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119日目(異世界)中編

ポータルを使い、アポンミラーノへやってきた。

ポータルの入り口にいる兵士さんに、ギルドカードのチェックをしてもらう。

以前イヴォンさんと一緒に役所で書き換えてもらったので、問題なく通過できる。


まずは街全体の把握だな。

騎士団の宿舎と、役所には一度来たことがあるだけで、それ以外は全くわかっていない。

【空間魔法】の【パーセプション】を使って、手っ取り早く街全体を把握したいところだが、今MPがほとんど無い。

地味に歩いていくしか無いだろう。


領主様が住んでいる街だけあって、結構栄えている。

古い街並みだが、通路がほとんど石畳だ。

直線が多く、考えられて街づくりがされたんだろうと思われる。


アインバウムよりも規模が大きいので、街全体を把握するために地図がほしいところだ。

道具屋へ行って街の地図でも買いたいところだが、その道具屋がどこかわからない。

本当に何も考えずに来てしまったな。

だれかと一緒に来るか、アインバウムで地図を買ってくればよかった。


確か、麻痺薬と睡眠薬が少し残っていたな。

ギルドへ納品しつつ、道具屋の場所を聞いてみるか。

ギルドなら一度行ったことがあるので、大体の場所がわかる。









「麻痺薬、睡眠薬の納品に来ました」

「あぁ、そいつはどうも……」


ギルド受付へ納品に来た。

この人も筋肉が凄い。

ロン毛のオールバックとムキムキの筋肉が特徴的だ。

しかし、受付がムキムキである必要性がよくわからないな……

揉め事が起こったときに、力ずくで止めるんだろうか。


ギルドカードを見せると、目を見開いて驚く。

「おい、お前さん、MPがSだな……

今日は納品だけか?

パーティーを組んだり、治療所で働く気はねぇか?」

そういえば、ギルドカードには大まかなステータスが表示される。

僕のMPは既にSになっている。

かなりいびつなステータスだからな。


「すみません……

今日はMPが無くて、納品だけでお願いします」

「そうか……今度はMP残して来いよ」


ぶっきらぼうな態度だったけど、納品後に無事に道具屋の場所が聞けた。

道具屋は街に2箇所あるらしい。

冒険者御用達の道具屋はすぐ近くにあるので、まずはそこに行ってみる。








おぉ……

でかいな。


カルディさんの道具屋の3倍くらいは大きい。

売っているものを確認していく。

日常生活に使うものも少しあるが、それよりもポーション類や、野営装備が中心にある。


魔石を使った商品があるな。

野営のときに便利な光る筒、水の魔石もある。

食器や調理器具も少しあるが、野営のための食器がメインだ。

食器は木製、調理器具は鉄製か?


食器はいいが、調理器具はちょっと重いな。

これなら、アルミを加工したほうが軽いはずだ。

アルミって調理器具とか食器にできるのかな?

明日自室で調べてみよう。


そしてやはりポーションは瓶に入っている。

日用品はほとんど置いていないな。

とりあえず、街の地図を買って次の道具屋へ行こう。










ここの道具屋は、さっきよりも小さい。

日用品を扱っている道具屋のようだ。


食器は木製のものと、陶器のものがあるな。

陶器のものは【土魔法】の製品だろうか。

ガラス製品もある。

ガラス製品は結構なお値段だ。


ん〜……

ガラス製品は、買うには高いが、売るとしたら販売価格よりも安くなるよな。

ちょっと微妙だ。

ガラス製品にMPを使うなら、魔石の補充、生成に使ったほうがお金が稼げるだろう。

そうなると、【土魔法】の【創造】を強化しても、金銭的な利益は微妙だ。


今度は調理器具を見てみる。

鉄製だな。

銅のものもある。

あと、よくわからない結構なお値段のやつもあるぞ。

なんだこれは……?


淡い青色の鍋を見つける。

ガラスケースに入っているため、手に取ることはできない。

「それには魔物の素材が使われております」

カウンター越しに店主が話しかけてくる。


「そうなんですか。

もしかして、軽くて丈夫なんですか?」

「えぇ、もちろんですよ。

その上、火の魔石が使われております。

ですから、そちらの鍋一つで、加熱料理が可能なのです」


「なるほど……それは高そうですね」

値段が書いていない。

店主と交渉ということか。

まぁ相場を確認しに来ただけだからな。


しかし、魔物の素材を使ったものであれば軽くて丈夫なんだろう。

アルミ製品の調理器具をと思ったが、魔物素材で、しかも魔石が組み込まれている製品には勝てそうもないな。

まぁ鉄製や銅製よりも軽いので、ちょっと高いくらいの値段になる可能性はあるな。


そうだ。

それよりも、容器を見に来たんだった。


水差しや、水筒は木製や金属製が多いな。

金属の加工はかなりの技術だ。

異世界だと、【鍛冶師】のスキルがあるから、細かい加工が可能なんだろう。

これだと、日本のゴミ捨て場から持ってきて需要がありそうなのは、やっぱりペットボトルくらいか……









夕食まで少し時間があったので、装備品も見ておく。

装備品は、やはり魔物素材でできているものが多く、高価だ。

金属製のものもあるが、そこまで高くはない。

つまり、【錬金術師】の【金属精錬】はそれほどお金になりそうもない。

まぁ【鍛冶師】のジョブが無いので、装備品はまだ作れないわけだし。

【金属精錬】については、【魔導合成】(魔石の合成)と【魔導命令】(魔石の生成)を習得するためと割り切ったほうが良いだろう。


いろいろ見て回ったが、今の僕の場合、やっぱり教会で仕事をするのが効率が良いな。

あとは、ペットボトルを持ってきて、カルディさんに見てもらおう。


ちょっと遅くなってしまったが、まだ夕食には間に合う。

帰るか……




ドガッ!




!!


ズザァーッ!


不意打ちをくらって吹っ飛ぶ。


「なっ!」

「……………………」


気づけば4人に囲まれている。

相場を調べてウロウロしていたら、街外れに来てしまったようだ。


マズイな……

MPが少ししか回復していない。


「お金が目的ですか?」

「大人しくしていろ……」


ジリジリと距離を詰めてくる。

金を出せっていうわけじゃないのか?

僕はジョブを【魔闘家】に変えておく。

俊敏を上げておく必要がある。


今の僕のMPでは4人相手に勝てそうもない。

全力で逃げよう。


ザッ!

全力で駆け出す。


「……!!」


【魔影装】を使ったので、俊敏が一気に上る。

MPがすぐに切れ、通常の状態になるが問題無い。

4人を振り切って街なかに行けばいいんだ。


「俊敏ブーストか?

一瞬だけのようだな」

げ……

目の前にもう一人いる。

まだいたのか。


ドガッ!


「少し痛めつけてやれ」


ドガッ!

バキッ!


クソ……

彼らは弱くない。

冒険者で言えばベテランくらいの実力だろう。


【魔影装】をフルで使えば、なんとかなるだろうが、MPが枯れている僕では太刀打ちできない。


「無駄な抵抗だとわかったら、大人しくしろ」

「……………………」


ガチャ!

手錠と足かせをつけられる。

さらに目隠しだ。


どうやら金銭が目的ではないようだ。

僕を拉致することが目的だったのか?

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 奴隷商人?のわけないよなぁ。普通女や人外だろうし
[気になる点] 今回の件は間接的にイヴォンのせいでもあると思いますが、後衛がMP使い果たすことがどれほど危険なことかわかってなかったということでしょうか(主人公含め) これを機に自重してくれるといいん…
[気になる点] 口撃されて拉致されそうなのに、落ち着いてるなー 対人間で痛い目にあった主人公は、助かったとしてこれからもこの世界で普通に活動できるのだろうか
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