96日目(異世界)
今日は予選の四回戦から七回戦まである。
昨日は人数が多かったため、3試合だけだった。
今日は昨日から大幅に人数が減ったため、4回も試合を行う予定だ。
そして、今日4回とも勝ち上がれば本戦にあがることができる。
本戦に上がれるのは8人のみで、そこで3回勝てば優勝のようだ。
全部で10回ほど試合をするってことは、約1000人くらい参加するってことだろう。
今日の僕の最初の相手は、やや短めの片手剣を装備している。
やばいなぁ。
あの装備ってことは、俊敏が高そうだ。
「はじめ!」
審判の合図と同時に【プロテクト】【バイタルエイド】をかけようとする。
が……
ガギンッ!
速い!
すぐに盾で受け止める。
駄目だ、【補助魔法】を使っている時間が無い。
【風刃】!
とほぼ同時に【フレアバースト】!
僕は【風刃】を自分の左右に発動させ、すぐさま正面の対戦相手に【フレアバースト】を使う!
「なっ!」
ブシュッ!
対戦相手は慌てて横に飛び退き、【風刃】をまともにくらい、一旦引いて距離を取る。
やっぱりだ。
【フレアバースト】ならよっぽどの相手ではない限り、一撃で仕留められる。
だが、【風刃】はそこまでの威力は無い。
僕はすぐさま【クイックヒール】をする。
相手は様子を窺っているな。
いきなり大技が来たから、様子を見ているんだろう。
正直助かる。
あのまま連撃されると、こっちがもたない。
【風刃】をくらったのは向こうだが、こっちは【フレアバースト】のダメージがある。
回復をしないと、こっちのほうがダメージが大きい。
ジリジリと距離を詰めようとしているので、今のうちに【バイタルエイド】と【プロテクト】をかけておく。
よしよし、こないならこっちから行くぞ!
「【エアブレード】!
【風刃】!
【エアブレード】!
【辻風】!
【エアブレード】!」
広範囲の【風魔法】で逃げ道を塞ぎつつ、【エアブレード】を当てていく。
闘技場という限られたスペースでは、かなり有効な攻撃だ。
大きな平野とかだったら、絶対僕のほうが不利だ。
「まいった……」
「勝者254番!」
やっぱり【フレアバースト】が当てられないと厳しい戦いになりそうだ。
さっきの試合は完全にルールに助けられたな。
僕は治療室に戻り、自分の治療と負傷者の治療をする。
昨日よりも大幅に人数が減っているので、今日一日MPはなんとかなりそうだ。
◇
その後2回の試合に勝つことができた。
いずれも【フレアバースト】を直撃させることができたからだ。
そして、この試合に勝てば予選突破ということになる。
相手は大剣を持った戦士だ。
身体も武器もデカイな。
「はじめ!」
「ふん!」
相手は大剣を構え、突進してくる。
意外と速い!
【プロテクト】!
なんとか【プロテクト】だけは間に合った。
【風刃】!
キタ!
真正面から打ち合う気だ!
【フレアバースト】!
バゴォォォォオオオオン!
僕の拳と、大剣がぶつかり合う。
相手は大きくのけぞっている。
もう一発!
僕は左手に持った盾を捨てる。
今度は左手で!
【フレアバースト】!
バゴォォォォオオオオン!
僕は大きくのけぞった相手の腹に【フレアバースト】を撃ち込んだ。
「がはっ!」
場外まで吹っ飛ぶ。
「勝者254番!」
なんとか勝った。
今までの相手だと、一発で決まっていたんだがさすがに強くなってきたな。
予選突破だ。
けど、両腕が負傷している。
特に、大剣と打ち合った右手はおかしな方向に向いている。
これ治るよな……
◇
治療が終わると闘技場へ来るように呼ばれる。
会場はものすごい熱気だ。
あれ?
今日の試合はもう終わりだよな。
明日から本戦じゃないのか?
ステージには、予選を勝ち抜いた人が並ぶ。
「これより、本選出場者の紹介をします」
スタイルの良い女性がキレイな声で話し出す。
マイクを使っているな。
中には魔石が入っているんだろうか。
「明日の朝にはオッズが出ますので、ご確認ください」
オッズ?
あれか。
本戦は賭けられるってことか。
それで、予選を勝ち抜いた人の紹介をするのね。
「では、254番、狭間圏選手!
【風魔法】で相手を撹乱し、近づけば爆発する拳での攻撃!
盾と拳、魔法という異色の組み合わせ!
近距離、遠距離どちらもこなせるファイターだ!
なんと【回復魔法】まで使えるらしいぞ!」
「オォオオオオ!」
うわ……
すごい熱気だな。
とりあえず軽くお辞儀をしておく。
「対するは、あの【昇仙拳】の使い手!
ロウリュウ選手!
凄まじいスピードで美しい連撃を繰り出しています!
ここまでなんと無傷だ!
だれも彼に攻撃を当てることができていない!」
うそだろ……
スピード重視とか一番苦手な相手だ。
そして【昇仙拳】ってなんだろう。
紹介されたロウリュウという人物は、まだ若い。
僕と同じくらいだろうか。
坊主頭に、濃い顔立ちでキリッとしている。
イケメンの部類に入るだろう。
だけど、坊主イケメンなので男からも悪い印象にならなそうだ。
クラールとは対照的だな。
中華っぽい黄色い道着を着ている。
「ウスッ!」
ビシッっとお辞儀をする。
なんか様になってるな。
!!!!!
ぇ?
僕は8人の中に知った顔があることに気がついた。
あれは……
カミキさん?
……似ているだけか?
だめだ、司会の人が他の選手の解説をしているが全く頭に入ってこない。
「最後に、フヨウ選手!
2属性の双剣使い!
【炎属性】とレア属性の【雷属性】の使い手だ!
今大会一の圧倒的火力で対戦相手を沈めている!
なんと!
彼女も無傷で本戦出場だ!」
そうか!
彼女も僕と同じく、転移してきたんだ!
◇
紹介が終わると、僕たちは解放された。
僕は急いでカミキさんに近づく。
「カミキさん!
無事だったんだね!」
「……ん?」
「僕だよ!
同じ学校の狭間だよ!」
「学校?
すまない、人違いではないのか?
私はフヨウ。
カミキなどという名前ではない」
「ぇ?」
そう言うと、彼女は颯爽と去ってしまった。
狭間圏
【斥候:Lv48】
HP:302/302(↑+4)
MP:7/642
SP:5/157(↑+2)【斥候】:+116
力:27(↑+1)
耐久:80(↑+2)
俊敏:43(↑+1)【斥候】:+50
技:19(↑+1)【斥候】:+50
器用:24
魔力:69(↑+1)
神聖:114【斥候】:-1
魔力操作:86
【風魔法:Lv75(↑+1) エアブレード:Lv58(↑+1) 辻風:Lv5(↑+1) 風刃:Lv26(↑+1)】
【回復魔法:Lv63(↑+1) エリアヒール:Lv14(↑+1) オートヒール:Lv33(↑+1) クイックヒール:Lv9(↑+2)】
【体術:Lv3(↑+1) 閃光突き:Lv0(New)】
【盾:Lv21(↑+1)】
【炎耐性:Lv32(↑+1)】
【フレアバースト:Lv9(↑+1)】
【etc.(40)】




