117日目(異世界)
「目覚ましい成長ですね……」
カルディさんに、【錬金術師】のジョブを習得し、【金属精錬】で作成したアルミの玉と鉄の玉を渡す。
「そうですね、私の道具屋でも金属は扱っています。
【土魔法】の【創造】とは別に、【鍛冶師】のスキル、【鍛冶】には【形成】というスキルがあります。
【形成】があれば、金属から食器などをつくり出すことができます。
狭間さんの場合、このまま生産系スキルを上げていけば、【鍛冶】、【形成】とスキルを習得していく可能性が高いでしょう。
どうでしょう、この金属はご自分で保管されては?」
「なるほど、ありがとうございます」
生産系スキルもたくさんあるんだな。
【鍛冶師】も興味がある。
今回つくったアルミ玉と鉄玉は、教会の自室に保管しておこう。
「作成した食器は、ある程度うちでも買取をしますよ」
「はい! ありがとうございます!」
◇
「おぅ、久しぶりだな!」
「どうも、お久しぶりです」
僕はカルディさんと魔石を生成したあと、ギルドへやってきた。
ギルドの受付、ムキムキスキンヘッドのドグバさんだ。
「すっかり治療所で見なくなっちまったからな。
教会はどうだ?」
「はい、かなり快適です」
「まぁ金もいいからな。
んで、今日はどうしたんだ?」
「カルディさんに教えていただいたのですが、こちらで麻痺薬や睡眠薬を納品できるそうで」
僕は【ストレージ】から睡眠薬を取り出す。
ゴトッ!
「おぉ!
そりゃすげぇな。
てことは、まず登録だな」
「はい! お願いします!」
僕はドグバさんにギルドカードを渡し、睡眠薬を買い取ってもらう。
ゴトッ!
ゴトッ!
ゴトッ!
ゴトッ!
ゴトッ!
「おいおい、すげぇ量だな……
これなら、貢献度もすぐ上がるぞ……」
「麻痺薬も少しあります」
麻痺薬のほうも出していく。
「……………………」
ドグバさんは顎に手を当て考えている。
「おい、コレ全部お前が作ったのか?」
「はい」
「お前、その割にSPと器用さがそこまで高くねぇな……」
げ……
しまった……
ドグバさんは日本でのMP回復のことをもちろん知らない。
日本でMPが無限に使えて、【リカバリ】を習得したことによるSP回復ももちろん知らない。
「結構前から作ってたんですよ。
それと【リカバリ】を習得したので、【睡眠薬生成】と【麻痺薬生成】を自分のSP以上にできました」
「そうか……【リカバリ】!?
おいおい……MPがもったいねぇだろ……」
そりゃMP回復のことを知らなければ、そう思うよな。
「まぁいいか。
こっちとしては、納品はありがたいからな」
なんとかごまかせただろうか……
「はい、それで、納品には優先順位とかあるんですか?」
「そうだな。
睡眠薬、麻痺薬は需要が高いが、睡眠耐性ポーション、麻痺耐性ポーションのほうが優先度としては高いな」
耐性ポーションの需要が高いのか。
「そうなんですね。
睡眠解除薬や麻痺消しポーションは無いんですか?」
毒消しポーションがあるなら、睡眠解除や麻痺消しポーションがあってもおかしくないよな。
「お前、これだけの量の薬つくっておいて何も知らねぇんだな」
「す、すみません……」
まずいな……
また無知をさらしてしまった……
「だいたい寝てたら睡眠解除薬なんて飲めねぇだろ」
「ぁ……確かに」
「麻痺も同じ理由だ。
だからそういう狩場に行くときは、予め耐性ポーションを飲んでおくんだよ」
「なるほど、勉強になります」
「【睡眠薬生成】とか【麻痺薬生成】とかのレベルを上げて、【薬師】のレベルも上げてりゃ、そのうち【睡眠耐性ポーション】とかも出てくんぞ」
「はい! 頑張ります!」
◇
「素晴らしい!
素晴らしいですよぉ!」
ギルドの後、教会の応接室へ来ている。
ショーンとクラールも一緒だ。
「まさかたったの3日で【呪術師】のジョブを習得してしまうとは。
私の目に狂いは無かったようですね。
それで、どのような方法で習得したのです?」
「それは聞かないほうがいいと思うぜ……」
ショーンがげんなりしながら言う。
「僕もできれば聞きたくないかな……」
クラールまで……
「こほん……
まぁ習得方法はとりあえず置いておきましょう。
では、【呪術師】のレベルを上げるべきですね。
以前あなた方が修行した、第三戦線が良いでしょう。
あなた方は以前三尾という魔物を倒しましたね?」
「あぁ、かなり手強かったな。
復活したのか?」
三尾というのは第三戦線のボスだったはずだ。
戦線では、魔物が多く湧き、ボスを倒しても、しばらくすると復活するらしい。
それでも魔物を討伐し続けると、徐々に魔物が減り、人間が生活できるようになる。
「いえ、もうすぐ復活するようですが、その兆候として火炎草が採取できるそうです。
今狭間さんは、生産系のジョブも上げていますから、ジョブレベル上げと、火炎草の採取が良いのではありませんか?」
「火炎草ですか……」
僕はいまいちピンとこない。
火炎草を使って何ができるんだろうか。
「ケン、【薬師】のジョブレベルが上がれば、火炎草を使って【耐火ポーション生成】習得することができる。
今すぐに使えなくても、保管しておいたほうがいい」
「なるほど」
◇
「久しぶりにスッキリしたぜ!
しばらくゲロ見てるだけだったからな」
僕たちは第三戦線に狩りに来た。
【昇仙拳】を習得したことで、以前よりさらに効率のいい狩りができている。
僕の【呪術師】のレベルも尋常じゃないくらいに上がっている。
「すごい上がり方だよ。
もう32レベルだ」
「それで、なにか【呪術師】のスキルは習得した?」
「うん、【パワーブレイク】【スロウ】【アーマーブレイク】の3つだね」
「おぉ、3つか……そりゃすげぇな」
「とりあえず明日からは、僕たちも力、耐久、俊敏については耐性の修行ができそうだね」
「ぁ、そしたらフヨウも呼ぶ?」
「そうだね。耐性強化ができるなら参加したほうが彼女のためだろう」
クラールは魔石に魔力をこめる。
魔石が青に点滅する。
こうすると、対応した魔石が同じく青に点滅するんだ。
あらかじめフヨウに渡しておいた青い魔石も点滅しているはずだ。
イヴォンさんが僕たちを呼び戻したのも、この魔石を使ったからで、この魔石自体はそれほど高価なものではない。
会話や意思疎通ができるレベルのものもあるらしいが、そちらはお高いようだ。
フヨウは今昇仙山で修行中だ。
【昇仙拳】をもう少し使いこなせるようになりたいと、昇仙山に残っている。
用があったら呼んでほしいと言っていたが、修行のチャンスがあれば彼女にとってもいいだろう。
狭間圏
【呪術師:Lv32(↑+32)】
HP:321/345【呪術師】:-24
MP:7/820【呪術師】:+52
SP:2/361(↑+1)
力:38【呪術師】:-14
耐久:102【呪術師】:-14
俊敏:57【呪術師】:-14
技:29【呪術師】:-14
器用:60
魔力:75(↑+1)
神聖:130(↑+1)
魔力操作:125(↑+1)【呪術師】:+26
【水魔法:Lv45 氷結:Lv13(↑+2)】
【回復魔法:Lv85 ハイヒール:Lv43(↑+1) エリアヒール:Lv28(↑+4)オートヒール:Lv41(↑+1)】
【呪術:Lv0(New) パワーブレイク:Lv0(New) アーマーブレイク:Lv0(New) スロウ:Lv0(New)】
【ストレージ:Lv56(↑+1)】
【etc.(81)】




