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122日目(異世界)前編

今日は朝から、イヴォンさん、クラールと教会の応接室にいる。

「ケン、ショーンから聞いたけど珍しい【空間魔法】を使えるんだって?」

「あれかな?

【文書】かな?」


【文書】は自分の思い描いた図や、言葉をボードに書くことができる。

さらに対象を選んで、その対象にだけボードを見せることができるんだ。

日本では、主に勉強用として使っている【空間魔法】だ。


「それは便利ですねぇ……」

イヴォンさんが感心したように言う。

「それから他にはどのような【空間魔法】が使えるのですか?」

僕は、イヴォンさんに自分が習得している【空間魔法】について説明をする。


他に習得している【空間魔法】は【パーセプション】【遠方認知】【魔力庫】だ。


「なるほどなるほど……

では、本日は【文書】【パーセプション】【遠方認知】の魔石を生成していただきましょうか」

「はい。

わかりました。

しかし、限定的にしか使えなさそうなものですが、需要はあるんですか?」


「いえ、それほど需要は無いでしょうね……

しかし、いくつかは持っておいて損はないでしょう」

やはり需要は無いだろうな。

【パーセプション】はまだしも、【文書】はあまり使えなそうだ。

【文書】自体は便利だが、それほど遠くに発動できないので、手紙として使うこともできないだろうし。


「それから狭間さん、また新しく【空間魔法】を習得したらぜひこちらに教えてください」

「わかりました」


その後カルディさんと合流し、【パーセプション】と【文書】の魔石を生成した。









僕は今一人でギルドへ来ている。

というのは、この前までは【呪術】を使い、貴族の方々たちに耐性を付けていた。

しかし、日本で【呪術】の魔石に魔法を補充しまくったため、その魔石で彼らは耐性の強化をしている。

ショーン、クラール、フヨウも同様に、僕が日本で補充した【呪術】によって耐性を強化中だ。


そういうことで、僕は今一人でギルドへ来ている。

なにかソロでこなせる依頼はないだろうか。


「あれ?

ケンちゃんじゃね?」

黒髪オールバックのアンティさんだ。

相変わらず冒険者らしくない、シャツにベスト、革靴だ。


「おはようございます!

アンティさん」

「おぉ、朝から元気だな」


「アンティさんも何か依頼ですか?」

「まぁね。

どうすっかなぁって感じ?

そういえば、この前ケンちゃんを拉致した、残りの賊まだ捕まってないんよ。

新しく情報が入ったら討伐しにいこうかくらいだなぁ」


僕を拉致した人間は5人いた。

あと2人は逃走しているってことだろう。


「多分だけど、アポンミラーノにも、アインバウムにもいないと思うんだよねぇ。

この辺りの賊って結構殺しちゃったから」

「そ、そうなんですね……」


捕まえた、ではなく殺しちゃったのね。

賊相手とはいえ、やっぱり危ない人で間違いはないだろう。


「ぁ、いいこと考えた……」

アンティさんは鋭い目つきを僕に向け、不敵に微笑む。

何か嫌な予感がする……


「ケンちゃんさぁ、賊捕まえるの手伝ってもらえない?」

「別に構いませんが、アンティさんの強さ的にあんまり役に立てそうもありませんよ?」


「だぁ〜いじょうぶだって。

ケンちゃんは役立つぞぉ!」

そう言うと、アンティさんは馴れ馴れしく肩を組んでくる。









アンティさんと一緒に、ヴァイツという街に来た。

初めて訪れる街で、それなりに大きい。

アインバウムよりもやや大きい街で、距離的にも結構離れている街だ。


ギルドカードを申請して、ポータルの使用許可をとった。

ただし、使い切りの通行券で、しかも有料だ。


どうやら、ギルドランクによって、ポータルの使用数が決まるらしい。

今ギルドランクが16で無制限でポータルが使える場所は、アインバウム、アポンミラーノ、第3戦線、第4戦線、ノゥヴ湿地だけだ。

そして、戦線については、イヴォンさんが申請してくれたもので、自分のギルドランクとは無関係だ。


ギルドランクを上げまくって、いろんな街に行くのも面白いかもしれないな……

今回はヴァイツの賊討伐が目的。

うまくいけば、ギルドランクがもっと上がるかもしれない。


「んじゃ、そういうわけで予定通り頼むよ」

「はい、わかりました」

アンティさんはそう言うと【インビジブル】(不可視)を使い、僕の視界から消える。

気配も全く無いな。

【パーセプション】か【魔影装】が無ければ絶対にわからないだろう。


僕はアンティさんの指示通り、睡眠薬と麻痺薬をギルドへ納品しに行く。

ここ数日、日本の自室で【薬師】のスキル【睡眠薬生成】と【麻痺薬生成】を使いまくっている。

毎日納品して、少しずつギルドランクを上げているところだ。

アンティさんの指示でいつものギルドではなく、ヴァイツまで来て納品をする。


「すみません、睡眠薬と麻痺薬の納品をお願いします」

「はい、わかりました」

ぉ、ギルドの受付が初めての女性だ。

今まではなぜか筋肉質の男性だったが、やはり屈強である必要は無いようだ。


「では、ギルドカードの確認をお願いします」

「はい、よろしくお願いします」

僕はギルドカードを提示する。

こうやって少しずつギルドランクを上げているのだ。


「あら、【聖職者】様ですか?

すばらしいMPですね。

本日は治療所でお力をお借りすることはできませんか?」

「すみません、今日はもう魔石の補充でMPが切れていまして……」


「それは残念ですね。

ではまたの機会にお願いします」

「はい、そのときはよろしくお願いします」


僕はギルドをあとにする。

MPが切れているというのはウソで、実際は今日はまだほとんど使っていない。

アンティさんの指示で、最大MPが多くあり、かつ今はMP切れの状態だとアピールすればいいらしい。

要するに、おとりだ。

誰かが、僕をつけている可能性があるので、アンティさんが【インビジブル】で僕のまわりを警戒してくれている。









ギルドのあとは、てきとうにフラついて、食事を摂る。

これもアンティさんの指示だ。

それからお酒をガッツリ飲んだ。

僕は【毒耐性】があるので、ほとんど酔わないが、多少酔っている感じを出しながら、人気のないところに行く。


しかし、MP切れの状態で人気のないところをウロつくって僕も相当ダメだったなぁ……

おとりになるようなことを、素でやっていたわけだ。

まぁそのおかげで、アンティさんもこの方法を思いついたのだろう。


ぁ……

さっそく囲まれてるな。


【パーセプション】で確認する。

7人か?

結構多いな。

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― 新着の感想 ―
[一言] 文書は諜報活動で重宝しますね。むしろ必須レベル 悪用するとすればまず思い浮かぶのが賭け事のイカサマ 相方を対戦相手の後ろに立たせればカンニングし放題w
[一言] まー攫う方が悪いんですけど 目の前に大金があって拾えば犯罪でも自分の物に出来ると思えば 普通の人でもつい魔が差してしまうこともあるんですけどね でも今回も常にギルドで会話内容に聞き耳立てて…
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