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120日目(異世界)後編

「お前やるじゃん。

俺の【インビジブル】バレるの久々だわぁ」


やばい!

この男確実に強い!


オールバックを肩くらいまで伸ばした男には、表情に余裕が見られる。


ザッ!


僕はすかさず踏み込む。


【魔影連撃】!


トスッ!

トスッ!

トスッ!

トスッ!

トスッ!

トスッ!


ウソだろ!

【魔影連撃】が男の手ですべて押さえられる。

それも、完全に威力が殺されている。


「おい、ちょっと話を聞け」


ダメだ、絶対に勝てない。

ザッ!


僕は【魔影装】で走り出す。

逃げるしか無い!


ザッ!

目の前に男が回り込む。


「だから、話聞けって!」

「クソ!

【魔影脚】!」


トスッ!


まただ……

全力の【魔影脚】ですら、ふわっと受け止められる。


「おい、俺は味方だ」

「ぇ?」









「アンティ、俺の名前はアンティな」

「僕は狭間圏(はざまけん)です」


アンティさんは、20代後半だろうか。

黒髪オールバックで、目鼻立ちがくっきりしている。

真顔だとちょっと怖いけど、ヘラヘラしているので話していると優しい人のようにも見える。

ギルドから賊の討伐依頼を受け、ここまでやってきたという。

黒い革靴に、黒いパンツ、黒いベスト、白いシャツというおよそ冒険者に見えない服装だ。


……怪しい


ギルドの依頼で【インビジブル】という不可視スキルを使い潜入をしていたらしいが、本当にギルドの依頼で動いているのだろうか。


しかし、僕より確実に強い。

面倒なら僕を倒してしまえばいいのだし、嘘をつく理由は無いか?


「てことは、最低でもあと2人の賊がいるってことね?」

「はい、恐らく強さ的にもそのうちの一人がボスだと思います」


「てかさ、ケンちゃん回復職なんじゃねぇの?

結構強くね?」

ケンちゃんて僕のことだよな。

そう呼ばれるのは小学校以来なんだけど……


「最近前衛スキルで良いのを習得したので、ステータスはそうでもないんですけど、戦えるようになりました。

ぁ、あともう一人捕まっていた【聖職者】さんがギルドに連絡をしたので、もうすぐ増援が来ると思います」


「へっへぇ〜……なるほどねぇ……

ぁ〜……でも増援とか来るとだりぃなぁ……」

「そうなんですか?」


「そそ、俺ソロのほうがやりやすいのよ。

だいたい足手まといだし。

人が来るのはクソだりぃわ。

そこでへばってるヤツに、あと2人のこと聞いてみようぜ?」


アンティさんはそう言うと、置いてあった水差しを持ち出す。


ドシャッ!



賊の男三人に水をかける。


「「「………………」」」


3人とも目を覚ましたようだ。


「おい……

こんなことしてただで済むと思ってんのか……?」

僕を尋問していた男だ。


「はい、ざんねぇ〜ん!

お前アウトォー!」


ドシュッ!


ぇ……?


アンティさんは楽しそうに言うと、男の首にナイフを突き刺す。


「うりうり」

プシュッ!プシュッ!


「が……ふしゅ……」


アンティさんは、突き刺さったナイフを楽しそうにぐりぐりする。


「ちょっと!

話を聞くんじゃなかったんですか!?」

「ぇ?

そうだよ?」


アンティさんはそう言いながら、ナイフをぐりぐりする手を止めない。


「殺しちゃってるじゃないですか!」

「うん、そうだよ?

あと2人いるじゃん?

そいつらから聞けばよくね?」


「「………………」」

2人は完全に怯えている。


「俺さ、こういうとき最初にしゃべったヤツ殺すことに決めてんだよねぇ。

だからコイツはアウトだったわけよ」

アンティさんはナイフをぐりぐりし続けている……

僕は唖然としてしまう。


「そうすっとさ、生き残ったヤツがすぐに情報を吐いてくれんのよ、これが。

んで、どうする?

お前ら2人、先に情報吐いたほうだけ殺さないけど?」

「話す!

俺が話す!」

「ぁ、おい!」


「はい、お前アウトォー」

アンティさんが、もう一人の首にナイフを刺そうとする。


が……


ザクッ!


ナイフは、とっさに出した僕の右手を貫く。


「ぇ?

ケンちゃん何してん?」

「いや……別に殺さなくてもと思って……」

僕がおかしいのだろうか……

でもとっさに手で庇ってしまった。


「ケンちゃんさぁ、拉致されてたっしょ?

こいつらムカつかないわけ?」

「はい……まぁ……」

アンティさんが僕の右手に刺さったナイフを抜くので、とりあえず【ハイヒール】で回復しておく。


「でも、殺すまではしなくていいんじゃないかと……」

「ぇ、なんで?」


「……………………」

やっぱり僕がおかしいんだろうか……

なんでと言われると答えることができない。


いや、というよりなんで殺すんだ?


「ま、いっか。

ケンちゃんは殺すの嫌なんでしょ?」

「そうです。

なんと言ったらいいかわかりませんが……」


「じゃあ別にいいや。

いやぁ〜、逆に殺さないの久々だわぁ〜」

「ぁ、ギルドの人が来たようですね」


向こうから10人くらいの冒険者がやってくる。

規模的に僕たちを助けに来た人だろう。


「ぁ〜……説明すんのとかだりぃな。

ケンちゃん、あと頼んだ。

右手ごめんな。

そのうち飯でも食いに行こうぜ、奢ってやるよ」


ザッ!


アンティさんはそう言うと消えてしまう。

あの感じ……とんでもなく強い……

一体何者なんだろうか……









「ハハハッ!

ケンを拉致するなんてバカな野郎だな!」

「ショーン、笑い事じゃないよ……

相手が殺す気だったら、本来倒せる相手に殺されていた可能性があるってことだ」

ショーンは笑っているが、クラールは怒っている。

「そうだね……それはさっきイヴォンさんにお説教されたよ」


「ケンがおかしいのは知っていたが、あまりにも不用心だ。

前々から思っていたのだが、ケンは不自然に知識が欠けてないか?」

げ……フヨウさん、それは鋭いよ……。


「なんらかの事情があるとは思っていたけど、言えることなら教えてほしい」

クラールも前から気づいていたのか。

ショーンは……特に気がついていなそうだ……


そうか……

そうだな……

イヴォンさんも含め、彼らには話しておいたほうが良いだろう。

一応、カルディさんに言ってからにしよう。


「わかった。

明日カルディさんに聞いてみるよ。

いろいろ話すことがある」

「そうか、カルディさんが事情を知っているんだね」


「ぁ、そうだ。

アンティさんていう冒険者を知ってる?」

「私はこのあたりの冒険者の知識は無いな……」

「あぁ、賊殺しのアンティだろ?」

「有名だね」


「賊殺し?」

「あぁ、投降してきた盗賊団を、街まで連れてくのがめんどくせぇってだけで皆殺しにしたらしいぞ。

相当ぶっ飛んでるヤツらしいな」

「あんまり良い噂は聞かないよね」

マジかよ……

なんだそれ。

あの軽い感じで皆殺しにしたんだろうか……


「まさか、本人に会ったとか?」

「そうなんだ、実は……」









クラールたちにアンティさんのことを伝える。

「おいおい、マジかよ……」

「しかし、あのアンティが2人も殺さないで立ち去るなんて凄いね。

ケン、ご飯まで誘われたんだろ?

それは気に入られてるかもしれないな……」


「ぇ……なんかマズイの……?」

「いや、さっきも言ったけど、あんまり良い噂は聞かないからね……」


まぁかなり特殊な人だったからな。

目の前で楽しそうに人を殺してるのを見ておいてなんだけど、そんなに悪い人には見えなかったな……


狭間圏はざまけん

【呪術師:Lv48】

HP:326/347【呪術師】:-21

MP:4/852(←懲りてない)【呪術師】:+68

SP:9/378

力:40(↑+2)【呪術師】:-11

耐久:104【呪術師】:-11

俊敏:59(↑+1)【呪術師】:-11

技:30(↑+1)【呪術師】:-11

器用:72

魔力:77

神聖:131

魔力操作:130【呪術師】:+34

【土魔法:Lv36(↑+1) マイン:Lv0(New)】

【空間魔法:Lv63 パーセプション:Lv80(↑+1)】

【体術:Lv10(↑+1)】

【魔影装:Lv20(↑+1) 魔影脚:Lv1(↑+1) 魔影連撃:Lv1(↑+1)】

【呪術:Lv6 パワーブレイク:Lv6(↑+1) アーマーブレイク:Lv6(↑+1) スロウ:Lv6(↑+1) ヒットブレイク:Lv2(↑+1)】

【睡眠耐性:Lv10(↑+10)】

【睡眠薬生成:Lv15(↑+1)】

【etc.(86)】

誤字脱字無双申し訳ございません。

誤字報告ありがとうございます。

いろいろと直したいのですが、最低限の修正にします。

申し訳ありませんが、更新を優先させていただきます。

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― 新着の感想 ―
(懲りてない)てww 今まで1度もそんなことしたことないのに いきなりぶっ込んできたから腹筋崩壊しました
[良い点] アンティの好感度が高いw [気になる点] 主人公は、典型的な脳みそお花畑さんかな?
[一言] 盗賊皆殺しにしたくらいでぶっとんでるなんて言われるか?盗賊なんて殺してなんぼじゃね?投降したってどうせ処刑するでしょ?
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