132日目(異世界)後編
ビュンッ!
ビュンッ!
ビュンッ!
前方から連続で矢が飛んでくる。
【魔影装】を発動し奪った盾をうまく使えば、当たることはないが、どんどん消耗していく。
このままではマズイ……
僕は【土魔法】を発動し、土壁をつくりだす。
ビュンッ!
ボゴォッ!
げっ!
威力強すぎ。
短時間でつくった土壁など一瞬で崩れてしまう。
それなら……
ビュンッ!
ガツッ!
僕は、前方からの矢を受け流しつつ、壁に【土魔法】を発動する。
横穴を空けてしまえば、そこに矢が飛んでくることは無い。
よし、いける!
僕は人一人分入れる横穴を【土魔法】でつくり、そこにすっぽり入る。
ビュンビュンと飛んでくる矢に刺さることはないが、この場から動くこともできない。
このまま【土魔法】で横穴を掘り進めるということもできる。
できるが……
ここが何処なのかもわからず、MPを【土魔法】で使い続けるのも危険だ。
スゥー……
呼吸を整える。
あとは、補給だな。
イヴォンさんからもらっていた魔石を【魔力庫】と【ストレージ】から出して、使えるようにしておく。
この状況でMPはできるだけ温存しておきたい。
目を閉じ、【魔影装】に集中する。
よく見えていない目に頼るのは危険だ。
ビュンッ!
ビュンッ!
ビュンッ!
矢が連続で飛び続けてくるが、一瞬隙がある。
数が多く、一発一発の威力も高いが、クラールほどではない。
彼に矢を撃ってもらったことを思い出す……
【魔影装】で魔力を自分の前方に集める。
自分自身を前方へ引き伸ばすように、感覚を集中する。
ビュンッ!
ビュンッ!
ビュンッ!
今だ!
ザッ!
僕は前へ飛び出し、盾を前面に突進する。
ビュンッ!
ビュンッ!
ビュンッ!
ガツッ!
ガッ!
一投目の矢をかわし、二投目と三投目は盾で受け流しつつ突進を続ける。
いけるな……
矢の軌道は途中で変わることがない。
自分の前方に【魔影装】を集中させることで、反応をできるだけ早くする。
このまま突破してぶん殴ってやろう!
ビュンッ!
ビュンッ!
ガツッ!
ガッ!
!!
クソッ!
前面に金属の分厚い壁があらわれる。
穴が空いており、その穴から矢が放たれている。
これは近づいても無理だ。
僕はすぐに壁に寄り、穴を空ける。
ズズズッ!
この距離なら、【土魔法】で壁を削って突破できる。
あの分厚い金属の壁は、こちらから攻撃することができないが、その分向こうからこちらを正確に把握することはできない。
僕が近づいていることにも気づいてないだろう。
ズリズリ!
僕は金属の壁を迂回するように、【土魔法】で穴を掘りまくっていく。
ズリズリ!
急げ!
気づかれる前に!
ビュンッ!
ビュンッ!
ズリズリ……
僕は真横を通過する矢を無視して、穴を掘り続ける。
キタ!
目の前に討手がいる。
「ハッ!」
僕は【魔影装】の蹴りを使って土壁を破壊し、その勢いのまま弓使いの顎を蹴り飛ばす。
バゴッ!
ドサッ!
弓使いはへたり込み、完全に意識を失っている。
一撃だ。
完全に仕留めた。
「はぁ……はぁ……」
消耗が激しい。
しかし、休んでいる余裕はないな。
分厚い金属の壁の先は部屋になっていた。
あそこで通路は終わりということだ。
「はぁ……はぁ……」
呼吸を整えようとするが、いつまで休んでいられるかもわからない。
最初に僕に手錠をつけたやつが増援を呼びに行っていた。
今増援が来られたらマジでやばい……
この弓使いにも復帰されたら困る。
僕は【魔力庫】を発動し、弓使いの弓と矢、それからめぼしい装備を奪っていく。
仮に意識を取り戻しても、無力化しておけばいい。
ぐらっ……
!!
なんだ……?
クソ……
また【麻痺】に【睡眠】だ。
麻痺耐性薬も睡眠耐性薬もすべてギルドに納品してしまった。
さらに【盲目】でほとんど目が見えない……
今意識を失うわけにはいかない……
【エアブレード】!
ブシュッ!
僕は自分の左腕に【エアブレード】を撃ち込む。
血しぶきが飛び、なんとか意識を保とうとする。
ダメだ……
痛みもそれほど感じない……
【氷結】!
ピシッ!
自分の首筋に【氷結】を発動し、さらに意識を保とうとする。
さらに【水魔法】を発動する。
ビチビチビチ……
冷たい水をグビグビと飲む。
「ソーミルさん!
いました!
あいつです!」
最悪だ……
このタイミングで増援か。
【マイン】【マイン】【マイン】【マイン】【マイン】【マイン】【マイン】!!
すぐさま【マイン】をできるだけ張り巡らせておく。
「こいつがここにいるってことは、カイがやられたってことか?」
カイっていうのは細剣使いのことだろうか。
「はぁ……はぁ……スゥー……」
僕は呼吸を整え、深呼吸をする。
こいつは間違いなく強い……
目が見えないので、どんな風貌なのかはわからない。
だけど、相当強いのはわかる。
ショーンやクラールと同じような雰囲気を感じるからだ。
ただ立っているだけなのに、全く隙が無い……
【呪術】を使っておきたいが、恐らく当たらないだろう。
僕は眠気を振り払い、【魔影装】に集中する。
ガスッ!
僕は腰を低く落とし、右脚を後ろへ引き思い切り地面に叩きつける。
一瞬でも隙を見せればやられてしまう。
スゥー……
大きく息を吸い、構える。
「やる気満々か……」
ソーミルは短刀を取り出し、トントンとステップを踏む。
ダッ!
ソーミルが踏み込むと、【マイン】が発動する。
ドガガッ!
足元から鋭い土の塊がせり出す。
「おっと!」
タタッ!
ソーミルは軽いステップで難なくかわしていく。
【エアブレード】!
【エアブレード】!
【エアブレード】!
ソーミルのステップに合わせて【エアブレード】を発動。
逃げ道を塞ぐように【風魔法】で攻撃していく。
「ハッ!」
スパッ!
スパッ!
スパッ!
!!
こいつ……
【エアブレード】を短刀で切ってる!
マジかよ。
魔法を切るスキルか?
短刀の素早い突きが右肩を狙ってくる。
「くっ!」
僕は短刀が刺さる直前に身体をそらし、なんとかかわす。
が……
メキッ!
背中に衝撃がありふっ飛ばされる。
ドガッ!
僕は部屋の壁にぶち当たる。
短刀攻撃からの蹴りだ。
しかも、威力が尋常ではない……
ダッ!
ソーミルがすぐさま突進、僕に追撃を加えようとする。
ダメだ!
回復する暇も無い。
ガツッ!
また短刀をギリギリでかわす。
が……
メキッ!
顔面に拳がめり込む。
「がはっ!」
顔が焼けるように痛い。
さっきの蹴りと合わせて、骨もだいぶやられているだろう。
ぐったりと倒れ込む。
【クイックヒール】を連発しているが、立つまでにもう少し時間がかかる。
「おい、手錠つけとけ」
ソーミルが手下に手錠をつけるように指示する。
「は、はい!」
早く……回復を……
「こいつ、相当MPあるぞ。
動きもただの魔法使いじゃねぇ……」
下っ端の男が近づいて来て、手錠をかけようとする。
【魔影脚】!
僕は立ち上がると同時に、左脚を軸に【魔影脚】を下っ端の男にぶちかます。
バゴッ!
下っ端は勢いよく壁に吹っ飛び意識を失う。
さっきの会話でなんとか回復が間に合った。
「この野郎……
まだ動けんのか?」
「はぁ……はぁ……」
だけど、きっついな。
こいつ強すぎ。
「そういや、手錠かけてもぶっ壊すとかさっき言ってたな。
まぁいい。
回復する気が無くなるまでボコボコにしてやるよ……」
◇
メキッ!
「おいおい、これで何回目だ?
お前骨いくつあんだよ……」
「ガハッ!」
ビチビチッ!
腹を殴られ、血反吐が地面に飛び散る。
骨も何度折られたかわからない。
「MPが多いってのも、その分苦痛を多く生み出すだけだな」
「はぁ……はぁ……」
マズイ……
MPはまだあるが、意識が朦朧としてきた。
血を失いすぎたのだろうか。
この状況を打開できない……
すべての能力が劣っている……
ガツッ!
ゴロゴロ……
僕はソーミルに蹴り飛ばされる。
「このまま牢屋まで運んでやるよ」
ガツッ!
ゴロゴロ……
僕はサッカーボールのように、蹴り飛ばされながら移動する。
ちなみに、蹴り一発一発の威力が高い。
僕の回復スピードと同じくらいだ。
「おぉ、すっげぇ。
蹴られながら回復してるヤツなんざ、初めて見たぜ」
ガツッ!
ゴロゴロ……
ガツッ!
ゴロゴロ……
ガツッ!
ゴロゴロ……
◇
しばらく蹴られながら移動をしている。
ギィ……
重い金属の扉が開く。
ガツッ!
ゴロゴロ……
「ここなら出られねぇだろ」
僕は狭い部屋に入れられる。
壁も床も天井も、分厚い金属だ。
【土魔法】を使っての脱出は無理だろう。
「おい」
ソーミルはぐったりする僕の髪の毛を掴む。
「まだ意識があるのか?
お前、拷問のやりがいがあるな……
何者なのか、じっくり聞いてやるよ」
おぉ……
しばらく時間が経ったからか、視界が復活している。
盲目が回復したのだろう。
ソーミルは思ったより若い。
目が狐のように鋭く、赤い短髪だ。
割とイメージ通りだな。
「何見てんだよ……
てめぇ、自分の状況がわかってんのか?」
「……耐久、ごちそうさま」
「は?」
ソーミルは一瞬驚いた表情をつくる。
「……HP、ごちそうさま」
すぐさま怒りの表情だ。
「クソがっ!」
メキッ!
ソーミルは僕の顔面に拳を撃ち込み去っていった。
カチャリ……
【見習い罠使い:Lv0(New)】
HP:244/369(↑+14)【見習い罠使い】:-40
MP:281/990(↑+1)【見習い罠使い】:-40
SP:144/489(↑+3)【見習い罠使い】:+50
力:51(↑+3)【見習い罠使い】:-20
耐久:115(↑+8)【見習い罠使い】:-20
俊敏:68(↑+3)【見習い罠使い】:-20
技:43(↑+3)【見習い罠使い】:-20
器用:103【見習い罠使い】:+10
魔力:87(↑+1)【見習い罠使い】:-20
神聖:147(↑+3)【見習い罠使い】:-20
魔力操作:156(↑+1)
【エアブレード】Lv67+1
【辻風】Lv6+1
【マイン】Lv3+1
【回復魔法】Lv100+1
【オートヒール】Lv48+1
【クイックヒール】Lv16+2
【リヒール】Lv77+1
【グレイトヒール】Lv9+2
【補助魔法】Lv93+2
【ハイプロテクト】Lv39+1
【ハイバイタルエイド】Lv41+1
【アジリティエイド】Lv36+1
【アジリティエイド】Lv37+1
【ハイアジリティエイド】Lv8+1
【ヒットストライク】Lv41+1
【マジックアシスト】Lv28+1
【金属精錬】Lv23+1
【体術】Lv16+1
【マルチタスク】Lv118+2
【自己強化】Lv16+2
【不屈】Lv12+2
【鉄壁】Lv30+2
【フレアバースト】Lv11+1
【魔影装】Lv33+1
【魔影脚】Lv9+1
【麻痺耐性】Lv11+5
【睡眠耐性】Lv17+5
【盲目耐性】NewLv6+6
【痛覚耐性】Lv8+1
【状態回復魔法】NewLv2+2
【アンチパラライズ】NewLv3+3
【アンチブラインド】NewLv3+3
【アンチスリープ】NewLv3+3
【罠】NewLv0
【トラバサミ】NewLv0




