表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

161/312

108日目(異世界)

「今日は僕も戦いたいんだけど」

僕たちは、昨日に引き続き朝の走り込みのあと、竹林に来ている。

ただし、昨日とは違いリャンリュウさんがいない。

ショーン、クラール、フヨウ、僕だけだ。

修行の流れは理解できたので、僕たちだけでアーマータイガーを倒す修行をする。


「言うと思ったよ」

ショーンがジトッとした目でこちらを見てくる。

「ダメ?」


「いや、ダメとは言われてないね」

クラールがフォローしてくれる。

「だけどなぁ……

ケンはしつけぇからさ。

ケン、お前勝つかMP切れるまで続けるだろ」

「まぁ多分……」


「それじゃ日が暮れちまうだろ」

「それは困るな……」

フヨウも難色を示しだす。


「じゃぁこうしよう。

まずは昨日と同じように、ショーン、僕、フヨウの順にアーマータイガーを倒す。

そのあと、ケンが5分間だけアーマータイガーと戦って、そのあとは僕たちが仕留めればいい」

「まぁそれならいいぜ」

「問題ないな……」

「おぉ! ありがとう!」


よしよし、今日は戦うことができそうだ。

昇仙拳(しょうせんけん)】のコツをつかめるかもしれない。


昨日と同様に、ショーン、クラール、フヨウはアーマータイガーを倒していく。

ショーンはほぼ全ての打撃で【昇仙拳】を成功させる。

そして、クラールは【昇仙拳】を自在に操っているように見える。

この二人は、昨日よりさらに成長している……

フヨウについては昨日と同じだ。

完全に腕力のみで圧倒している。


「おい、ケン次いいぞ」

「そこそこ強いから、【補助魔法】かけておいたほうがいいよ」

「了解」


僕は【プロテクト】【バイタルエイド】【アジリティエイド】を使い、耐久、HP、俊敏を上げておく。


ザッ!

僕は踏み込み、拳を前に突き出す。


ポコッ!


「!!」


いってぇぇえぇ!!

なんだよコイツ。

ダメージが通るどころか、硬すぎてこっちの拳がダメージ受けるだろ。

【プロテクト】無かったら、折れてるんじゃないか?


「ウガァッ!」

僕の攻撃に気づいたアーマータイガーが反撃してくる。


バキッ!

「うぉ!」


ゴロゴロ……ドサッ!

僕は数メートルふっ飛ばされる。


「ガァッ!」

ドドドッ!


アーマータイガーがすぐさま追い打ちをかけにくる。

まずいな。

急いで回復だ。


【ハイヒール】を使いつつ、体勢を立て直す。


「おいケン、やばかったら手伝うぞ」

「大丈夫!」


さっきはあまりに硬くて驚いたが、冷静に動きを見れば対応できない速さではないはず。


「グルルルル……ガァッ!」

アーマータイガーが鋭い爪を振り下ろす。


ザッ!

僕は後ろに身を引き、ギリギリでかわす。


「おい、あいつちょっと速くなったか?」

「だね、多分【補助魔法】じゃない?」

現状はSP枯渇状態で、【ガード】すら使うことができない。

頑張ってかわすしかないんだ。


攻撃をかわした直後、アーマータイガーに隙ができる。

「ハッ!」

今度は、修行でやっていた型を意識して攻撃をする。


ポコッ!


痛い!

ダメだ。

マジで攻撃が通らない。


その後何度か攻撃をかわし、拳を痛めるパンチをする。

全くダメージを与えられないまま、5分経ってしまった。


「時間切れだ、ケン。 俺が殺る」

ザッ!

パツッ!

パツンッ!

パパパンッ!


ショーンが踏み込むと、【昇仙拳】が連撃ではいる。


「どうだった、ケン。

何かつかめそう?」

「いや……全く……」










結局何もコツをつかめないまま、アーマータイガー討伐の修行が終わってしまった。

夜は、道場で型の修行だ。

フヨウも僕と同様で、コツのようなものは何もつかめなかったようだ。

黙々と型の修行をしている。


今日も蹴りだ。

日本でみっちり動画を見てきた。

そして今は、【空間魔法】の【パーセプション】で俯瞰(ふかん)して自分の蹴りを観察し、違和感のあるところを補正していく。


「先客がいたみたいッスね……」

誰かが道場に入ってくる。

ロウリュウだ。


「ロウリュウも修行?」

「そうッス。

このままじゃいつまで経っても、ウーリュウには勝てないッス……」

そういえば、ロウリュウは毎日のようにウーリュウにボコボコにされている。


「ロウリュウ……

【昇仙拳】の習得について教えてくれ」

フヨウが型の修行を止め、ロウリュウに聞く。

「んー……

そう言われても、師匠のほうが教え方うまいッスよ」


「私は……私はまだなんの違和感もない。

習得できる兆しが全く無いのだ」

「それは僕もだね……」

今日なんて、かなり頑張ったと思う。

だけど、全くもって手応えがない。


「そりゃ、まだ二人共ここに来たばっかりじゃないッスか。

しばらくは修行が必要ッスよ」

「そうか……そうだな……」

フヨウは自分を納得させるように言う。


「無理だな……」

「なっ!」

突然現れたのはウーリュウだ。


「それはどういう意味だ?」

フヨウがウーリュウを睨みつける。

「そのままの意味だ。

てめぇらには才能が無い」


ウーリュウはあたりを見回す。

「おい、あのツンツン頭はいないのか?」

ショーンを探しているのか。


「僕たちだけだ」

「フン……ハズレだな」


ウーリュウはロウリュウの方に向き直す。

「しばらく修行が必要?

甘ったれたこと言いやがって!」


ドガッ!

ウーリュウはロウリュウを蹴り飛ばす。

「がはっ!」

「ちょ……今回復を!」

僕はロウリュウに駆け寄り【ハイヒール】をする。


「ロウリュウ、てめぇのそういう甘ったれたところがイラつくんだよ。

俺との差を感じても、まだそんなこと言ってんのか?」

ウーリュウはイライラしているようだ。

「回復ありがとうッス。 もう大丈夫ッス」


「才能が無いってどういうこと?

やっぱり【昇仙拳】は才能が無いと習得できないの?」

僕は気になったことを聞いてみる。

「ハッ!

てめぇは前衛の後ろで回復してりゃいいんだよ。

いいか、師匠は優しいから言わなかったと思うが、後衛職メインで【昇仙拳】を習得できたヤツなんざ今までいねぇ……

その意味が分かるか?」


「なっ!」

そうなのか?

やっぱりMPがSPの枯渇を補正しようとしてしまうんだろうか。


「おい、私は後衛職ではないぞ」

フヨウがウーリュウに言う。

「フン……小娘か。

てめぇは力がありすぎだ。

なんでも腕力で解決してきたツケが回ってきたな。

そんなんじゃ【昇仙拳】は習得できねぇし、俺に攻撃を当てることもできないだろうな」

「……ッ!」

フヨウは無言で自分の拳を見つめている。

ウーリュウの動きを見て、実際に攻撃を当てることが難しいのを理解してしまったんだろう。


「やっぱりアイツだな。

あのツンツン頭、あいつをブチのめしてこそ、俺は強くなれる……」

ショーンのことだ。

どうやらウーリュウにとって僕たちは眼中にないようだ……


狭間圏はざまけん

【修道士:Lv48 (↑+16)】

HP:351/322(↑+1)【修道士】:+29

MP:4/729【修道士】:+29

SP:0/252(↑+6)【修道士】:-26

力:30(↑+2)【修道士】:+29

耐久:85【修道士】:+29

俊敏:47(↑+1)【修道士】:+29

技:21(↑+1)【修道士】:+29

器用:39【修道士】:-26

魔力:73

神聖:125(↑+1)【修道士】:+29

魔力操作:108

【回復魔法:Lv77(↑+1) ハイヒール:Lv39(↑+1)】

【体術:Lv5(↑+1)】

【etc.(55)】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
⋯⋯あー。何となくわかったかもしれない 技ステータスが低い、つまり戦闘的に不器用なんだ。フヨウも主人公も
[一言] 初期の主人公のことを地雷呼ばわりしてた子を思い出すな…
[気になる点] フィクションだし、物語を盛り上げる為には必要なのでしょう。道場やら修行やらが絡むと、他作品も含めウーリュウみたいなキャラは必ずと言っていいほど登場しますが、武芸を志した者からすると、違…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ