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131日目(異世界)前編

ゴンゴンッ!

分厚い扉にノックが響く。

僕は今、マヤシィナの城の一室にいる。

誰だろうか?


「おはようございます!」

「おはようございます!」

扉の前には、城の兵士さんがおり、元気よく挨拶してくれる。

そして、元気よく挨拶をされれば、当然元気よく挨拶を返す。


「お時間よろしければ、中庭の方におこしください。

フヨウ様がお呼びのようです」

「了解です!」

兵士さんは、ビシッと背筋が伸びており、こちらもビシッと背筋を伸ばし、大きな声で返事をしてしまう。

なんというか、体育会系だよな。










「おい、お前のおはようございますが、俺の部屋にまで聞こえてきたぜ?」

「僕の部屋にも聞こえてきたよ……」

「え?

そうなの?」

僕、ショーン、クラールは呼び出された中庭に来ている。

そして、中庭で朝食を摂っている。


「おはよう」

「やぁフヨウ、おはよう」

フヨウも僕たちのテーブルへやってくる。


「それで、今日はどうしたの?」

「今日から少しの間、騎士団と一緒に昨日の森近辺で狩りをする。

キミたちもどうだ?」


「それなら一緒に行きたいね」

僕がどう返答しようか迷っていると、クラールが応えてくれる。

正直、狩りなら是非いきたい。


「おいおい、討伐隊が組まれるって話じゃなかったのか?」

ショーンが聞いている。

確かに、フヨウは父と兄の敵討ちを目標にしている。

その相手を倒すため、討伐隊が組まれるから戻ってきたって話だった。


「そうだ。

だが、今すぐに討伐隊が組まれるわけでは無い。

それまでの間、タイラ様から森の強力な魔物でステータスとジョブを上げてくるように言われたのだ」

「そういうことなら、一緒に行こうぜ」













僕たちはマヤシィナの出口近辺へやってきた。

「ケン殿、ショーン殿、クラール殿よろしくお願い申し上げる」

騎士団長のギュエンさんだ。


「「「よろしくお願いします」」」


ギュエンさんの他に、数名の騎士の方々がいた。

昨日よりは少ないが、魔法部隊もいるようだ。


ちなみにだが、クラールとショーンは奥義を使わずに普通に戦うらしい。

僕は基本的に回復のみで、攻撃には参加しないように言われている。

おそらく今日もやることが無さそうだ……


ジョブは【錬金術師】や【薬師】、【調合師】なんかの戦闘では上げにくいものにしておこう。











おおまかな流れは昨日と同じだ。

まず、ギュエンさんが盾を構えて突っ込みその後、全員で魔物を囲む。

そして、魔物を袋叩きにするのだ。

このとき、フヨウの【雷属性】攻撃が栄える。

集団戦での【雷属性】はかなり有効だ。


マヤシィナの魔物はそれなりに強いので、完全に動きが止まることはないが、それでも【雷属性】の攻撃によって動きが鈍る。

できれば僕も【雷属性】の攻撃か魔法がなにか欲しいところだ。


それから、ギュエンさんの動きもかなり良い。

盾系のジョブだとは思うのだが、タンクのみとして活躍しているわけではない。

俊敏や力も相当あるだろう。

普通に火力が高いのだ。


ショーンやクラールの動きも良いが、力をセーブしているようにも見える。

他の騎士と同じくらいの殲滅力だ。












「今日は良い狩りができましたな!」

「……そうだな」

ギュエンさんはそう言うが、フヨウは微妙だ。

僕やクラール、ショーンが本気で戦っていないからだろう。

こんなんでいいのだろうか……


「今夜話がある。

城ではなく、城下町の食堂に皆来てくれないか?」

フヨウが神妙な面持ちで僕たちに言う。

「了解」

クラールがすぐに返答する。


やっぱりそうなるよな。

フヨウにとってはこれから敵討ちに出るわけだ。

僕たちの戦いぶりを見て、不審に思ったはずだ。












「来たか……座ってくれ」

フヨウが食堂の奥に座っていた。


とりあえず、僕たちは同じテーブルに座り、食べ物と飲み物をそれぞれ注文する。

『おい、どうすんだよ?』

『まぁ僕に任せて欲しい』

現在は僕、ショーン、クラールで【コール】を使用中だ。

僕もフヨウにはうまく説明できそうにないので、クラールに任せる。


「それで、昼間の狩りのことかな?」

「そうだ。

昼間の狩りと、昨日の狩りについてだが、キミたちは力をセーブしているように見えた……

なにか理由があるのか?」

クラールとフヨウが話す。

僕とショーンは特に何も言わない。


「ケンの【呪術】さ。

常に耐性は上げておいたほうが良いだろう?」

「それは……そう……だが……」


「フヨウについては、タイラ様が実力を確認する必要があっただろう?

だから、僕たちだけに【呪術】を使ってもらったんだ」

「……………………」

フヨウは黙ってしまった。

納得したという感じではないな……


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[良い点] 大変面白かったです。続き楽しみにしています
[良い点] 更新待ってます。
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