95日目(異世界)
誤字報告ありがとうございます。
今日は魔石の補充や生成をせずに、王都へやってきた。
王都には、ポータルを使えるようにするために一度来ている。
人が多く、もっとも栄えた都市だ。
街は石畳の通路が整備されているが、道は通りやすいとは言えない。
真っ直ぐな大通りのようなものが無いのだ。
これは、魔物や他国に攻められたときに、守りやすくするためのようだ。
思えば、異世界についての歴史なんかはほとんど知らないな。
興味が無いわけではないけど、それよりも修行がしたい。
道が全くわからないので、大会運営の職員に案内してもらった。
教会の回復要員は待遇が良い。
「狭間様、道中スキルの確認をお願いしたいのですが」
「了解です」
僕は一通り自分の使える【回復魔法】について説明する。
「なるほど、では主に【エリアヒール】をお願いすることになると思います」
「了解です」
しばらく歩くと大きな建物が見えてきた。
おぉ……
闘技場というやつだろうか。
でかいな。
壁面が曲線になっているということは、円形の建物だろうか。
やっぱり観客席から見やすいようにすると円形になるのか。
開始まではまだ時間があるのに、それなりに人がいる。
「こちらになります」
職員の人に案内される。
小さな入口だ。
関係者だけが入れるっぽいな。
なかには大きく曲がった通路がある。
少し進むと広場になっており、さらに中心には大きく開けた場所がある。
石畳のステージがいくつもあり、建物は中心を見ることができるような作りになっている。
4階建てくらいか。
ここは1階だから、中心部まではそんなに見えないけど、上からも見えるようになっているな。
ほとんど球場だ。
「こちらが治療室になります」
地面からやや下がったところに、いくつもベッドが置いてある。
あれだ。
ダッグアウトっていうのか?
球場の選手たちが控えているようなところだ。
テレビで見た控室を広くした感じだろうか。
確かに、ここなら大会出場者が大怪我をしてもすぐに治療できるな。
「あの、選手として出場する場合はどこへ行けば良いのでしょう?」
「ぇ?
あの、回復要員として来ていただいたのではないのですか?」
「はい、そうなんですが、できれば出場もしたいと思いまして……」
「はぁ……
少々お待ちください」
職員はどこかへ行ってしまう。
あれ?
やばいな。
出場できない感じ?
ソワソワしてしまうな。
ここには、既に聖職者っぽい人が何人かいる。
アインバウムの教会の職員よりも比較的若いな。
そういえば、新人が回復要員になることが多いんだっけ。
しばらくぼーっとしていると、職員の方が小走りでやってきた。
「お待たせしました。
ではあちらで出場の受付をしてきてください。
受付が終わりましたら、基本的にこちらの治療室でお待ちください。
選手として出場するまでの間、出場選手たちの治療は行っていただきます。
それでもよろしいでしょうか?」
「はい、もちろんです。
ありがとうございます」
なんだか迷惑をかけてしまったようだ。
そりゃ大会の運営としては、回復要員には常に準備しておいてほしいよな。
僕は受付まで小走りで行く。
げっ!
すげぇ行列。
しかも強そうな人ばっかりだな。
この人達全員参加するのか。
◇
「次の方、どうぞ」
「はい」
「では、こちらのプレートに微量で構いませんので、魔力を流してください」
「はい」
スマホくらいの大きさの金属板に魔力を流し込む。
おぉ……
プレートに254という数字が光りだす。
「こちらがあなたの番号になります。
試合前に【補助魔法】がかかっていますと、プレートが反応し、失格となります。
プレートを無くしてしまうと出場できなくなりますのでご注意ください。
また無くしたとしても、それなりに高価なものですので、常に位置がわかるようになっています。
盗難してもすぐに見つかると認識してください」
「はい、わかりました」
「では次の方、どうぞ」
おぉ……
僕が並び始めたときよりも、列の人数が増えている。
一体何人いるんだろうか。
とりあえず、番号が呼ばれるまで治療室に戻ろう。
『1番から64番までの選手は各ステージに上がってください』
大きな声が聞こえる。
拡声器でも使ったような声だ。
声を大きくする魔法でもあるのだろうか。
まだ受付に並んでる人も結構いるのに。
人数が多いもんな。
受付をしつつ、予選でもう絞ってくのか。
まずいな、すぐに治療室へ戻ろう。
◇
「ぐあぁ!」
流血した人々が早速運ばれてくる。
なんてこった。
観客がいる大会なのにまるで戦場のようだ。
職員がプレートを確認し、ベッドへ誘導する。
なるほど、ここで治療と同時に負けてしまった人のプレートを回収するんだな。
「では、お願いします」
「【ハイヒール】!」
次々に聖職者たちが回復していく。
僕のところにはまだ来ない。
「比較的軽傷の方は、こちらになります」
僕の前にぞろぞろと10人くらいの怪我人が集まる。
「では、【エリアヒール】のほうをお願いします」
「了解です。【エリアヒール】」
入れ替わりに何人も怪我人がやってくる。
結構MPが無くなるな。
試合中自分を回復するくらいのMPは残しておきたいんだけど。
『193番から256番までの選手はステージに上ってください』
おっと、僕は254番だから入ってるな。
「すみません、行ってきます」
僕はそそくさと治療室を出る。
四方が10メートルほどの正方形のステージに上る。
32組が同時に戦うようだ。
相手の武器は片手剣だ。
【剣士】系のジョブだろうか。
ちなみに今の僕のジョブは【斥候】だ。
少ない俊敏を少しでも上げておきたい。
30代だろうか。
ベテランだよな……
ヒューッ!
大きな笛の音がなる。
戦いの合図だ。
僕は盾を構える。
できるだけ急いで【補助魔法】をかける。
ダッ!
相手の剣士が突進してくる。
やっぱりだ。
速い!
ガツンッ!
だけど、ショーンに比べたら全然だ。
反応できないほどの速さではない。
いける!
「【風刃】!」
僕は自分の左右から前方へ【風刃】を同時に使う。
剣士は僕の正面に避けるしか無い。
今だ!
「【フレアバースト】!」
バゴオォォオオオン!
爆音とともに剣士が場外へと吹っ飛ぶ。
「254番勝利です。
速やかに治療室へ行き、次の戦闘の準備をしてください」
「はい!」
よし!
いけるぞ!
一回ごとに腕がめちゃめちゃになるが、この戦法なら格上相手でも決まれば倒せる!
◇
僕は同じ戦法で予選を3回勝ち抜くことができた。
MPはギリギリだ。
明日は大丈夫だろうか。
狭間圏
【斥候:Lv48】
HP:297/297(↑+4)
MP:21/633
SP:7/153(↑+2)【斥候】:+116
力:26(↑+1)
耐久:78(↑+2)
俊敏:42(↑+2)【斥候】:+50
技:18(↑+2)【斥候】:+50
器用:24
魔力:68(↑+2)
神聖:114(↑+2)【斥候】:-1
魔力操作:84
【風魔法:Lv74 風刃:Lv21(↑+1)】
【回復魔法:Lv62 エリアヒール:Lv13(↑+2) オートヒール:Lv32(↑+1) クイックヒール:Lv7(↑+1) リヒール:Lv11(↑+1)】
【補助魔法:Lv55 プロテクト:Lv★ バイタルエイド:Lv★ 】
【体術:Lv2(↑+1)】
【盾:Lv20(↑+1) ガード:Lv13(↑+1)】
【マルチタスク:Lv54(↑+1)】
【炎耐性:Lv31(↑+1)】
【etc.(35)】




