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91日目(異世界)


「おいケン、お前はどう思う?」

「ぇ?

どう思うって?」


しまった。

ここは異世界だった。

昨日の出来事がショックで話を聞き逃してしまった。


「話聞いてなかったのかよ」

「あぁ、ごめん。

ちょっと考えごとをしてて」


ショーンがややイライラしたように頭をかく。

まずいな、なんとか切り替えていかないと……


「そろそろボスと戦いたいって話だよ」

「あぁ、イヴォンさんがボスと戦う前は教えろって言ってたよね」

「そうだね。

まず父上に話してみるのがいいかもしれない」











いつものように騎士訓練所で、魔石の生成をする。


「そろそろ第三戦線のボスと戦おうと思うのですが、父上はどのように思われます?」

「なるほど、まぁもう少し【炎耐性】がないと危ないかもしれませんね。

ですが、一度行って来るのが良いかもしれません」

「危なかったら逃げるってことですか?」

「おい、そんなに簡単に逃げられるのか?

囲まれたらアウトだろ」


「えぇ、ですからこちらを渡しておきましょう」


イヴォンさんが、10cmくらいの魔石を出す。

魔石の色は青だ。

確か、【回復魔法】が緑、【攻撃魔法】が赤、【補助魔法】が黄色だったよな。

青ってなんだろうか。


「こちらは【空間魔法】の【転移】の魔石です」


なるほど、【空間魔法】は青か。

【空間魔法】ということは、僕も鍛えれば【転移】を習得できる可能性はあるな。


「危なくなったら、こちらを使って逃げてください。

この魔石の場合、転移先は200mくらい離れた任意の場所です。

クラールに渡しておきましょう」

「ありがとうございます、父上」


「命がけの戦いは得るものも多いでしょう。

しかし、死んでしまっては意味がありません。

クラール、冷静に判断しなさい」

「わかりました」


「ちなみに、【転移】は補充だけで200万セペタほどお金がかかります。

ちょっと様子だけ見て戻ってくる、という使い方は避けてくださいね」

「はい、承知していますよ」


ぇ?

そんなに高いの?

補充じゃなくて、買ったとしたらもっと高いんだろうな。


ん〜……

でも用途を考えればそれくらいはするのか。


「ぁ、そうだ。

ボスに行くなら、あと一個ずつくらい【オートヒール】が欲しいです。

今作ることはできますか?」

「えぇ、魔石の原料ならありますよ。

MPは大丈夫ですか?

もしボスと戦うなら、今日ある程度狩場を進む必要がありますよ?」


「ギルドの情報では、ボスの前に野営をする場所があるようです。

そこで一泊野営をします」

「ふむ、最低限は調べてあるようですね。

では今日は野営をすると良いでしょう」


ぁ、やばい。

野営装備をまた揃える必要がある。

トリプルヘッドに襲われたときに、野営装備は全部無くなってしまったんだ。


「カルディさん、また野営装備買いに行きます」


カルディさんはニコリと微笑むと、うなずく。


最近やっとお金に余裕が出てきたわけだが、また金欠になりそうだ。

レッドクロコダイルの素材が高いので、前回よりも良い野営装備を整えよう。

【ストレージ】のレベルも上がっているし、そこそこの量の荷物も運べるだろう。











その後、第三戦線で狩りをする。

今日は狩場の魔物を一掃すると、先に進んでいく。


「いつもの狩場と魔物は変わらないね」

「そうだな」

「場所によって若干魔物の湧く早さが違っているくらいかな」


「ボスまでは問題なく進めそうだね」

「あぁ、楽勝だな」

「ケン、MPはどう?」


「まだ全然あるよ。

【炎耐性】が大きいね。

それから装備も変わったし、回復はそこまで頻繁にしてない」

「わかった、SP回復の休憩を入れつつ、このまま進もう」


ちなみに今のジョブは【風使い】だ。

現状1番魔力操作のステータスが上がる。

2番目に魔力操作があがるのは【魔法士】。


日本でできるだけ早くパソコンを操作できるようになりたい。

そのため、今は魔力操作を成長させておきたい。

【風使い】のレベルを上げて、魔力操作の補正を少しでも上げておきたいところだ。

ただし、ボス戦では【上級聖職者】にしておいたほうがいいだろう。











しばらく進むと、狩場に赤みがかった植物が表れる。

あれは、魔物ではなく素材だな。


「あれって素材だよね?」

「そうだね。

おそらく火炎草だろう。

採っておいたほうがいい。

使いみちがいろいろあるから、割と高値で売れるよ」


「そうなんだ」

「ちなみにケン、【耐火ポーション生成】のスキルは持ってる?」


「いや、持ってないね。

火炎草の主な使いみちは【耐火ポーション生成】?」

「そうだね、【耐火ポーション生成】と【鍛冶師】が武器や防具に【火属性】を付けることができるらしいよ」


「なるほど」

「ってことは、ケンが【耐火ポーション生成】を習得できれば、ボス戦が戦いやすくなるってことだよな?

この狩場で粘って、火炎草を集めながらケンが【薬師】のジョブを上げればいいんじゃないか?」

「う〜ん……

【耐火ポーション生成】は【薬師】を上げれば必ず習得できるわけではないよ」


「習得にも個人差があるらしいよね」

「そうそう、【薬師】のジョブレベルが上がって習得する人もいれば、【ポーション生成】のスキルを上げて習得する人もいる。

もしケンが、スキルを上げて習得するタイプだったら、【薬師】のジョブを上げるよりも、街で【ポーション生成】のスキルを上げたほうが効率がいい」

「てか、街で売ってれば買っていったのにな」


「凄い高いんじゃないの?」

「だね。

素材の火炎草が高値で売れるんだ。

【耐火ポーション】は高いし、そもそも市場に出回らないらしいよ」

「消耗品の【耐火ポーション】に使うなら、武具に【火属性】を付けちまったほうが安上がりってことだな。

オーケー、じゃぁこのまま進もう」









「ふぅ……

ギルドの情報だと、ここがボス前最後の拠点だ」

「結構時間がかかったね」

「まぁ普通は3人で来るような場所じゃねぇからな」


そうなんだ。

まぁダブルヘッドを狩ったときは大人数だったからな。


火炎草などの素材もかなり手に入った。

既に日が暮れている。


「ここの狩場は、人数が多ければいいってわけじゃないからね。

【挑発耐性】を持ってない人が来ても、足手まといになるだけだよ」

「確かに、そこらじゅうで爆発されたらどうしようもないね」


「それじゃ、ここで野営だな」

「そうだね、準備しよう」


僕は【ストレージ】から野営装備を取り出す。

教会での狩りへの同行、それから魔石の補充、生成、そして第三戦線での素材。

それらを全てお金に換えた。


そして、ほぼ全てを野営装備に使ってやった。

今度こそ野営装備は長く使うつもりだし、今のMPを考えるとまだまだ稼ぐことができる。

そう、無駄遣いではないのだ。


1人用のテントを組み立てる。

なんと全面シングルヘッドの革でできている。

一人が寝るには充分な広さで、ゴツゴツした地面でも、テントの中は快適だ。


外に出ると、ショーンとクラールもテントを張り終えていた。


「あの大きいのは一応テントなんだよね?」

「あぁ、デカイよな。

俺も初めて見たときは驚いたよ」


僕はクラールのテントの大きさに驚く。


どこぞの遊牧民が家族で生活するようなテントだ。

日本で言うところのグランピングってやつだろうか。

いろいろと言いたいことはあるけど、そもそもどうやって持ってきたんだろうか。


「ねぇ、クラールって【ストレージ】凄いレベル高い?」

「うん、僕は昔から他の冒険者よりも荷物が多くてね。

今は【魔弓士】だけど、その前に【弓使い】や【狩人】のジョブも経ている。

矢を持ち運ぶ必要があったし、SP消費も他の人より多かったんだ」


「なるほど、それでSP強化と同時に【ストレージ】も強化されまくったってことだね」

「なぁ、これ前に見たときよりも豪華になってねぇか?」

「そうだね。

中にはベッドもあるよ。

調理器具もある程度あるから、今日はレッドクロコダイルの肉でも焼こう」


そういうと、クラールは【ストレージ】からバーベキューセットのようなものを出す。

【解体】で加工しやすくなったレッドクロコダイルの肉を厚切りに切っていく。


「調味料もある程度あるから、適当に使っていいよ。

野菜も持ってきたから、自分の好きなのを焼いてね」

「クラールとの野営はこれがあるからいいぜ」


いやいや、マジでただのキャンプだな。


「ぁ、そうだ。

僕まだMPちょっと残ってるからお皿を作るよ。

それから串も作れるかな」

「それは良いね、頼むよ」


そうなると、僕も少しは役に立つ。

【土魔法】の【創造】で食器を作り、使ったらそのままここに捨てていけばいい。

原料は土だし。


僕はレッドクロコダイルの肉を焼いて、塩を振る。

玉ねぎやピーマン、ナスなども一緒に焼いておく。


めちゃめちゃ美味い。

レッドクロコダイルの肉は高級品だ。

ワニの肉なんて食ったことは無いが、おそらくこれは別物だろう。


「にしても、凄い野営装備だね。

いくらくらいしたの?」

「全部揃えるまでにかかった金額は覚えてないなぁ。

お金よりも【ストレージ】のレベルを上げるほうが大変だったよ。

今も【ストレージ】のレベル上げは欠かせないし」

「なぁ、明日その野営装備しまったらSP結構消費するんじゃねぇか?」


「そうだね、だから僕は早めに起きて【ストレージ】に収納しておくよ。

それからケン、MPに余裕はある?」

「まだ少し残ってるかな。

なにかに使う?」


「さすがにお風呂を沸かすMPは残ってないよね?」

「どうだろう。

魔法でお風呂はやったことないなぁ」

「おいおい、野営で風呂に入る気かよ」


「浴槽ってどうするの?

【土魔法】?」

「そうみたいだよ。

以前父上が【土魔法】で作った浴槽に【水魔法】で水を入れて【炎魔法】でお湯にしていたんだ」


なるほど、イヴォンさんは司祭だけど、攻撃魔法も使えるんだな。


「それだと残りのMPでは無理かな。

【土魔法】【創造】のレベルがそこまで高くないから、MP効率がそんなに良くないんだ。

今のMPだと浴槽作って終わりだと思う」

「この狩りが終わったら、ケンの【土魔法】を強化するのはどうかな?」

「おいおい……お前の風呂のために、強化方針決めんのかよ」


狭間圏はざまけん

【風使い:Lv42】(↑+18)

HP:269/278(↑+4)【風使い】:-9

MP:7/601(↑+1)【風使い】:+62

SP:4/133(↑+2)

力:25

耐久:69(↑+2)【風使い】:-6

俊敏:37【風使い】:+18

技:16

器用:21(↑+1)

魔力:58(↑+1)【風使い】:+24

神聖:104(↑+1)

魔力操作:75(↑+1)【風使い】:+57

【土魔法:Lv28 創造:Lv19(↑+1)】

【回復魔法:Lv57(↑+1) ハイヒール:Lv22(↑+1) オートヒール:Lv25(↑+2)】

【補助魔法:Lv50 プロテクト:Lv★ バイタルエイド:Lv★ マナエイド:Lv25】

【盾:Lv19(↑+1) ガード:Lv13(↑+1)】

【炎耐性:Lv26(↑+2)】

【ストレージ:Lv32(↑+1)】

【フレアバースト:Lv7(↑+1)】

【毒薬生成:Lv14(↑+1) ポーション生成:Lv13(↑+1) 毒消しポーション生成:Lv1(↑+1)】

【etc.(31)】


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