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127日目(異世界)

「そろそろ潮時だな……」

サワナ様はそうつぶやくと、奥義【絶対氷雪】を発動する。

辺り一面が静かに凍りつく。


今日も第五戦線での狩りを終える。


「おい狭間、エクスポーションはどうなっている?」

「はい、今9つまで完成しました」


「ではあと1つ今日中に完成させろ」

「はい」












「私は明日、ここを出る。

お前達、悪くなかったぞ」

サワナ様が言う。

随分と急だ。


「おいおい、第5戦線にもやっと慣れてきたんだ。

もう終わりなのか?」

「慣れた狩場で修行をしたところで、たかが知れているぞ?

それに、お前らも見ただろう。

しばらくは魔物が復活しない」

「確かに……」

連日のサワナ様の奥義で、なんと第5戦線の魔物が少なくなってしまったのだ。

そもそも、人間が住めないほどに魔物が出現する地域なのに、それを一掃してしまうとか尋常ではないよな。

でも、経験値の効率はずば抜けてよかった。

もう少しジョブ経験値を取得しておきたかったなぁ……


「魔物討伐によるジョブ経験値は、その名の通り、ジョブしか上がらん。

素のステータスには影響が無いからな。

私にくっついてくるだけでは、真の強者にはなれんのだよ」

「確かになぁ……」

ショーンは頭の後ろで手を組み、納得する。


サワナ様の言う通りだ。

ジョブによるステータス補正は大きいが、自分で戦わなければ素のステータスは上がらない。

このあたりが潮時なんだろう。


「それで、エクスポーションはできたか?」

「はい、これで全部です」

僕は10個のエクスポーションを渡す。


「ふむ……

まぁ質はそれほど良くないな。

【調合師】のジョブを得たばかりだから、こんなもんだろう。

よし、部位欠損の【回復魔法】だったな?」

「はい!

教えて下さい!」


「いいだろう。

私が直接見たのはもう何年も前のことだ」

おぉ、サワナ様は見たことがあるのか。


「私とイヴォンは同郷でな。

同じ師匠に魔法を教えられたのだ」

「レーゼ様ですか?」

クラールが言う。

イヴォンさんの師匠ということは、クラールも知っているのだろう。


「そうだ。

レーゼは私の父だ」

「賢者様の……」

うぉ……

なんかめっちゃ凄そう。

ぜひ直接会ってみたい。


「説教臭いジジイだったよ。

全ての生物を愛せ……完全なる無償の愛を……

ジジイの口癖だ」

「そのレーゼ様が最上位の【回復魔法】を使えるんですか?」


「そうだな。

だが、随分前にくたばったよ」

「そうなんですか……」


「お前、異世界で身体が動かないんだろ?」

「はい……」


「それで、上位の【回復魔法】が必要なんだな?」

「はい……」


「では何故前衛職や、攻撃魔法を鍛えている?」

「えっと……」

確かに……

日本で身体を動かすためには、上位の【回復魔法】が必要だ。

だけど、今僕は【聖職者】や【司祭】以外のジョブも鍛えている。


「もしかして、回復職に特化しなければ上位の【回復魔法】を習得できないんでしょうか?」

ヤバいな……

もしそうなら、すでに詰んでいる。

いろんなジョブに手を出しすぎた。


「いや、本質はそこではない。

狭間、質問に答えろ。

何故前衛職や、攻撃魔法を鍛えている?」

何故と言われると困るな……

どうしてだろうか……

僕は少し考え込み、答えを出す。

「楽しいから……でしょうか?」


「やはりな……」

サワナ様はニヤリと微笑む。

「上位の【回復魔法】習得には、恐らく【大司祭】のジョブが必要だ。

ジジイがそうだったようにな。

だが狭間、お前は【大司祭】よりもむしろ【賢者】に近いぞ」


「ぇ?

【賢者】ですか?」

「そうだ。

そもそも【賢者】には、【回復魔法】以外のものが必要だからな。

【空間魔術師】の習得も早かったし、やはり【賢者】の習得は可能だろうな」


「それはありがたいです……でも……」

「まぁ話を戻すか」

サワナ様は、紅茶を一口飲む。


「レーゼは回復職に特化していてな。

しかし、それを目指したわけではない。

自然とそうなったのだ。

完全なる他者への無償の愛……それがレーゼを回復特化にさせたのだ。

ジジイは……レーゼはよく言っていた。

自分のためではなく、他者のため、その思いが【回復魔法】を強化するのだとな。

狭間、お前はなんのために上位の【回復魔法】を習得したいのだ?」

「それは……日本での自分の身体のためです」


「だから習得が厳しいのだ。

私とイヴォンが【大司祭】になれなかったわけも分かるだろう?」

確かに、サワナ様やイヴォンさんからは、他者への無償の愛なんて感じられないな……

「確かに、サワナ様やイヴォンさんにゃ無理だな……」

ショーンがまたボソリとぶつやく。


「おいお前、今日はこれを着ておけ」

サワナ様が、またおかしな装備を【魔力庫】から取り出し、ショーンへ渡す。

ショーンは、しまったという表情をするが、しぶしぶ従う。


タンクトップのように肩が出ているが、丈は膝くらいまである。

それから胸元がざっくりと割れており、ショーンの引き締まった胸筋が見える。

色はやっぱり黒と紫だ。

とりあえず言えることは、クソダサい。


「餞別にくれてやろう」

「……ありがとうございます(いらねぇ〜……)」


「狭間、まぁ気を落とすな。

【大司祭】の素質が無くても、お前には【賢者】の素質がある。

【賢者】の素質があるものなどそうはおらん」

「はい……」


他者への無償の愛か……


狭間圏はざまけん

【司祭:Lv41(↑+8)】【空間魔術師:Lv33(↑+12)】

HP:354/354(↑+2)

MP:7/913【司祭】:+182

SP:3/458(↑+4)

力:47(↑+1)

耐久:107(↑+1)

俊敏:64(↑+1)

技:39(↑+1)

器用:98(↑+1)

魔力:82(↑+1)【司祭】:+91

神聖:137(↑+1)【司祭】:+182

魔力操作:144(↑+1)【司祭】:+41

【回復魔法】Lv93+1

【ハイヒール】Lv51+1

【リヒール】Lv58+1

【ハイリカバリ】Lv63+1

【グレイトヒール】Lv4+1

【補助魔法】計+8

【体術】Lv14+1

【魔影装】Lv31+1

【魔影脚】Lv7+1

【魔影連脚】Lv7+1

【魔影連撃】Lv4+1

【降下耐性】計+9

【調合】Lv19+1

【ポーション合成】Lv36+2

【ハイポーション合成】Lv29+2

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― 新着の感想 ―
[一言] 賢者になってみないわかりませんな! しかしサワナ様は調薬もさせつつ賢者も見据えてたのか凄いな
[一言] 待ってました!
[良い点] 更新ありがとうございます
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