40日目(異世界)
本日2回目の投稿です。
1話目まだの方はそちらからお願いします。
今日も朝から道具屋へ来ている。
「では、こちらを使ってみてください」
カルディさんからナタを渡される。
今日はホーンラビットの角を自分で折ることになった。
これができれば、ホーンラビットでの修行は一人でできることになる。
最近のルーチンは、朝ギルドへ行き捕獲のホーンラビット1匹、解体加工用のホーンラビット2匹を受け取り道具屋へ行く。
それから、カルディさんに角を折ってもらい、僕が短剣で仕留める。
その後、3匹分のホーンラビットを解体加工する。
それからギルドへ行き、治療所で【回復魔法】を使って宿屋へ戻る。
というものだ。
最初の頃に比べ、カルディさんの補助は減ってきた。
だけど、この角を折る、という作業は未だに自分でできていない。
これができれば、当面は完全に一人で修行ができるようになる。
「おるぁ!!」
バキッ!!
ぉ、意外といけた。
一発で折ることができた。
「できましたねぇ」
「はい!ありがとうございます!」
あとは自分で押さえつけながらできるかどうかだけど、それは最初に縛り付けてしまえばなんとかなるだろう。
「では今日も頑張ってください」
「はい!」
今日も短剣で修行を続ける。
ちなみにこの短剣は
【粗末な短剣:攻撃力 +2】だ。
治療所に行くときには短いステッキを借りている。
【ステッキ:神聖 +7 魔力 +3】
装備も借りているわけだが、自分で買おうと思うと相当高い。
短剣のほうは500セペタくらいでそれほどではないが、ステッキは1万セペタくらいする。
ちなみに現在の所持金は32600セペタだ。
徐々に減っている。
ただ、昨日は赤字が90セペタだけだった。
【回復魔法】でなんとか生活費の確保はできそうだけど、装備を買うのはまだやめたほうがいいな。
それだったら、ホーンラビットの捕獲を一日二匹にしてステータスを上げたほうが良さそうだ。
短剣でホーンラビットの攻撃を避けながら、短剣で突き刺す。
このとき、パンチを撃つときと同じように左半身を前に出し、右半身をやや引く。
肩を回転させると同時に短剣を握った右手を突き出し、ホーンラビットを攻撃する。
ステータスはもちろん重要だが、この一連の動作がスムーズにいったときにダメージが大きくなるような気がする。
10発に1発くらいは良いのが入るな。
この独特の感覚はなんだろう。
日本ではありえない感じだ。
自分の頭の中にだけ
バツン!!
と音が鳴っているような気がする。
クリティカルヒットってやつだろうか。
今日も解体加工含めて昼前に終わった。
ステータスが上がっていることと、解体加工の作業になれたことが大きい。
カルディさんに軽く挨拶をして、ギルドへ行こう。
その後ギルドの治療所に行ってみるが、この時間だと誰もいないようだ。
「おう、お前また来たのか」
受付のドグバさんが話しかけてくれる。
「はい、今日も【回復魔法】の強化に来ました」
「MPは大丈夫なのか?
普通は一日置きか、二日おきに来るもんだぞ」
そうだった。
僕の場合は毎日MPが全快だけど、普通の人は一日に最大の3割くらいしかMPが回復しないんだ。
「僕の場合魔力が低いので、回復が遅すぎて、MPが残ってしまうんですよ」
本当は、毎日MPをほとんど使っているんだけど、それは内緒にしたほうがよさそうだ。
「まぁ、こっちとしては回復使えるやつが多ければ多いほど良いんだ。
回復速度はそんなに気にすんな!」
「はい!ありがとうございます!」
どうやら、治療所の【回復魔法】を使う人間は不足しているらしい。
MPは一日3割程度しか回復しないのに対して、冒険者は毎日魔物の討伐に行く。
僧侶などの後方支援も、街でのMP消費は避けて温存したいようだ。
そうなると、街の安価な治療所には、冒険者が毎日たくさん来る。
あまりにも混雑する場合、軽い怪我の治療は断ることもあるそうだ。
現状の僕にとっては都合がいい。
ドグバさんから治療所の話を聞いていると、冒険者がやってきた。
10代前半だろう。
この前の少年よりも更に若い。
若いというより、幼いな。
こんな子供も魔物を狩るのか。
ジャラッ!
数枚の銅貨を置いて僕の前に座り、腕と脇腹を見せてくる。
「お願いします……」
この世界で魔物を狩って冒険者としてやっていく場合、大抵は複数人のパーティを組んで活動をする。
その方が効率が良いからだろう。
だから、治療所にもパーティ単位で入ってくることが多い。
4人のパーティか。
男の子2人と、女の子2人のパーティだ。
他の3人はそこまでの怪我はない。
駆け出し冒険者で、昼くらいにはHP、MPが尽きてここへやってきたんだろう。
夕方には全員の回復が終わる。
今日はまだMPが残っているので、あと一人くらいはいけそうだ。
20代くらいの冒険者が僕の前に座る。
肩からの出血が酷い。
バックリ切られている。
けれど、冒険者は何事もないように、パーティメンバーと話をしながら回復を待っている。
異世界の冒険者はすごいな。
「お待たせしてしまってすみません。
時間はかかりますが、頑張ります」
「ん? おぉ、今日はもう切り上げたから気にすんなよ」
意外にも冒険者はすんなり受け入れてくれた。
その後しばらく治療したが、冒険者は治療中に寝ていた。
よく見ると、他にも治療されている間や待っている間、寝ている冒険者がチラホラいた。
病院の待合室のようだ。
冒険者の肩を治療する頃にはMPがほとんど無くなった。
後ろにいる【回復魔法】を使う人にも、遅くなって申し訳ないと言ったら。
「あらぁ、いいのよぉ。
ここにはそういう人たちが来るんだから」
と笑顔で言ってくれた。
どうやら本当にここはそういう場所らしい。
早く治療してほしいなら教会へ行くんだそうだ。
初日に感じた後ろからのプレッシャーは勘違いだったようだ。
むしろ、僕を地雷扱いした少年のほうが地雷だったのではないだろうか。
そういう考えをしていると、その少年が来ており、また目が合ってしまう。
少年はあからさまに不機嫌な顔をして、
「チッ!!」
舌打ちをする。
僕は気にせず、ギルドへ挨拶をして、宿屋へ帰る。
今日は治療費で350セペタ稼ぐことができた。
トータルの赤字は40セペタだ。
所持金が32950セペタ。
明日からはホーンラビットを2匹に増やしてみよう。
ステータスを確認しながら、少しだけ残ったMPを【水魔法】で消費する。
狭間圏
【ーーーーー】
HP:37/37
MP:218/218
SP:2/2
力:12(↑+1)
耐久:5
俊敏:14(↑+1)
器用:8(↑+1)
魔力:14
神聖:12(↑+1)
【魔力操作:Lv9】【炎魔法:Lv4】【風魔法:Lv21 エアカッター:Lv7】【水魔法:Lv1】【回復魔法:Lv4 マイナーヒール:Lv7(↑+1)】【体術:Lv1】【短剣:Lv0 ガウジダガー:Lv0(New)】
おぉ!
ガウジダガーを習得している。
早速使ってみよう。
カルディさんから借りている短剣を素振りしてみる。
【ガウジダガー】
ギュルリ!!
肘の先から手の先、ナイフの先までがぐるりと回転しながら突きをだす。
どうやら短剣でえぐり出す技のようだ。
よし!
もう一度!
と思ったが
SP:0/2
そうですか……
一日一発ですか……




