110日目(異世界)
ポコッ!
本日もノーダメージの攻撃をアーマータイガーに繰り出していく。
「おいケン、そろそろ5分だぞ」
「くっ!」
昨日までと同じように5分間だけ、アーマータイガーと戦う。
相変わらずの硬さで、僕の通常攻撃では全くダメージが通らない。
そして、今日もなんの手応えも無い。
昨日【リカバリ】を習得してしまったし、こんなことで本当に【昇仙拳】を習得できるんだろうか。
まぁアーマータイガー自体なかなかに強いので、こうして攻撃を繰り出すだけでも、力と俊敏、技のステータスは上がっていく。
そのあたりのステータスは軒並み低いので、ここで上げておかないとな。
それに対し、ショーン、クラール、フヨウはどんどん【昇仙拳】をマスターしていく。
昨日習得したばかりのフヨウも、既に使いこなしつつある。
彼らはあっというまにアーマータイガーを倒してしまう。
「ケン、5分いいぞ」
「よし!」
僕はまたノーダメージの拳を出していく。
ポコッ!
◇
「おい、そろそろ5分だぞ」
「ちょっと!
ちょっと待った!」
拳に違和感がある。
これか!?
「?」
「なんだか違和感が出てきたんだ!
もう少し頼むよ!」
ショーン、クラールは顔を見合わせる。
「いいぞ、頑張れよ」
なんだ?
この違和感は……
ポコッ!
ダメージは通っているか?
「グルルルルル……」
アーマータイガーはやや苦しそうか?
とにかく攻撃を続けよう。
◇
「グルァアァァッ!」
ドサッ!
「はぁ……はぁ……」
倒した!
倒したぞ!
「はぁ……はぁ……
やった!
やったぞ!」
「「「……………………」」」
あれ?
ショーン、クラール、フヨウともに微妙なリアクションだ。
「見てた?
これって【昇仙拳】習得?」
「……ではないな」
フヨウがこたえる。
「この前、どっかで同じようなことがあったよな……」
「ケン、倒したアーマータイガーを見てごらん」
僕はアーマータイガーを確認する。
なんだか様子がおかしい。
所々紫色に変色しており、顔に至っては真っ青で口から泡を吹いている。
これって……毒?
僕は習得したスキルを確認する。
【毒手:Lv0(New)】
クソが!
◇
道場へ帰ると何やら様子がおかしい。
ウーリュウが戦っている。
対戦相手は誰だ?
道場の人間ではないな……
速い……
【体術】特化の人間はみんな俊敏が高いのだろう。
なんとか目視できるくらいの速さだ。
ウーリュウは腕を組み、蹴りのみで戦っている。
完全になめているようだ。
ドッ!
ガッ!
バゴーンッ!
蹴りによる連撃。
なんとかギリギリ、防御できているが、ウーリュウは防御された蹴りを起点に逆回転で蹴りをくりだす。
空中を旋回したままで、高速に蹴りを繰り返している。
なんてヤツだ……
対戦相手は防戦一方だが、よく耐えているように見える。
「そらそら、スピードを上げるぞ!」
さらに高速回転を繰り返す。
相手は亀のように防御するしかない。
ドガガガガガッ!
バゴォーンッ!
「がはっ!」
場外までふっ飛ばされる。
「フンッ!
耐久力だけはマシだったな」
おいおい、あれ大丈夫か?
生きてるよな……
「狭間さん、良いところに来ましたね。
みなさんの回復をお願いします」
「はい!」
僕はウーリュウの対戦相手に駆け寄り、【ハイヒール】をする。
…………………………
ちょっと待った。
この人相当HPあるぞ。
まだ回復が終わらない。
そして道場の人間ではないよな。
あたりを見ると、この人と同じ赤い道着を着た怪我人がいる。
彼らは誰だ?
みんなボコボコにされたようで、回復に結構な時間がかかる。
「……………………」
彼らは無言でくやしそうだ。
「リャンリュウさん……?」
僕は一通りの回復が終わると、リャンリュウさんに事情を聞く。
「道場破りですね。
たまにこの道場にも来るんです。
私と、代表の4人で返り討ちにしました」
すごいな……
回復をしてわかったが、彼らもかなりの手練だろう。
HPはかなりある部類だ。
それなのに、こちら側に怪我人はいない。
「師匠、では明日代表戦ですね?」
「通常通りですと、そうなりますね」
ウーリュウが話に入ってくる。
代表戦?
「ハハハッ!
やっとだ。
おい、そこのツンツン頭!」
「ん? なんだよ……」
ウーリュウにショーンが不機嫌そうに答える。
「明日の代表戦、逃げるなよ……」
「は? なんだそりゃ……」
どういうことだろう。
「私が説明しましょう」
リャンリュウさんだ。
「この道場では道場破りが来たとき、戦う人間が決まっています。
私の他に代表4人です。
一度道場破りがあると、その代表4人を決めるための入れ替え戦があります。
現在の代表4人に、他の門下生が挑戦することができるんです」
なぬっ!
ということは、僕もウーリュウに挑むことができるってことか。
まるで勝ち目はないが、是非とも戦ってみたい。
「ただし、一人の代表に挑戦できるのは一名だけです。
門下生みんなが怪我人になっては困りますからね」
「そうだ、俺の相手はお前がしろ」
ウーリュウはショーンを挑発している。
「いいぜ、望むところだ」
しかし困ったな。
一人の代表と戦えるのは一人か。
他の門下生も代表戦に出るだろうし、ウーリュウはショーンをご指名か。
「誰でも挑戦できるんですか?」
「えぇ、対戦相手はくじで決めるので、ウーリュウとショーンくんが戦えるとは限りませんよ。
それから【昇仙拳】が使えないと、くじが引けません」
ぇ……
それ僕無理じゃね?
狭間圏
【修道士:Lv60 (↑+4)】
HP:360/325【修道士】:+35
MP:4/741【修道士】:+35
SP:0/263(↑+5)【修道士】:-24
力:32(↑+1)【修道士】:+35
耐久:87(↑+1)【修道士】:+35
俊敏:49(↑+1)【修道士】:+35
技:23(↑+1)【修道士】:+35
器用:41【修道士】:-24
魔力:73
神聖:126(↑+1)【修道士】:+35
魔力操作:110
【回復魔法:Lv77 ハイヒール:Lv41(↑+1)】
【体術:Lv6(↑+1)毒手:Lv0(New)】
【etc.(56)】




