ来た。

魔法職の方々は、これからマヤシィナから一番近いポータルがあるところまで移動しなければならない。

僕も本来ならそっちへ行ったほうがいいのだろうが、ショーンやクラールがまだマヤシィナにいるので、僕は今日再びマヤシィナへ向かう。


そんななか、年配の聖職者さんであるガンビさんが同行してくれることになった。

ガンビさんはこれまで、イヴォンさんの教会で魔石補充の仕事をしたことがあるそうだ。


僕がマヤシィナに戻る必要があることを言うと、同行してくれることになった。

マヤシィナには知り合いも多く、うまく行動すれば、城の兵士たちに見つからないように動ける可能性が高い。

一応僕が昨日助けたかたちにはなっているけど、なんとも義理堅い人だ。


「街道は避けたほうがいいかもしれませんね」

ガンビさんが言う。

確かに、僕たちはマヤシィナから逃げ出した身だから、見つからないように行動したほうがいいだろう。

「【空間魔法】があるので、大丈夫だと思いますよ」


「ほぉ、狭間さんは【空間魔法】も使えるんですね。

しかし、【空間魔法】を展開し続ければ、MP消費が馬鹿になりませんよ」

「大丈夫ですよ。

僕は【パーセプション】という【空間魔法】を使うんですが、把握できる空間を自在に変形できます。

街道沿いに展開して、誰もいなければ、一旦【パーセプション】の使用をやめればMPの節約になります」


「そんなことが……私も魔法職を長年やっておりますが、狭間さんのような方は見たことがありませんな」

「そうなんですか?」

どうも会う人会う人に変わり者だと言われてしまう。

まぁもともとこっちの世界の人じゃないからなぁ……














程なくして、マヤシィナ城壁付近に到着する。

魔法職とはいっても、ガンビさんもなかなかの体力だ。

それなりの速さで歩きっぱなしだったが、それほど疲れた様子は見られない。

割と年配だと思うんだけど、年をとってもステータスにはそれほど影響が無いのだろうか。


「ちょっと入口の方を確認してみます」

僕は【パーセプション】を使って、街の入口を確認する。


「人の出入りはありませんね」

門番の兵が数名いるだけだ。

「マヤシィナは辺境ですから。

そもそもポータル転移以外で人がやってくることはあまりないんですよ」

なるほど、たしかに僕たちもポータルを使ってきた。


「門番の兵がいるみたいですし、直接入るのは良くないですよね?」

「そうですね……我々はマヤシィナの地下に囚われていましたし、狭間さんが幹部であろう人を倒してますからね。

やめたほうがいいでしょう。

それから、昨日狭間さんが地下から作ってくれた通路についても危険ですね」


「どうします?

外から【空間魔法】で中を確認するのが無難ですかね?」

「いいえ、【闇の衣】を使いましょう」


「【闇の衣】?

ガンビさんのスキルか魔法ですか?」

「いいえ、私はそのような魔法は使えません。

昨日奪った魔石の中に、【闇の衣】の魔石があるはずです」


「ちょっと確認してみますね」

僕は【魔力庫】を確認し、黒く光る魔石を取り出す。

この色の魔石は見たことがないな。


「これですかね?」

「そうです。

囚われていた者の中に、一人【闇魔法】を使える人間がいたのですよ」

【闇魔法】か。

なんかカッコイイな。


「【闇魔法】の魔石なんて初めて見ましたよ」

「使い手はほとんどいませんからね。

彼も【闇の衣】しか覚えていないようでしたし、【闇魔法】をメインで使っていたわけではないのでしょう」


「なるほど」

「それで、この【闇の衣】なんですが、認識阻害の効果があります。

【闇の衣】を使用中は、人間にも魔物にも気付かれにくいというものです」


「おぉ、すごい便利ですね」

「はい、しかし万能ではありません。

あくまで気付かれにくくなるというだけです。

ステータスの高い者や、カンの鋭い者、それから狼など鼻のきく魔物にはあまり効果がありません」



「それで、門を突破できるんでしょうか?」

「わかりません……」

マジかよ。

結構な賭けだな。


「しかし、突破できる可能性は高いですよ」

「そうなんですか?」


「先程も言いましたが、そもそも外部の人間は門から来ないんですよ。

基本的に転移ポータルを使っています。

もともとマヤシィナにいる人間や、一度転移ポータルを使ってマヤシィナにやってきた人間が外に狩りに出たりするときに使うのです。

だから、厳重に管理されているのはむしろ転移ポータルのほうなんです」

「なるほど、それなら【闇の衣】で突破できそうだと」

ガンビさんはうなずく。


「ただし、音を立てずに急いだほうがいいでしょうね」

「了解です。

やってみましょう」


僕は【闇の衣】の魔石を使用する。

ん〜……なんか、薄くなった?


ガンビさんも【闇の衣】の魔石を使用する。

おぉ……

自分よりも人が使うほうがわかりやすいな。

いるのはわかるけど、なんかすっごい遠くにいるような?


確かに、注意してみれば気づくけど、逆に注意してみないとわからないな。

このまま門から中へ入ってみよう。

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