125日目(異世界)
「おい、ショーン、今日はお前が奥義を習得しろ。
できなければ、クラールにもショーンと同じ装備をしてもらう」
「な!!」
サワナ様の発言に対し、クラールが驚く。
「ちょっと待ってください!!
僕はすでに奥義を習得しました!!
無関係です!!
あの装備だけはお許しください!!」
サワナ様の表情がおかしい……
頬を赤らめ、鼻息が荒くなる。
「おい、今のをもう一度言ってみろ」
「僕は奥義を習得しましたので、無関係です」
「違う! 最後だ!」
「え?
あの装備だけはお許しください?」
「そうだ!
最後もう一度言ってみろ!」
「お許しください!」
「そ……そうだな。
考えておいてやろう……」
サワナ様は深呼吸をすると、満足そうに言う。
「「「「……………………」」」」
このやり取りはいったいなんなんだろうか……
◇
今日はショーンが奥義を習得することができた。
【螺旋流】という技で、ショーンを中心に大きな渦ができ、周囲のデススコーピオンを巻き込んでいた。
凄まじい威力だったが、味方を巻き込みかねないのと、SP消費が半端ないことが欠点だ。
【昇仙拳】の恩恵があってもかなりの消費らしい。
ちなみに、クラールがめちゃめちゃ安心している。
ショーンが奥義を習得したことで、例の装備をしなくてもよさそうだからだ。
「最初の奥義にしては、なかなかだな。
これで狭間以外は奥義を習得できたわけだ」
「……………………」
ぐぬぅ……
また僕だけが習得できてないパターンだ。
「狭間、お前は【回復魔法】の奥義習得は厳しいと言っただろう?
【司祭】のジョブにしていても恐らく奥義を習得するのは厳しいぞ」
「そんな……」
それは困る……
日本でもまだまだやりたいことがある。
このまま動けないなんて……ことはない!
まだ修行は始めたばかりだ。
必ず上位の【回復魔法】を習得してみせる。
「ぬふぅ……」
サワナ様は、おかしな声をあげる。
左手を頬に当て、またうっとりしたような表情をする。
「狭間……お前……なかなかいい顔をするな。
お前……一瞬だが、絶望したな……?
悪くない……悪くないぞ……」
「は……?」
一体何が悪くないんだろうか……
「おい、とりあえずジョブは【魔法士】にしておけ。
では今日もいくぞ!
【インペリアルフレイム】!」
サワナ様の奥義は、何度見ても鳥肌が立つ。
本日の威力も申し分ありません。
カチャリ……
おぉ……
3日連続の新ジョブだ。
カチャリ……
ぇ?
連続?
【魔法士】がカンストし、【上級魔法士】が新ジョブで出た。
そして、爆風でデススコーピオンが倒され続けていると、さらに【空間魔術師】が出た。
サワナ様の言う通り、【魔法士】としてのジョブレベルが上がった瞬間に【空間魔術師】のジョブが出てきた。
【魔法士】Lv25→★(50)
【上級魔法士】Lv0→27
【空間魔術師】Lv0→21
この流れだ。
相変わらず凄まじい経験値だな。
◇
「サワナ様の言う通り、【上級魔法士】と【空間魔術師】を習得することができました」
僕たちは、修行を終えて、街へ戻ってきた。
今日も残りのMPは全て【ハイリカバリ】を使い、エクスポーション作成のために使っていく。
「やはりな……」
サワナ様はこちらを凝視する。
スキルが発動中なのだろう。
「あの、サワナ様の必要とするエクスポーションですが、【回復魔法】や魔石では代替可能なのでしょうか?」
「ん?
あぁ、何故必要かってことか?」
「そうです。
サワナ様なら、アイテムを使うより、魔法を使ってしまったほうが早いんじゃないかと思いまして」
「なるほどな、お前の疑問ももっともだ。
しかし、魔法では代替不可の秘薬というものがある」
「秘薬……ですか」
「そうだ。
お前、私の見た目をどう思う?」
「大変美しいと思います……」
「ぬふぅ……もう一度言ってみろ……」
サワナ様の表情がおかしい。
やばいな……なんかサワナ様のスイッチ入れてしまったのかも……
「大変美しいと思います……」
「ぬふぅ……」
「……………………」
この間はなんだろうか……
「私はイヴォンより年上だ。
そうは見えんだろう?」
やっぱりそうか。
態度やこれまでの話から、イヴォンさんより年上だとは思っていた。
「はい」
「不老薬というものがあってな。
生成するためには、大量の素材が必要だ。
それから、大量の魔石もな」
「なるほど、それで狩りでは魔石を集めていたんですね」
「まぁな。
それから、私自身が持っていない【薬師】や【調合師】のスキルも必要だ。
それらは金で解決している」
「教会のお仕事もお金になりますからね」
「そうだ。
他の街の教会にも結界を張ったり、魔石の補充などもしている。
いくら金があっても全く足らんのだ」
ちなみに、会話をしている間にもどんどん【ポーション合成】をしている。
【ポーション合成】を使って結構な数のハイポーションができてきた。
「そうだ。
サワナ様、【ハイポーション合成】も習得したんです」
日本で【ポーション合成】をしまくっていたら、【ハイポーション合成】も習得できた。
とりあえずサワナ様に報告しておこう。
「ほぉ……
お前、スキル習得の早さが異常だな。
やはりMPが無尽蔵なのは大きなアドバンテージだ。
さっそく【ハイポーション合成】をやってみろ」
「はい!」
合成系のスキルは全く同じだな。
ただし、【ハイポーション合成】の場合、必要なハイポーションは3つだ。
これは感覚的に分かる。
ポス……
「失敗ですね」
「だろうな。
【ハイポーション合成】は成功率が低い。
ひたすらスキル上げが必要だな。
成功すればエクスポーションになるぞ」
「おぉ、ではそれを10個揃えればいいんですね?」
「そうだな。
うまくいけば明日にはできるかもしれんな……」
狭間圏
【調合師:Lv11】
HP:352/352
MP:6/897
SP:3/428(↑+4)【調合師】:+72
力:45(↑+1)【調合師】:-15
耐久:106【調合師】:-15
俊敏:62(↑+1)【調合師】:-15
技:37(↑+1)【調合師】:-15
器用:89(↑+2)【調合師】:+61
魔力:80
神聖:135(↑+1)
魔力操作:138(↑+1)
【ハイヒール】Lv49+1
【グレイトヒール】Lv21
【ハイリカバリ】Lv55+1
【補助魔法(計+7)】
【魔影装】Lv29(↑+1)
【魔影脚】Lv5(↑+1)
【魔影連脚】Lv3(↑+1)
【降下耐性(計+9)】
【調合】Lv82
【ポーション合成】Lv14+4
【ハイポーション合成】Lv4+4




