34日目(異世界)
本日2話目の投稿です。
1話目まだの方はそちらからどうぞ。
目覚めると、木造の古い宿屋。
恒例のステータス確認だ。
狭間圏
【――――】
HP:27/27
MP:129/129(↑+32)
SP:2/2
力:8
耐久力:5
俊敏:6
器用:5
魔力:6
神聖:3
【魔力操作:Lv3(↑+1)】【炎魔法:Lv1】【風魔法:Lv12(↑+3) エアカッター:Lv2】
よし!
今日も上がっている。
しかも、【魔力操作】が上がった。
おそらく、【風魔法】でいろいろ試したからだろう。
そして、今日も道具屋のカルディさんのところへ行く予定だ。
3匹目のホーンラビットで、ステータスを強化する。
しかし、このままでいいんだろうか?
今手持ちのお金は、39600セペタだ。
毎日宿屋で300セペタ消費する。
それから、ホーンラビットの代金は全てカルディさんに出してもらっている。
今日ホーンラビットを仕留めてしまえば、またギルドで依頼する必要が出てくる。
何かお金を稼ぐ手段を探さないと……
そんなことを考えながら、僕は今日も道具屋へ向かう。
カルディさんがカウンターで本を読んでいる。
「おはようございます!」
「やぁ、お待ちしていましたよ。
では、今日もやっていきましょう」
カルディさんと裏庭へ行く。
その間、カルディさんにお金の件について話してみた。
「そうですねぇ、回復魔法を習得すれば、ある程度の生活費を稼ぐことができるんですが……」
「やっぱり今のステータスでお金を稼ぐことは難しいんでしょうか?」
「そうですねぇ……ただ、資金に関しては私がある程度支援しますよ?」
「大変ありがたいんですが、このままっていうのはちょっとまずいかなと」
「わかりました、それでしたら今日はホーンラビットの解体を教えますよ」
「ありがとうございます!」
「それでは、今日は魔力と俊敏を同時に強化します」
「同時にですか?」
「はい、今日は足かせをつけたホーンラビットを解放しますので、攻撃を避けながら隙があれば【エアカッター】を撃ち込んでください」
「わかりました!」
カルディさんが檻から昨日のホーンラビットを解放する。
「シギャァッ!!」
例によって、僕に向かって真っ直ぐに突進してくる。
昨日俊敏が上がったし、今はまだ体力があるのでかわすことができる。
「シギャァッ!!」
僕が突進をかわすと、ピタッと切り返し、また僕に突進してくる。
「おっと!」
昨日の三時間がかなり効いてるな。
ある程度余裕を持ってかわすことができる。
でもこれ、どうやって反撃するんだ?
そうこうしているうちに、疲れてきた。
「……ふぅ」
やや呼吸が乱れてくる。
これだと、昨日と同じだな。
「動きはきちんと見えているようですね。
ではまず、かわした瞬間に、ホーンラビットに手をかざすようにしてください」
「わかりました!」
ホーンラビットは、アホみたいにひたすら突進してくる。
僕はそれを横にかわし、手をかざす。
ダメだ。
若干遅いな。
何度も挑戦して、タイミングをみる。
「いいですよ、タイミングが合ってきました」
「はい!」
ここだ!
「【エアカッター】」
バシュッ!
「ギャッ!」
ホーンラビットが小さなうめき声を上げる。
よし、当たった。
「油断しないでください!」
ホーンラビットは、【エアカッター】をものともせず、切り返して突進してくる。
「ぇ?」
ドスッ!
クソッ!
もろにくらってしまった。
「ゲホッ!」
ホーンラビットのほうを見ると、既にカルディさんが取り押さえてくれている。
しまった。
油断したな。
【エアカッター】の威力が弱いから、ホーンラビットは怯むことがほとんどない。
攻撃したあとも、かわすことを考えながら動かないといけないんだ。
「すみません、ありがとうございます」
僕は、すぐに立ち上がると構える。
カルディさんがホーンラビットを解放する。
僕はひたすらかわしながら、【エアカッター】を撃ち込んでいく。
◇
それから50発くらい撃っただろうか。
ホーンラビットが動かなくなった。
「お疲れさまでした。
では、ステータスを確認したら、解体をしましょう」
「わかりました!」
僕はステータスを確認する。
狭間圏
【――――】
HP:22/27
MP:25/129
SP:2/2
力:8
耐久:5
俊敏:8(↑+2)
器用:5
魔力:8(↑+2)
神聖:3
【魔力操作:Lv3】【炎魔法:Lv1】【風魔法:Lv12 エアカッター:Lv3(↑+1)】
今回も上がっている。
僕は、カルディさんと一緒に道具屋へ入り、奥の扉へ入る。
そこには、様々な道具や何かの材料が棚やテーブルに置かれていた。
カルディさんが、ナイフを渡してくれる。
「どうぞ、これを使って解体をします。
最初は難しいかもしれませんが、指示に従ってナイフを入れてください」
カルディさんの指示通りに、解体をしたが、なかなか上手くいかず、時間がかかった。
僕のステータスでは、力が足りないのだ。
魔物の皮というのは、普通の動物よりも硬く厚いため、それ相応の力が必要らしい。
ただし、皮さえ剥いでしまえば、中身は硬くない。
まぁ肉も美味いわけだし、硬くはないんだろう。
「手間取ってしまい、すみません」
「まぁ最初はこんなものですよ」
僕は一通り解体を終えて、肉として加工した。
干すための道具などは、さすが道具屋さんで、いくつもあった。
「 それでは、一応ですが、ステータスを確認してみてください」
「ぇ? はい」
解体しただけで戦ってはいないんだが……
僕は言われたとおりにステータスを確認する。
狭間圏
【――――】
HP:22/27
MP:25/129
SP:2/2
力:8
耐久:5
俊敏:8
器用:6(↑+1)
魔力:8
神聖:3
【魔力操作:Lv3】【炎魔法:Lv1】【風魔法:Lv12 エアカッター:Lv3】
「あれ?
器用が1上がっています」
「なるほど、やはりそうですか。
力や器用さは、一定よりも低い値の場合、解体だけでも上がることがあるんですよ」
「そうなんですね。 やった!」
「まぁでも、解体ではそう簡単に上がらないと思っておいてください」
「わかりました」
「今回購入したホーンラビットが、1匹250セパタ。
解体して、干し肉にすれば120セパタくらいは戻ってきます。
130セパタほど赤字ですが、これはギルドに捕獲を依頼するからですね。
ホーンラビットの素材の収集で依頼すれば、100セパタくらいの依頼料になります。
これを自分で解体すれば、20セパタほどは利益がでます」
「なるほど、ありがとうございます!」
「今のペースでしたら、捕獲1匹、素材1匹を依頼するくらいが丁度良いでしょう」
「そうすると、まだちょっと赤字ですね」
「はい、手際が良くなるまでしばらくは赤字です」
「僕自身でクエストって依頼できるんでしょうか」
「あぁ、できますよ。登録が必要ですが。行きましょうか?」
「はい、是非お願いします!」
僕は、加工後の血まみれの手を洗い流し、カルディさんとギルドへ行く。
なんと、ギルドの登録には5000セパタものお金が必要だった。
ギルドカードの発行にお金がかかるらしい。
ギルドカードというのは、金属プレートだ。
正確にはただの金属ではないらしい。
特殊な金属で持ち主のステータスを大まかに表記してくれる。
パーティを組む際にステータス確認が必要だからだろう。
ちなみに、今の僕のギルドカードはこんな感じだ。
狭間圏
【――――】
HP:F
MP:E
SP:F
力:F
耐久:F
俊敏:F
器用:F
魔力:F
神聖:F
MP以外は全てF。
やっぱりこっちの世界では小学生以下らしい。
そして、所持金は34600セパタ。
「今日もいろいろとありがとうございました」
カルディさんは笑顔を返す。
「それはそうと、残りのMPはどうします?」
「【炎魔法】の空撃ちをしようと思います。
魔力は上がりませんが、MPと【炎魔法】のレベルを少しでも上げたいので」
「う〜ん……
空撃ちはちょっと勿体無いですが、 かといって今の状態で一日二匹のホーンラビットは厳しいと思いますし今はそれが良いかもしれませんね」
僕は、カルディさんにお礼を言って、宿屋へ戻る。
今日は身体を拭いて、横になる前に【炎魔法】でMPを消費しておく。
手のひらから小さな炎を出す。
2cmくらいだろうか。
前はもっと小さかったから、やはり魔力が影響しているんだろう。
ギリギリまでMPを消費して【炎魔法】を使ったが、ステータスに変化は見られなかった。
そして、今日も眠る直前まで【魔力操作】をしておく。