85日目(異世界)
今日は朝から教会の魔石生成室、ではなく騎士の訓練所に来ている。
朝食後、イヴォンさんにここに来るように言われた。
訓練所にはイヴォンさんとカルディさん、それからショーンとクラールもいる。
イヴォンさんはいつもより更に笑顔、超絶笑顔だ。
なんかちょっと怖い……
「朝からありがとうございます、狭間さん」
「いえ、それより魔石生成室に行かなくていいんですか?」
ここ最近、朝は魔石を生成する日程だった。
「はい、今日はこの場所で魔石を生成していただきます」
「はぁ……」
装備も借り物の神聖、魔力を補正するものだ。
わざわざ着替えも持ってきてここで魔石を生成するらしい。
「聞きましたよ、狭間さん。
どうやら日々【オートヒール】も鍛えているようですね」
「はい、狩りで【オートヒール】のスキルレベルを上げようとすると危険なので、できるだけ安全にスキルレベルを上げたいと思いまして」
「素晴らしい!
素晴らしいですよぉ!」
イヴォンさんは目をカッと見開く。
いやいや、マジで怖いんですけど。
「イヴォン、狭間さんが引いていますよ……」
カルディさんが制してくれる。
「おほほ、これは失礼しました。
今日こちらへ来ていただいたのは、【オートヒール】の魔石生成をお願いしたいと思いまして。
【オートヒール】は使い手自体が少ないことと、魔法の補充が難しいことがあり、大変高値になっております」
「そうなんですか」
「えぇ、【オートヒール】は自分の意思で発動できないため、生成、補充ともに困難なのです」
「なるほど……」
「それでどうでしょう。
今から魔石の生成をしていただけますか?」
「はい、それは構いません」
ここまで準備されて断れないだろう……
「ではカルディ、お願いします」
カルディさんは小さくうなずくと、10cmくらいの魔石に手をかざす。
【魔導命令】で魔石に魔法の特性を与えている。
魔石が淡く光りだす。
「では狭間さん、魔石を身に着けて、【オートヒール】をいつものように発動させてください」
「はい」
いつものようにってことは……
「よし、じゃぁケン。
あれを撃ってこいよ」
ショーンが防御の構えをする。
「あぁ、そういうことね」
僕は左手に魔石を握り、右手を構える。
「【フレアバースト】!」
バゴォォォォン!
ショーンが吹っ飛び、僕の右手が負傷する。
毎度のことだが、ショーンよりも僕のほうが重傷だ。
そして、いつもならここで【オートヒール】が発動する。
が、今日は【オートヒール】が発動しない。
正確には、発動しているが魔石に【オートヒール】が発動しているので、僕の右腕は負傷したままだ。
痛い……
「おぉ!
これですよ!
素晴らしいですよぉ!」
イヴォンさんがハッスルしている。
【オートヒール】が10回分くらい魔石に入っただろうか。
その後やっと僕の右腕の回復が始まる。
痛いけど、これなら【オートヒール】のスキルレベルもいつもより上がるな。
魔石の生成や補充は、ステータスこそ上がらないがスキルレベルは上がる。
【オートヒール】は常に鍛えられるわけではないので、丁度いいかもしれない。
「では狭間さん、報酬は2万セペタになります」
「えぇ!
そんなに貰えるんですか!?」
「えぇ、先程も言った通り、【オートヒール】の生成は困難ですからね。
さらに貴族のお守りとしては、これ以上のものはありません」
確かに、お守りとしては優れている。
身に着けていれば、勝手に回復してくれるわけだ。
「あの、でしたら僕らの分も生成したいです。
また第三戦線に行くことを考えると、一人一個ずつくらいは持っておきたいので」
「なるほど、でしたら明日は多めに魔石を持ってきます。
報酬の一部を引いて、それでお渡ししますね」
「ありがとうございます」
「では、明日から毎朝訓練場で魔石の生成をしましょう。
カルディもそれでいいですね?」
「構いません」
明日からの朝の日程が決まり、解散になる。
「僕らにも【オートヒール】の魔石を作ってくれるのか。
ケン、ありがとう」
「助かるぜ」
「炎狐がいるからね。
少しでも回復できるようにしておきたいし」
「よし、じゃあ今日も第三戦線に行こう」
◇
魔石生成のあと、午前中は第三戦線でジョブレベル上げだ。
今僕は【盾戦士】が41だから、今日で50になるだろう。
そうすると【上級盾戦士】のジョブを習得できそうだ。
ショーンもクラールも本来のジョブではないが、それでも効率よく狩りができている。
レッドクロコダイルにはもう苦戦していない。
「【アイスアロー】!」
ピシッ!
「ギュエェェ!」
クラールの【アイスアロー】が弱点のようで、次々にレッドクロコダイルが仕留められる。
ん〜……
そろそろのはずなんだが……
新しいジョブの出る感覚がまだない。
僕はステータスを確認する。
【盾戦士:Lv★(↑+9)】
ぇ?
カンストしている。
……てことは、【盾戦士】がカンストしても【上級盾戦士】が出なかったってことだ。
残念。
耐久やHPが足りないってことだろうか。
もしくは、他のスキルやジョブも足りていないのかもしれない。
「ダメだ。
【盾戦士】がカンストしたのに【上級盾戦士】は出てこないよ」
「じゃあ好きなジョブに変えるといい。
経験値が勿体ない」
そうしよう。
僕は【見習い魔法士】にジョブを変えておく。
ちなみに【見習い魔法士】は今11レベルだ。
◇
凄い。
見習い職はレベルが上がりやすいこともあり、あっという間にカンストしてしまった。
そして出てきたのは【魔法士】だ。
【聖職者】のときと同じように、見習いが取れる。
午前中の狩りが終わると【魔法士】のレベルが6になった。
ちなみに今習得しているジョブはこんな感じだ。
【見習い聖職者:Lv★】(30)
【聖職者:Lv★】(50)
【上級聖職者:Lv25】
【見習い魔法士:Lv★】(30)
【魔法士:Lv6】
【盗賊:Lv25】
【斥候:Lv17】
【薬師:Lv13】
【盾戦士:Lv★】(50)
やっぱり前衛のジョブが少ないから【上級盾戦士】が出てこないのかもしれない。
◇
その後、再び訓練所に戻る。
ここからは【炎耐性】上げだ。
昨日と同じように【フレアバースト】を撃ち込み、できるだけ【オートヒール】と【エリアヒール】で回復をする。
そしてクラールには【フレイムアロー】を撃ち込んでもらい、こっちからは【ファイアボール】と【ファイアアロー】を撃ち込む。
「おいケン、お前そろそろ【炎耐性】が20になったんじゃないか?」
「そうだね、今20だよ。
一応【炎耐性】の目標はクリアだね。
ショーンとクラールは?」
「僕はやっと12だよ」
「俺は16だ」
「みんな順調に上がってるね」
「僕は20になったから、他の耐性も上げたいな。
ねぇショーン」
「ん?
あぁ、わかったよ。
【水耐性】だろ?」
「おぉ、わかってくれたか。
お願いします!」
「じゃ、こっからは【流突き(るづき)】でいくぜ」
それから夜まで耐性上げの修行が続いた。
狭間圏
【盾戦士:Lv★】
HP:386/256(↑+2)【盾戦士】:+130
MP:12/562【盾戦士】:-10
SP:2/111(↑+2)
力:24(↑+1)
耐久:62(↑+1)【盾戦士】:+65
俊敏:37【盾戦士】:-15
技:15(↑+1)
器用:12(↑+1)【盾戦士】:-20
魔力:50(↑+1)【盾戦士】:-5
神聖:93(↑+1)【盾戦士】:-5
魔力操作:60【盾戦士】:-15
【炎魔法:Lv37(↑+1) ファイアボール:Lv9(↑+2) ファイアアロー:Lv3(↑+1)】
【回復魔法:Lv51(↑+1) ハイヒール:Lv13(↑+1) アンチポイズン:Lv16(↑+1) エリアヒール:Lv9(↑+1)オートヒール:Lv17(↑+1)】
【補助魔法:Lv44 プロテクト:Lv65(↑+1) バイタルエイド:Lv65(↑+1) マナエイド:Lv19】
【盾:Lv15(↑+1) ガード:Lv10】
【炎耐性:Lv20(↑+3)】
【水耐性:Lv2(↑+2)】
【痛覚耐性:Lv2(↑+1)】
【ストレージ:Lv25(↑+1)】
【フレアバースト:Lv4(↑+1)】
【毒薬生成:Lv9(↑+1) ポーション生成:Lv8(↑+1)】
【etc.(21)】




