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93日目(異世界)後編

僕たちは第四戦線西へ向かう。


「…………………………」


僕は無言だ。

というのも、このパーティは僕たち以外だと、前衛の盾戦士3人と3人の魔法職が男性で、残りの魔法職の人たちは全員女性だ。

クラールはにこやかに女性たちと会話をしながら進んでいる。


僕は年上の女性に慣れていない。

同級生とだって、女子とはそれほど積極的に話したりしなかったしな。

そもそも男女に関わらず、年上って先生と親くらいしか話したこと無いな。


「ったく緊張感がねぇよな。

ピクニックじゃねぇんだぞ……」

「いや、僕は悪い意味で緊張感があるよ……」


やっぱり居心地が良くない。

さすがに狩りが始まってしまえば大丈夫だとは思うけど。


「腕爆発させながら攻撃するやつの言うことかよ。

シャキっとしとけ!」


バンッ!とショーンに背中を叩かれる。


「あなた、範囲攻撃魔法は【辻風】と【風刃】が使えるんですって?」


魔法使いの女性に話しかけられる。

スカートと胸元にスリットが入っており、目のやり場に困る。

魔法使いって攻撃はあまり受けないとは思うけど、その服装は防御力どうなってるんだろうか。


「はい、範囲攻撃は【辻風】と【風刃】しか使えません」

「なら地面から少し浮かせて使いなさい。

土埃が舞うと、他の前衛や魔法使いに迷惑がかかるからね」


「なるほど、ありがとうございます!」

「ふふ……

素直な坊やも悪くないわね……

今度魔法を教えてあげようかしら」

「よろしくお願いします!」


うぅ……

なんだろう、ドキッとしてしまうな。


「おいこら、悪い意味の緊張感はどうしたんだよ」

「たった今、良い意味での緊張感に変わったのかも……」


「やれやれ、いい気なもんだぜ」









徐々に魔物が現れる。


ここは草原だけあって、野獣の魔物だ。

虎やサイ、カンガルーのような魔物だ。

すべて明るい黄色をしているので目立つ。


盾戦士が挑発し、後ろから魔法部隊が殲滅する。


「黄色がマイティ種だ。

マイティ種は大して強くないぞ。

ある程度群れを引っ張ってきても殲滅できる。

この狩場だとたまに赤いやつがいるんだが、それがフィアス種だ。

すべてのステータスがマイティより上だ。

釣ってくるのは2匹までにしてくれ。

フィアスが3匹以上くると少しキツイ」

「了解。

色が違うのはわかりやすいな」


ガインさんが説明してくれる。


「あと、黒いのはデス種だ。

今日の狩場では出ないと思うが、出たら逃げてきてくれ」

「そんなにやばいのか?」


「まぁな。

単体ではそこまで脅威じゃないが、大量のモンスターに2匹以上デスがいると戦線が崩れる可能性がある。

今日はやめておいたほうがいいだろう」

「わかった」


「よし、この辺りでいいだろう。

陣形を組め!」


全部で何人いるんだろうか。

これで一つのパーティだとすると、ダブルヘッドのときよりも大規模になるか?


前衛に盾戦士が3人。

その後ろにクラールたち弓部隊。

僕たちはその後ろ、魔法部隊だ。


「よし、最初は10匹くらいでいいぞ」

「オーケー!」


10匹って結構多いな。


ショーンは颯爽と駆けていく。


…………………………


全員が無言のまま構える。


「来たぞ!」


数分後、ショーンが走って戻ってくる。


ドドドッ!


10?

いや20くらいいないか?


「すまん!

思ったより固まってた!」


ズザァッ!


ショーンは盾戦士達の位置で止まり、振り返る。


「「うぉぉぉ!!」」


盾戦士達が挑発系のスキルを発動する。


「【サンダーレイン】!」

「【ファイアストーム】!」

「【アイスレイン】!」

「【トルネード】!」

「【辻風】!」


魔法部隊が一気に魔法を発動させる。


ゴオオオオォォオッ!


バチバチッ!


ガガガ!


爆音とともに、炎や風、雷などが鳴り響く。

僕も【辻風】を数発撃っておいた。


すげぇ……

これが魔法部隊か。


20匹くらいいた魔物が一掃される。

前衛のダメージもほとんどない。


おそらくだけど、ここの魔法使い一人ひとりがかなりの実力なんだろう。


「全部マイティ種だったんだろう。

あれくらいの数なら全然問題ないな。

次はもっと連れてきてもいいぞ」

「わかった」


僕たちは素材を一通り回収する。

魔法で滅多撃ちにされているため、素材の状態はあまり良くない。

魔石だけは、きちんと集めておくのが一般的らしい。


「よし、今度は向こうに行ってみる」


再び数分後にショーンが魔物を引き連れてくる。


「赤がいたぞ!

フィアスだ!」

「了解!」


また20匹くらいだ。

確かに1匹赤いのがいる。


「【サンダーレイン】!」

「【ファイアストーム】!」

「【アイスレイン】!」

「【トルネード】!」

「【風刃】!」


凄まじい爆音と共に、魔物が殲滅される。


今度は1匹赤い虎の魔物が生き残っている。


「ウガァッ!」

ガギンッ!

前衛が盾で攻撃を受ける。


「【濁流槍】!」

バシュシュッ!


ショーンの濁流槍でも倒れない。

が……


「【ファイアアロー】!」

「【アイスランス】!」

「【エアブレード】!」


今度は魔法部隊が単体魔法を連発する。


ドサッ!


フィアス種をあっという間に仕留めた。


「これならフィアスが数匹いても大丈夫だな。

ここの狩場なら全く問題ないだろう」


やはり数人高レベルの魔法使いがいるな。

数発桁違いの威力の魔法が入る。

魔法の範囲が一回り大きいんだ。


ん〜……

僕の範囲魔法は逆に一回り小さいな。


武闘大会のためにちゃっかりジョブを【斥候】にしている。

おそらくそのせいで、この中で魔力がダントツに低いんだろうな。









10回くらい繰り返しただろうか。


「MPが減ってきたわ!」

「私もそろそろよ」


「よし、充分だ。

切り上げよう!」


僕たちは来た道を帰る。


「おい、君はショーンと言ったな。

いい動きだった。

お陰で効率の良い狩りができたぞ。

またどうだ?」

「あぁ、こっちもお願いしたいよ」

「ジョブの上がりが凄かったよね」


「それから、【魔弓士】の君もかなりの火力だ」

「ありがとうございます」


やばいな、僕は結構火力不足だったと思う。

二人ほど役に立ってないだろう。


「それから今回の狩場は俺たちがほとんどダメージをもらわなかったが、東や南の狩場ではそうはいかないだろう。

そっちに行くときは君の【エリアヒール】が頼りになるだろう」

「了解です。

そのときはまたよろしくお願いします」


リーダーにフォローされてしまった。

実際このレベルのパーティになると、回復以外ではあまり役に立てないだろう。


「また明日も狩りをするんですか?」

また今度と言わずに、明日狩りがあるならば参加したい。


「いや、通常は4日に一回くらいだ。

この狩りは抜群に効率が良いが、MPを大量に消費するだろ?

だから4日に一回、MPを全快にしてくるわけだな」

「なるほど」


そうだったのか。

また是非参加したい。



狭間圏はざまけん

【斥候:Lv48】(↑+31)

HP:286/286(↑+3)

MP:21/612

SP:6/142(↑+3)【斥候】:+116

力:25

耐久:74(↑+1)

俊敏:37【斥候】:+50

技:16【斥候】:+50

器用:23(↑+1)

魔力:67(↑+3)

神聖:110(↑+1)【斥候】:-1

魔力操作:81(↑+2)

【風魔法:Lv72(↑+1) エアブレード:Lv57(↑+1) 辻風:Lv4(↑+4) 風刃:Lv4(↑+4)】

【回復魔法:Lv61(↑+1) エリアヒール:Lv12(↑+1) オートヒール:Lv29(↑+2)】

【光耐性:Lv4(↑+3)】

【ストレージ:Lv35(↑+1)】

【ポーション生成:Lv15(↑+1) 毒消しポーション生成:Lv2(↑+1)】

【etc.(40)】

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― 新着の感想 ―
[一言] 作者がイメージする「バシュシュッ」という効果音と 読者がイメージする「バシュシュッ」が一致してるか 微妙です。 どのようなことが行われているのか説明があるといいと思います。
[良い点] 今回役に立てなかった主人公にも、 きっちりフォロー入れてくれるリーダーに好感触
[気になる点] 釣り役が居れば、効率的に狩りができるでしょう。しかし、居なくても狩りはできます。釣り役が居ないからと、揉めていた理由がよくわからないな。
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