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101日目(異世界)後編

「ち、違うッス。

俺に勝ったのはショーンじゃないッス」


ロウリュウは起き上がりながら男に言う。


「私のことか?」

フヨウが応える。


「なっ!

ロウリュウ!

貴様こんな小娘に負けたというのか!?」

男がロウリュウを睨みつける。


「おい待てよ、いきなり蹴っておいて無視はねぇだろ(くそ、腕がしびれてやがる……)」

今度はショーンが怒っている。

突然蹴られたわけだから、そりゃそうなるだろう。


なんなんだよ。

どうなってんだ?


僕はクラールをちら見する。

「………………(おぉ……彼はかなり強そうだぞ)」

楽しそうだ。

遊具を目の前にした子供のように目を輝かせている。

間違いない、確実に楽しんでいるな。


「ほぉ……貴様俺の蹴りを受けて立っていられるとはな。

だが今貴様に用は無い。

小娘の後だ」

「勝手に順番決めてんじゃねぇよ!」


もう最悪だよ……

とりあえず巻き込まれたくないな。


いや、でもあの蹴りは食らってみたいな。

いきなり【風刃】でもぶちかましたら、キレてこっちを攻撃してくるだろうか。


ん?

いやいや、そんな場合ではない。


「ウーリュウ!

やめなさい!」


奥からリャンリュウさんが出てくる。


「チッ…………」


彼はウーリュウというのか。

舌打ちをして黙ってしまった。


「おいリャンリュウさん、弟子のしつけはしっかり頼むぜ……」

ショーンが言う。

「すみませんね……

どうやらロウリュウが負けてしまったことに腹を立てたようです」


「……………………」

ウーリュウはそう言うと勝手に奥へ行こうとする。


「おい、逃げんのかよ」

どうやらショーンの怒りは収まっていないようだ。

「フン……

いずれ相手をしてやるさ……お前は面白そうだ……」

ザッ!


消えた?

いや、速すぎるんだ。

どこかへ行ってしまった。


「いやぁ失礼しました。

狭間さん、ロウリュウに【回復魔法】をお願いします」

「わかりました」


僕はロウリュウに【ハイヒール】をしておく。


「おぉ!

助かりますよ。

今までは回復にポーションを使っていましたからね。

道場では怪我が絶えませんから」

「ぅ……助かったッス。

情けないところを見られてしまったッスね」


「それにしても、人の気配がないですね。

他の門下生はどこに?」

ここには僕たち以外はいない。

クラールが気になって聞いてくれたようだ


「あぁそれでしたら、あちらの建物にいますよ。

この道場は朝早いんです。

ですから、みなさんも今日からあちらの寮に寝泊まりしていただきますね」

なるほど、やっぱり宿泊施設は別にあるんだ。


「なぁリャンリュウさん、他の門下生もあのウーリュウとかいうヤツみたいなんじゃないだろうな」

「彼は特別好戦的なんです。

安心してください」


「だといいがな……」


「では皆さん、早速修行を始めましょう」

「は?」(ショーン)

「む?」(フヨウ)

「今からですか?」(クラール)

「お願いします!」(狭間)


到着するなり修行とは、素晴らしい!

素晴らしいぞ!


「えぇ、この山は特殊な空間でしてね。

SPの扱いに慣れるには最適なんです。

皆さん、ここへ来る途中で相当な体力を消費しませんでしたか?」

「えぇ、昇仙山(しょうせんざん)に近づいた辺りでしょうか。

身体が重くなりましたね」

「私もだ」

「僕もそうですね」

「……………………」


異世界でステータスが上る前の状態に戻ったかのようだった。

とにかく身体が重く、走るだけでかなりきつかったんだ。

けれどショーンはよくわかっていないようだな。

体力おばけってことだ。


「それは、この昇仙山が特殊な場所で、SPを回復しないからです。

したがって、体力の回復も通常より非常に遅いんですよ」

「なるほど……」


僕たちは納得するが、ショーンだけはまるで興味が無さそうだ。


「では、今からやってもらうのは全SPの消費です。

別に攻撃スキルでなくても構いません。

【ストレージ】でも良いので、SPをすべて消費してください」

「わかりました」


僕たちはすべてのSPを消費する。

みんな【ストレージ】で消費するが、僕は【毒草生成】と【毒薬生成】をして、完成した毒薬を【ストレージ】に入れていく。

とてもではないが、武術の修行が始まったとは思えない。


しかし、なんだろう。

身体がさらに重くなったような気がする。


「身体が重いですね……」

「そうなんです。

ここの環境に慣れるまでは、身体が重く、さらにSPの回復は無いでしょう」


「あぁ、ロウリュウから聞いたよ。

でもなんでSPが0の状態を維持するんだ?

このままじゃ技が使えないし、修行にならないだろ」

ショーンが気になっていることを聞いてくれる。


「先程も言いましたが、環境に慣れるためです。

この昇仙山はSPの回復がありません。

ですので、SPを一度0にするとSP枯渇の状態がずっと続くわけですね。

そうすると、身体が自分の内側からSP、すなわち『気』をひねり出そうとするんです」

「なるほど、それで【昇仙拳】の使い手はSPの消費が抑えられるんですね」


「そうです。

しかも『気』の扱いが分かれば、【体術】だけでなく、あらゆる武術でSPの消費を抑えることができます」

「それは素晴らしい……」


クラールが感心する。

【魔弓士】はSP消費が激しい。

クラールとしてはなんとしても習得したいところだろう。

そして、SP自体が少ない僕も是非習得したい。


「今日の修行はこれだけです。

皆さん、お疲れでしょう。

ロウリュウ、食事と部屋への案内をお願いしますね。

明日からは非常に厳しい修行になりますので、よくお休みになってください」


えぇ!

今日はこれだけ?

もうちょっと何か修行したかったなぁ……


けどまぁ明日からは厳しい修行だ。

きっちり休んでおこう。


狭間圏はざまけん

【上級聖職者:Lv38】

HP:314/314

MP:19/682【上級聖職者】:+126

SP:0/183(↑+6)

力:28

耐久:85

俊敏:46

技:20

器用:31

魔力:70【上級聖職者】:+68

神聖:118【上級聖職者】:+126

魔力操作:96

【回復魔法:Lv67 リヒール:Lv28(↑+1)】

【空間魔法:Lv38(↑+1) 魔力庫:Lv17(↑+1)】

【ストレージ:Lv48(↑+1)】

【毒薬生成:Lv19(↑+1)毒草生成:Lv38(↑+1)】

【etc.(49)】

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― 新着の感想 ―
[良い点] 安定の修行キチ
[気になる点] あれ?これ主人公だけ日本でSP回復しない?
[良い点] >「今日の修行はこれだけです。 一同(ま、そうだよな) 主人公(工エエェェ(´゜д゜`)ェェエエ工 OTZ ;;) [一言] 絶対マゾです
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