88日目(異世界)
今日は朝から【オートヒール】の魔石を生成し、今は第三戦線にいる。
全員がノルマである【炎耐性】20【挑発耐性】10になったので、奥へ進むことにする。
「よし、炎狐にリベンジだな」
「そうだね。
今回僕は【魔弓士】でいくから、炎狐の殲滅は任せてよ」
「了解」
浅い狩場は、レッドクロコダイルのみの出現だ。
これまでのように、SP消費を抑えながら進んでいく。
といっても、クラールが【魔弓士】にジョブを変えているので、殲滅が以前よりもはるかに早い。
「この先から炎狐が出る。
SPの消費は考えずに【アイスアロー】を使っていくよ」
クラールに僕とショーンがうなずく。
奥の狩場には既に炎狐が数匹、レッドクロコダイルもちらほらいる。
ショーンの突進と同時に、クラールが【アイスアロー】を放つ。
僕も近くにいる炎狐に【氷結】を使っていく。
ボワッ!
ショーンに火がつく。
炎狐の【炎魔法】だ。
僕はすかさず【ハイヒール】で対応。
その間にもクラールがどんどん【アイスアロー】で炎狐を仕留める。
「よし!
いけるぜ!」
最後の炎狐にショーンが【濁流槍】を使っていく。
そして狩場の魔物がレッドクロコダイルのみになる。
「ショーン!
SP消費を抑えた狩りに戻そう」
「おぅ!」
僕も回復と補助のみに専念する。
「おい!
またきたぞ!」
すぐに炎狐が湧く。
炎狐は一匹一匹はそれほど強くないが、数が多く、すぐに出現する。
「大丈夫!
任せて!」
クラールがすぐに【アイスアロー】で仕留める。
仕留めるのが早いので、まだそれほどダメージは無い。
だけどきりがないな。
湧きが早い分、ジョブレベルはおいしいがショーンとクラールのSPは大丈夫だろうか。
ボワッ!
やばい!
僕やクラールにも【炎魔法】がくる!
が、大丈夫。
【炎耐性】があるので、僕の回復のほうが全然早い。
さらに殲滅力も以前よりも高いので安定して狩りができている。
◇
しばらく狩り続けると、炎狐の湧きが止まる。
「これで終わりか?」
ショーンがレッドクロコダイルを仕留める。
「ふぅ……
結構SP減ったね。
ケンのMPはどう?」
「僕のMPはまだ結構あるよ。
殲滅が早かったし、【炎耐性】があるからかなりのダメージを抑えられたんじゃない?」
一通り素材を回収して、奥へ進む。
狩場と狩場の間には、基本的に敵が湧きにくい場所がある。
そこで休憩だ。
「炎狐には充分対応できるようになったね」
「だな、さっきの狩場は余裕だろ」
「僕も間隔を空けて回復したよ」
「だけどSPがちょっとヤバいな」
「そうだね、それに奥からは爆弾小僧っていう魔物が出るらしいしちょっとここで休憩しよう」
ちなみに狩りでは僕のSP消費がほとんど無いので、素材はできるだけ僕の【ストレージ】に入れている。
【ストレージ】のレベルが上がってはいるが、もう少し容量が欲しいところだ。
◇
「あれが爆弾小僧か?」
休憩後、奥の狩場へ来た。
狩場には30cmくらいの丸く赤い岩があった。
細い手足が生えており、目、鼻、口がある。
頭の先からは小さな炎がゆらめいている。
つぶらな瞳。
大きな鼻の穴。
そしてたらこ唇だ。
なんだろう。
見ていると、すごくイライラする。
ぶちのめしたい気分だ。
……なんだろう。
この感覚……
爆弾小僧が大きな鼻の穴に指を突っ込みホジホジし始めた。
指を取り出すと、鼻くそのようなものがついており、それをピッと指で弾く。
「【ファイアアロー】!」
「なっ!」
「おい!」
あれ?
僕は気がつくと爆弾小僧に【ファイアアロー】を撃っていた。
爆弾小僧がピカッと光る。
ドゴオオオォォォン!
「うぉ!」
「ぐはっ!」
やばい、ここまで爆風がきた。
すぐに回復だ。
「まずい気づかれた!」
「ごめん!」
「殲滅いくぜ!」
他の魔物もこちらに気がついたようでぞろぞろとやってくる。
「他にも爆弾小僧がいるぞ!」
「マズイ!
【アイスアロー】!」
爆弾小僧が近づく前に、クラールが【アイスアロー】で対応する。
が……
ドゴオオオォォォン!
「がはっ!」
ショーンが吹っ飛ぶ。
近距離攻撃をしてしまったようだ。
僕はすぐに【ハイヒール】を重ねがけていく。
あのダメージはやばい。
「ショーン、ケン!
【水属性】【氷属性】で仕留めるんだ!
さっきの【アイスアロー】では爆発が弱かった!」
「わかった!」
「了解!」
僕も爆弾小僧には【氷結】を使っていく。
だけど、気を抜くと何故か【ファイアアロー】を使いたくなる。
これが挑発ってやつだろうか。
火属性での攻撃を我慢しながら【氷結】を使い続ける。
ショーンやクラールも同様だ。
この感覚……
どこかで……
しばらくすると、殲滅が終わる。
「はぁ……はぁ……」
「ふぅ……
あれが挑発か」
「本当にごめん、最初の一発が無ければもう少し楽に戦えたよね」
「いや、ケンが魔法を使ってなかったら俺が突っ込んで槍を打ち込んでた。
逆に助かった」
「僕もあと一歩遅かったら【フレイムアロー】を使っていたよ」
「なぜか火属性を使いたくなるよね」
「そうだね。
多分【挑発耐性】が10無かったら【氷属性】や【水属性】の攻撃に切り替えるのも難しかったと思う」
「おっそろしい敵だな」
「なんかこう、見てるとイライラするよね。
ぶちのめしたい気分が抑えられないと言うか」
「そうそう。
でもこの感覚初めてじゃない気がするんだよね……」
「そうか?
でもお前、【挑発耐性】持ってなかったんだろ?」
「そうだね。
みんなの盾スキルで初めて【挑発耐性】がついたよ」
「ってことは、【挑発】をされたけど耐性まではつかなかったってことかな?」
そうか。
その考えなら筋が通る。
だけど、【挑発】をくらったことなんてあるだろうか。
【盾戦士】とパーティを組んだときに【挑発】の対象にされたとか?
いや、それは意味がないな。
「しばらくはここの狩場で【挑発耐性】を上げる必要があるね。
盾スキルだと【挑発耐性】を10より上げるのに時間がかかりすぎるだろうし」
「だな。
イライラを抑えながら戦えば、【挑発耐性】が上がるだろ。
1つ上がってるぜ?」
「ぁ、ホントだ」
「僕も上がってるね」
「決まりだね。
殺意を抑えて戦おう」
「殺意……?」
そうだ!
殺意だ!
イライラじゃない!
「おいケン。
どうした?」
「いや……なんでもないよ。
ちょっと考え事」
「?」
この殺意は【狂戦士】のときの感覚に近い。
【挑発耐性】を鍛えれば、【狂戦士】が使いこなせるようになるかもしれない……
狭間圏
【上級聖職者:Lv32】(↑+7)
HP:265/265(↑+3)
MP:15/583【上級聖職者】:+114
SP:7/118(↑+3)
力:25
耐久:65(↑+1)
俊敏:37
技:16
器用:14
魔力:54(↑+2)【上級聖職者】:+62
神聖:99(↑+2)【上級聖職者】:+114
魔力操作:67(↑+1)
【水魔法:Lv34 氷結:Lv9(↑+1)】
【回復魔法:Lv54(↑+1) ハイヒール:Lv18(↑+3) オートヒール:Lv20(↑+1)】
【補助魔法:Lv47 プロテクト:Lv68 バイタルエイド:Lv68 マナエイド:Lv22】
【炎耐性:Lv22(↑+1)】
【挑発耐性:Lv14(↑+4)】
【ストレージ:Lv27(↑+1)】
【etc.(34)】




