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97日目(異世界)


「【昇仙拳(しょうせんけん)】て知ってる?」

「あぁ、なんでも極めるとSP消費が減るってやつだろ?

お前の対戦相手だよな?」


僕はショーンとクラールに【昇仙拳】について聞いてみる。

SP消費が減るって、めちゃくちゃ良いな。

ただ、この大会ではその影響はあんまりなさそうだ。

基本的にSPが切れる前に試合が終わる。


「そうなんだよ。

しかも俊敏特化らしい」

「それは相性が悪いね……」

「終わったな。

対戦相手に賭けてくるか」


「なんだよそれ……

応援してよ」

「冗談だよ、冗談!

昨日みたいに魔法で囲んでぶん殴っちまえばいいだろ」


「ぉ!

昨日の試合見ててくれたの?」

「当たり前だろ。

ぶっ飛んだ戦い方しやがって」

「僕はロウリュウって人の試合を見たよ。

まだ【昇仙拳】は使ってないと思う。

ただの【体術】で勝ち上がってるね」


「おぉ!

めちゃくちゃ強そう!」

「だからなんでテンション上がってんだよ。

お前の対戦相手だろ?

負けるかもしれないんだぞ?」


「いやぁ、この際勝ち負けはどうでもいいよ。

単純に強い相手と闘いたいんだ」

「変態野郎が……」

「……ショーンもあんまり人のこと言えないと思うよ」


「ケン、【昇仙拳】のメインはSP消費を抑えるものらしい。

それ自体はそこまで脅威じゃない」

「そうなんだね」


クラールが【昇仙拳】について教えてくれる。


「ただ、【昇仙拳】を習得するまでにはかなり厳しい修行があるって聞いたことがある。

だからその過程で強くなるらしいんだ。

その上SP消費は抑えられている。

相手のSP切れを狙っての闘いは厳しいだろうね」

「なるほど、なんだか僕の長所を潰しにきてる対戦相手だね」

「まぁそうなるわな」


「とりあえず行ってくるよ。

ありがとう」









「それでは、1回戦!

狭間選手対、ロウリュウ選手!

オッズは狭間選手7.2倍!

ロウリュウ選手1.3倍!

観客はロウリュウ選手優勢と見ているようです」


あちゃ〜……

相当差がついてるな。


まぁ戦う僕には関係の無い話だ。


ロウリュウさんは、ビシッとこちらにお辞儀をする。

おぉ……

僕もペコリとお辞儀をする。


「はじめ!」


「悪いけど、速攻で決めさせてもらうッス」


げっ!

速い!


【風刃】!


僕はすぐさま【風刃】で牽制する。

とてもじゃないが、【補助魔法】をかけている暇はない。


バッ!


ロウリュウは横っ飛びをし、すぐさまこちらに突進してくる。


だめだ!

こっちもすぐに決めよう!


【風刃】!

ビシュッ!


僕は自分の左右に大きく【風刃】を発動する。

【風刃】のレベルは日に日に上がっているため、昨日よりも速く、大きく、そして強力だ。


来る!


ダッ!


ロウリュウは【風刃】を難なくかわし、正面からこちらに突進してくる。


キタ!

完璧なタイミングだ!


「【フレアバースト】!」

「なっ!」


バゴオオォォォォン!


くそっ!

浅いか?

殴った感触がほとんどない。


「おぉぉぉ!」

熱気とともに会場が盛り上がる。


「驚いたッス!

それが爆発する拳ってやつッスね!」


いつの間にかロウリュウは距離を取っている。

【フレアバースト】の瞬間にこちらの拳に合わせて、後ろへ引いたようだ。


けど、遠距離なら好都合だ。

僕は【ハイヒール】を使い、自分の右腕を回復させる。

予選のときのように、【風魔法】で逃げ道を防ぎつつ攻撃だ。


「【風刃】!

【エアブレード】!

【辻風】!

【エアブレード】!」


僕は【風魔法】を発動しまくる。

【マルチタスク】も上がっているので、いくつもの【風魔法】を同時に発動できる。


……が、全く当たらない。


「ハッ!

ホッ!

トゥッ!」


なんてやつだ。

逃げ道を塞ぎつつ、あらゆる方向から撃ちまくっているのに全く当たらない。


げっ!

やばい!


それどころか、徐々に距離を詰めてきやがる。

それならもう一度!


【風刃】!

ビシュッ!


僕は再び左右に【風刃】を発動させる。

さらに!


「【フレアバースト】!」


シュッ!


「ぇ?」


【フレアバースト】はブラフだ。

実際には【閃光突き】を発動させる。

大技が来ると思っていたんだろう。

ロウリュウは後ろに引いて驚いている。


行くぜ!


【ウィンドスマッシュ】!


バゴッ!


僕は自分の背中に【ウィンドスマッシュ】をぶち当てる。


痛ぇ〜!


身体が前に吹っ飛び、ロウリュウとの距離が詰まる。


今度こそ!

完璧なタイミングだ!


「【フレアバースト】ォォォ!」


バゴオオォォォォン!


感触が軽い。

これでも直撃ではないのか。


「……いてて」


けどダメージはあるようだ。


「いや、すげぇ根性ッス。

それ、自爆技ッスね?」

「まぁね……」


僕は【ハイヒール】と【クイックヒール】を使い、距離を取る。


「かすっただけでこの威力ッスか。

俺も本気を出すッス!」

「ぇ?

本気じゃなかったの?」


「正面からその技に勝ってみたいッス」




!!





げっ!

やばいぞ!





キイィィィン!





ロウリュウに何かエネルギーのようなものが集まり、収束する。

彼の身体が淡く光っている。



ゴゴゴ……


身の毛がよだつ気迫が迫る。




「ブラフじゃなくて、強い方の技を使うことをオススメするッス。

弱い技で打ち合ったら、下手すりゃ死ぬッスよ!」


マジか。


いや、望むところだ!


もとより俊敏の差がありすぎる。

僕にはこれしか勝機はないんだ。


ロウリュウの身体の淡い光が、拳へ集まっていく。


「【昇仙真拳】!」

「【フレアバースト】ォォォ!」





キイィィィン!




拳と拳がぶつかり合う!




バゴオオォォォォン!





ロウリュウの光が強くなり、【フレアバースト】の爆炎で辺りが見えなくなる。




……………………




ん?




「勝者!

ロウリュウ選手!」


げ……

場外まで吹っ飛ばされたようだ。


右肩から先の感覚がない。

いつも以上におかしな方向に曲がっている。


イカンイカン……

とりあえず回復だ。

僕は【ハイヒール】と【クイックヒール】を連発、ついでに【オートヒール】も発動しているようだ。


僕は回復しつつ、ロウリュウの方を見る。

さすがに、無傷ではない。

致命傷とまではいかないか。


くそぉ……

悔しいな。


正面からの打ち合いで負けた。

完全な敗北だ。


「大丈夫ッスか?」


ロウリュウが駆け寄ってくる。


「!!

ぇ?

傷は?」


「あぁ、傷ならほとんど治ったよ。

【回復魔法】が使えるからね」

「…………(治った? 回復が早すぎるッス)」


「まさか【フレアバースト】が正面から負けるなんてね。

完敗だよ」

「…………そうッスか。

(ルールに助けられたッス。

このまま勝負が続いていたら……)」










その後フヨウの試合を見る。

圧倒的だ。


双剣にそれぞれ属性をつけているようだ。

右手には【炎属性】、左手には【雷属性】だ。

左右からの凄まじい連撃で、反撃を許さない。


対戦相手の動きを見るに、【雷属性】で若干動きが鈍っているように感じる。

【雷属性】は一瞬相手の動きを鈍らせるのだろうか。

その後は右の【炎属性】の剣とさらに左の【雷属性】の追撃。

ようは滅多打ちだ。


一発くらったらどうにもならないだろう。

格闘ゲームのハメ技を見ているようだ。


僕は今治療所にいるが、フヨウは負傷しないため、ここには来ない。

カミキさんとの関係が気になるが、話をするタイミングも無い。


そして明日の決勝にはやはりこの二人が残った。


狭間圏はざまけん

【斥候:Lv48】

HP:305/305(↑+2)

MP:21/651

SP:3/160(↑+1)【斥候】:+116

力:28(↑+1)

耐久:81(↑+1)

俊敏:44(↑+1)【斥候】:+50

技:20(↑+1)【斥候】:+50

器用:24

魔力:70(↑+1)

神聖:115(↑+1)【斥候】:-1

魔力操作:88

【風魔法:Lv77(↑+1) エアブレード:Lv58 ウィンドスマッシュ:Lv52 風刃:Lv31(↑+1)】

【回復魔法:Lv64(↑+1) ハイヒール:Lv27(↑+1) オートヒール:Lv34(↑+1) クイックヒール:Lv10(↑+1)】

【体術:Lv4(↑+1) 閃光突き:Lv1(↑+1)】

【盾:Lv22(↑+1)】

【炎耐性:Lv33(↑+1)】

【フレアバースト:Lv10(↑+1)】

【etc.(40)】


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― 新着の感想 ―
[良い点] まあそりゃあ、膨大なMPでいくらでも回復できるから、 長期戦になればなるほど主人公が有利だろうな
[気になる点] 痛覚耐性はどうなった?
[良い点] 工夫を凝らした主人公の魔法の使い方とそれを表現する戦闘描写が素晴らしいです。 [一言] 耐久性が抜群の主人公は大好物。 何度でも何度でも立ち上がり道を阻むのが面白いところ。
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