表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/312

38日目(異世界)

本日2回目の投稿です。

1話目まだの方はそちらからどうぞ。


今日も道具屋で、ホーンラビットと格闘する。

俊敏が上がっていることもあり、余裕が出てくる。


回避はもちろん、パンチも結構当たる。

そうなると、パンチでダメージが入るため、消費MPは少なくなる。

MPを使って魔物を攻撃する回数が減るわけだから、魔力の上昇も減る。


ん〜……

まぁまだ成長しているから気にしないほうがいいのかな。


ステータス自体が成長していて、ホーンラビットを倒す効率は上がっている。

だから、今日は捕獲一匹に、解体加工二匹だ。

これで多少は赤字が減らせる。


今日の作業を一通り終え、ステータスを確認する。


狭間圏はざまけん

【――――】

HP:27/27

MP:144/213(↑+1)

SP:2/2

力:10(↑+1)

耐久:5

俊敏:12(↑+1)

器用:6

魔力:13(↑+1)

神聖:3

【魔力操作:Lv9】【炎魔法:Lv4】【風魔法:Lv21 エアカッター:Lv7(↑+1)】【水魔法:Lv1】【回復魔法:Lv0(New) マイナーヒール:Lv0(New)】【体術:Lv1(↑+1)】


出た!

やっと【回復魔法】を習得した。


これで向こうでも動けるようになるぞ!


「やりました!

【回復魔法】と【マイナーヒール】を習得しました!」

僕は早速カルディさんに報告する。


「おぉ、それは素晴らしいですね。

習得には一ヶ月はかかると思っていました。

通常では考えられませんよ」

「ありがとうございます!」


僕は嬉しさのあまり、つい声が大きくなってしまう。


「ところでMPは残っていますか?」

「はい、まだ半分以上は残っています」


「今日はまだ夕方ですので、頃合いですね。

早速【回復魔法】を使いに行きましょう」

「これからですか?」


「えぇ、もちろん」


カルディさんは、当然、という感じで支度をする。

僕もホーンラビットの解体で汚れているので、慌てて最低限出かけられるようにする。


「では、行きましょう」


カルディさんは相変わらずの早足で、歩きながら話をする。


「では、こちらをお貸しします。

倉庫に入っていたものです」

「ありがとうございます。

これは?」


カルディさんが、30cmくらいの杖を渡してくる。

杖の先には5cmくらいの青い宝石が付いている。


「ステッキですね。

装備者の神聖を上げてくれます。

【回復魔法】の威力や回復速度は、神聖に依存します。

今の狭間さんの場合、これを装備しないとほとんど回復はできないでしょう」


回復は神聖依存なのか。

魔力とは別なんだな。


「なるほど、ありがとうございます。

それで、どこへ向かっているんです?」


「ギルドですよ。

正確には、ギルドの治療所です。

今夕方ですから、クエストをこなした冒険者たちが、治療所へやってきます。

そこで冒険者達を回復すれば、神聖のステータス上げと、多少のお金が貰えます」

「それはありがたいです。

今の僕にピッタリですね」


「まずは、登録しましょう」

ギルドへ入ると、ムキムキ受付のところへ向かう。

「狭間さん、ギルドカードを出してください」

僕はギルドカードをムキムキ受付へ渡す。

「はい、お願いします」


「治療所への登録です」

「あいよ……神聖Fでジョブなしかぁ……」


僕のギルドカードを見て、やれやれ、といった表情だ。

ちなみに、ギルドカードでは大まかなステータスを見ることができる。


狭間圏はざまけん

【――――】

HP:F

MP:D

SP:F

力:F

耐久:F

俊敏:F

器用:F

魔力:F

神聖:F


ということで、ジョブなしの神聖Fということがバレるわけだ。

やっぱり回復量が微妙なんだろうな。

まぁステータス上がるまでは我慢してもらおう。


僕は受付を済ますと、ギルド横の治療所へ入る。

中はギルドと繋がっているようだ。


ちょうど学校の教室くらいの大きさの部屋に、椅子が10席並んでいて、椅子の前後には行列ができている。

椅子の正面の列は、冒険者たちだ。

怪我を治療するのを待っているようだ。


一方で椅子の後ろに並んでいる人たちは、【回復魔法】の使い手たちだろう。

いわゆる僧侶のような、いかにも【回復魔法】を使いそうな人はいないな。


「この椅子の後ろに並べばいいんですよね?」

「そうですね。

今椅子に座って【回復魔法】を使っている人がいます。

その人はMPが切れたら、席を立ちます。

次に後ろで待っている人が座り、【回復魔法】を使っていきます」


なるほど、効率がいいな。

冒険者のほうも、【回復魔法】の使い手もどんどん進んでいく。


「ここの人たちみんな【回復魔法】の使い手なんですか?」


どうもそんな感じには見えない。

主婦や、子供が多いからだ。

いわゆる僧侶のような、いかにも【回復魔法】の使い手といった人が見当たらない。


「そうですねぇ、どちらかというと初歩的な【回復魔法】を使える人という感じですね。

本格的な【回復魔法】の使い手は、みんな教会にいますよ。

彼らに治療を頼むと高いんです。

その分、重い怪我でもすぐに完全治癒してもらえます」


なるほど、僕も火傷のときに教会へ行こうとしたけど、やっぱり高いんだな。


「それに対して、ギルドの治療所は、安価です。

純粋にお金を稼ぎに来ている人もいますが、神聖のステータス上げで来ている人もいますからね」


なるほど、だから子供もいるんだな。

そして、僕も子供と似たようなステータスだから、同じことをするわけだ。

……ちょっと悲しい。


カルディさんはシステムを教えてくれ、帰っていった。

ステッキをかざして【マイナーヒール】と唱えれば、【回復魔法】が発動するそうだ。


しばらく待つと、僕の前の席が空く。

椅子に座ると、冒険者が左腕を出してくる。

左腕が、大きく腫れ紫色になっている。

折れているんだろう。

痛々しい。


歳は14、5歳くらいの少年だ。

赤い髪で目付きが鋭い。

僕よりも年下で、横に並んでいる少年たちと同じパーティのようだ。

パーティの子たちも同じくらいの歳だろう。


「はい、100セペタね」


受付には、大まかに怪我の具合を見る人がいて、そこで治療の料金を言われるようだ。

そして、その料金を【回復魔法】の使い手に渡すシステムだろう。


「ではいきます、【マイナーヒール】」


握ったステッキの先が淡く光る。

おぉ、これが【回復魔法】か!


…………………………


長いな…………


5分くらい経っただろうか。

淡い光が弱くなり、消えていく。


怪我は、あんまり回復していないように見える。

「もう一度いきますね、【マイナーヒール】」


……………………


やっぱり長い。

【マイナーヒール】一回の発動で、だいたい5分くらいかかる。


少年冒険者が、呆れたように話しかけてくる。

「あんたさ、神聖ランク何?」

「ぇ? Fですけど……」


「うわ、最悪……地雷踏んだわ……」


ぁ、やべぇ、地雷にされた。

神聖が低すぎるのか。

確かに、他の席で【回復魔法】を使っている人たちのほうが、光が強い。

一発あたりの【回復魔法】の時間も明らかに短いな。

年下の少年に地雷扱いされるのは、ちょっとイラッとくるけど事実だから仕方ない。


すると、少年の列の後ろの方に並んでいた人たちは、列を変えていく。

さらに、僕の後ろに並んでいる【回復魔法】の使い手からの視線も痛い。

お先にどうぞ、と言いたいところだけど、もうお金もらっちゃってるしなぁ。


なんだろう。

レジ打ち初心者が客と先輩から、早くしろよ、と圧力をかけられている気分だ。


「【マイナーヒール】」


MPだけは駆け出し冒険者レベルにあるからなぁ。

まだまだ【マイナーヒール】は撃てるんだけど、視線がつらい。


「おい、お前まだかよ」

僕の治療している少年と同じパーティらしき少年が話しかけてくる。

「やべぇよこの人、神聖Fだってさ。

完全に地雷踏んだわ」


「おい、俺たち先に行ってるぜ?」

「あぁいいよ、多分まだ結構かかる」


「なんか、すみません……」

僕は申し訳なくなって、謝る。


「チッ……」

少年は僕をにらみつけると、舌打ちをした。


マジかよ……


「おい、文句あんのか?」

ムキムキ受付のおじさんだ。

僕の神聖が低いから、わざわざ様子を見に来てくれたのか。


「クソガキが急いでんなら教会行けよ。

最初は誰だってステータスは低いもんだろ。

おめぇみてぇなのがいると、新人が育たなくなる。

文句があんなら教会へ行け!」

すごい迫力だ。


少年はもちろん、僕までビクッとしてしまう。

「……悪かったよ」

少年は、僕ではなく、ムキムキ受付おじさんに謝る。


「わかったら、黙って治療されとけ」

そう言うと、ムキムキ受付おじさんは受付に戻っていく。

ありがとう、助かりました。


おじさんが去ったあと、少年は治療の間ひたすら僕をにらみ続けた。

ぁ、やっぱりあんまり助かってない……


結局僕は、【マイナーヒール】を5回ほど使って、少年の傷を治した。

まだMP80くらい残っていたけど、その場をそそくさと去っていった。


僕は宿屋へ帰り、【炎魔法】で残りのMPを消費する。


今日はせっかく【回復魔法】を覚えたのに、ちょっと気分が悪い。

ん〜……

なんとか【回復魔法】でMPを使い切ることはできないだろうか。

神聖が低いから、地雷扱いされたわけだけど、神聖を上げるためには治療所が一番効率が良い。

明日カルディさんに相談してみよう。


とりあえず、病室で【回復魔法】だな。

そんな考えをしながらステータスを確認して寝る。

もちろん、【魔力操作】は続けている。


狭間圏はざまけん

【――――】

HP:27/27

MP:0/213

SP:2/2

力:10

耐久:5

俊敏:12

器用:6

魔力:13

神聖:4(↑+1)

【魔力操作:Lv9】【炎魔法:Lv4】【風魔法:Lv21 エアカッター:Lv7】【水魔法:Lv1】【回復魔法:Lv0 マイナーヒール:Lv0】【体術:Lv1】


うーん……

神聖が1上がっただけかぁ……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ひでえ!!地雷扱いってなに考えてるのこのこの小僧
[一言] うさぎの地獄が確定したのか?攻撃回復攻撃回復のループ コロシテクレ
[良い点] 受付のおじさん、新米を教導してくれる優しい方だ 最初は皆新米ということを理解してくれない人は多い
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ