116日目(異世界)
「おぉ……素晴らしいですね」
僕は今日も騎士の訓練所で、【オートヒール】の魔石生成をしている。
【錬金術師】のジョブを持つカルディさんと一緒だ。
今日、日本の自室で【睡眠薬生成】を使いまくった。
そしてつくった睡眠薬の買取をしてもらおうと、【ストレージ】と【魔力庫】から取り出した。
「【睡眠薬生成】のスキルを習得しまして、できるだけ作成しました。
睡眠薬の需要はどうですか?」
「えぇ、需要はあります。
矢に塗って魔物を攻撃するなどに使えますからね。
あとは、人間に悪用する場合もあるでしょう。
お店から買う場合は許可がいるんですよ」
なるほど。
日本の薬局でも、処方箋とかあるしな。
そういうことだろう。
「しかし、結構な量ですね。
【睡眠薬生成】は一回あたりのSP消費が結構高いはずです。
やはり、MP制限なしでの【リカバリ】は強力なものですね」
「はい、おかげでSPも成長できそうです」
「ただ、仮にこの量がしばらく続くとすると、うちの道具屋だけでは捌ききれない可能性がありますね。
領都や王都に売りに行くことも考えたほうが良いかもしれません。
あるいは、ギルドに納品することもできますね」
「そうなんですか……」
カルディさんに買取をしてもらう以外に、領都や王都に売りに行く、それからギルドに納品する、という選択肢があるらしい。
違いがわからないな……
カルディさんが察したのか、説明をしてくれる。
「まずはギルドに、自分が【薬師】のスキルを持っており、何が生成できるのかを予め知らせておく必要があります。
睡眠薬や麻痺薬は危険ですからね。
ギルドとしても、ある程度は把握したいのでしょう。
そうすると、ギルドカードが更新できますので、個人で睡眠薬などの薬を売ることができるようになります。
お店に売る場合と、ギルドに納品する違いですが、買取金額が全然違います。
領都や王都のお店で売れば、ある程度の金銭を得ることができるでしょう。
ギルドへ納品する場合は、お金も少しだけもらえますが、ギルド貢献度が上がります」
今僕はお金には困っていない。
こうしてイヴォンさんに言われた仕事をしていれば、金銭的にはかなり余裕がある。
そして、僕のギルド貢献度は5だ。
第三戦線での狩りや、武闘大会での回復でここまで上がっている。
「なるほど、よくわかりました」
そうすると、どうしたもんかな。
ギルド貢献度って、上げていいことあるのだろうか。
◇
「そりゃギルド納品だな」
その後ショーンとノゥヴ湿地へ来ている。
「そうなの?
まぁ今お金に困ってるわけじゃないけど」
「俺たちはこれから第5戦線に行く予定だろ?
ある程度ギルド貢献度が高くないと、許可が下りにくかったり、パーティを組んでもらえなかったりするぞ」
そうか。
ギルド貢献度ってそのへんの指標になるもんな。
「ちなみにショーンは今いくつなの?」
「46だ」
「げっ!
すげぇ高いじゃんか……」
「そうでもねぇよ。
適当に狩りをしてたら上がったって感じだ。
まぁケンは後衛職もできるし、俺より上げるの簡単だと思うぞ。
回復職は基本貢献度上げやすいからな。
生産系スキルあれば、ひたすらギルドに納品するだけで上がってくし」
「魔石の生成や補充でも上がるの?」
「ぁ〜……上がるけど、ケンがギルドに納品するとしたら、イヴォンさんがすげぇ嫌がるだろうな」
確かに……
イヴォンさんの利益が減ってしまうからな。
だったら、【薬師】のスキルで生成したものに関しては、ある程度カルディさんに買い取ってもらったら、ギルドへ納品しよう。
「んで……
今日もアレをやる気か?」
ショーンはかなり嫌そうにこちらを見てくる。
アレというのはゲロ風呂だ。
「もちろんその予定だよ」
さっきからリバースフロッグの嘔吐物を【ストレージ】と【魔力庫】に収納している。
それから、生産スキルの強化に使えるので、毒の花、麻痺の花、睡眠の花をかたっぱしから収集している。
「お前がアレに入ってる間、何してればいいんだよ……」
ショーンはげんなりしながら言う。
確かにその通りだ。
完全にお守りというか、やることがない上に気持ち悪いんだろう。
「ぁ、そうだ。これ見える?」
僕は【空間魔法】の【文書】を発動させ、ショーンにのみ見えるようにする。
「おぉ! なんだコレ?」
「【空間魔法】の一つなんだけど、【文書】っていって、対象にこっそりメッセージを送ることができるんだよ」
「へぇ〜……便利なもんだな。
しかし聞いたことねぇスキルだぞ。
クラールなら知ってんのかな……」
「今日は麻痺メインで耐性を付けていこうと思うから、基本麻痺ってるけど、困ったら【文書】で呼ぶよ。
できればそんなに離れないでほしいけど」
【文書】の効果範囲は【パーセプション】とほぼ同じだ。
あまり離れられると、使うことができない。
「おぉ!
そりゃ助かる。
どれくらい離れられるんだ?」
「まぁゲロが見えなくなるところまでは大丈夫だよ」
「ッシャァ!」
ガッツポーズまですることだろうか……
◇
本日の嘔吐物は、赤色のリバースフロッグのものだ。
昨日と同様に、地中に【土魔法】の【創造】で浴槽をつくっていく。
ショーンは少し離れた場所で待機しており、クラールが来ることはない。
ドシャァッ!
服を脱ぎ、身体ごと入ることで、耐性が大幅に強化できる。
赤は、力、技、魔力を下げてくるようだ。
さらに麻痺があるため、意識はあるが動けなくなる。
困ったら【文書】を使いショーンを呼ぶ予定だ。
早速入ってみる。
うげぇ……
ビリビリくるねコレは。
あっという間に身体が動かなくなる。
一応【麻痺耐性】は習得したが、まだレベルは0だ。
直で身体に触れているため、【麻痺耐性】では全く対抗できていないようだ。
◇
おぉ!
キタキタ!
長時間浸かっていたことで【力降下耐性】【技降下耐性】【魔力降下耐性】のすべてを習得することができた。
このまま浸かっていれば、レベルもどんどん上がるだろう。
カチャリ
ぁ!
ジョブだ!
ジョブも習得できたぞ!
【呪術師:Lv0(New)】
イヴォンさんが言っていた【呪術師】だ。
【呪術師】のジョブレベルを上げれば、デバフの魔法スキルを習得できるはずだ。
僕はショーンに【文書】で連絡をする。
『各種耐性が揃って【呪術師】のジョブも習得できたよ』
ん?
あれ?
さらに【水魔法】に【ウォッシュ:Lv0(New)】と出ている。
新しい【水魔法】まで習得することができた。
これって……
汚いから洗えってことだよな……
狭間圏
【呪術師:Lv0(New)】
HP:315/345【呪術師】:-30
MP:4/810【呪術師】:+20
SP:2/349(↑+1)
力:38【呪術師】:-20
耐久:102【呪術師】:-20
俊敏:57【呪術師】:-20
技:29【呪術師】:-20
器用:57
魔力:74
神聖:128
魔力操作:123【呪術師】:+10
【水魔法:Lv45 ウォッシュ:Lv0(New)】
【土魔法:Lv34(↑+1) 創造:Lv26(↑+1)】
【空間魔法:Lv59 文書:Lv41 魔力庫:Lv65(↑+1)】
【マルチタスク:Lv89(↑+1)】
【力降下耐性:Lv5(New ↑+5)技降下耐性:Lv5(New ↑+5) 魔力降下耐性:Lv5(New ↑+5)】
【麻痺耐性:Lv6(↑+5)】
【etc.(73)】




