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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

今日から学校と仕事、始まります。②莞

女性のお尻、胸は、男の手で触れるものだろう?

作者: 孤独

状況、状況。

今、俺は電車内にて痴漢をしている。


「!」


プーーーーーッ


急ぐの文字はどこにもないが、快速電車に乗り込んだのはお久しぶり。カバンを足元置きつつ、離さんとしていたこの左手。だが、右手は本能に赴くまま、自分の右のちょっと先にいるOLお姉さんの体を捉えようとしていた。女子高生もいいけれど、OLさんもいいもんだねぇ。お客様と出会う手前、自宅で綺麗にお化粧しちゃって、可愛らしさというお花になって通勤してくれる。元気になりやすよ!男って奴には!たとえ、こんなね




ムギュギュギュ


って、


グエーーーッ


なるほど。どぎつい満員電車、この弱い体には堪える状況であってもだ。ただ。

頼むからこれ、締め付けてくる体を、ボインボインなおっぱいに全部変わってくれない?って、神に願いたいんだが。神はほんのちょっぴり優しく、希望をもたらせるように、OLさんを手の届く位置に配置したのだろう。



『女性のお尻、胸は、男の手で触れるものだろう?松代宗司よ……』



その通りだ、神様。二次元だけじゃねぇのよ、女はよ。

手を伸ばさなきゃ、触れることすらできねぇ!!

俺に届け!この手に届け!!


サワサワ


「!!」


と、届いた!!

次の駅まで、残り1分と少しか。どこを触ってる?

……これは太ももか、


「!」


OLのビクンっとした動き。泳ぐお魚の横に石を落としたかのような驚きよう。触ってる。ふにふにできる。

もっと上へ、……ぐっ、しかし。キツイぞ。

列車揺れやがって、お尻まで、パンツまでもう少しなんだ。次の駅で降りられたり、痴漢とか騒がれる前に届け、行けーーーー!!



サワサワ 



『尻っ!ゲット!!』



はぁぁぁっ。癒される~~。ありがとう神様!

マジで女サイコー!もう、満員電車サイコーって思えるよ。右手で、こうして、見ず知らずの彼女をイカせられる!



キイイイィィッ



「?」


人の体を触っている快感。違う温かさ、血の巡り。


「?」


満員電車が一瞬解放される停車。

ターゲットにしていたOLさんは何事もなかったかのように、停車駅に降りていった。しかし、松代の手に残るはまだ執拗に続く、感触。

さらに、強い力で手首を掴まれる。


「ちょっとあんた!さっきから、尻とか触んじゃねぇよ!!」

「男だとーーー!?」



馬鹿な!?なぜ!?どうして!?

確かにOLさんの太ももを触っていたはず!?あの満員電車の中、すり替えの術を!?


「ふ、ふざけんなーー!痴漢させろーー!?」

「何言ってんだ、あんたーー!?」



電車は大切な通勤の5,6分。遅延するのであった。



◇        ◇


「で?自分の性欲に耐えらず、痴漢をして。騒ぎ起こして、会社に遅刻したと……」


頬を膨らませながら、松代の遅刻理由を聞いてあげる酉麗子。言い訳も何もなく、事実を言っているので怒る気になれない。


「いや!痴漢したんですけど、男だったんですよ!それって痴漢になるのか!?警察にも議論を求めましたよ!おっさんの尻触ってただけですよって!」

「性別は聞いてないわよ。ただ、お尻を意識的に触られたら気色悪いでしょ。ってゆーか、気付きなさいよ。あと、相手の情報は言わなくてよろしい」

「やべっ!酉さんにしてはまともな返しをされた!」



そんな2人のやりとりを横で聞いている、危ない女性二人は楽しげであった。ニヤニヤしている面は、痴漢と同等というには訴えられそうだが、それに見合う趣向を持ち合わせているのだろうか。達しているのは間違いない。



「イケメン同士の集団痴漢、ありそうですね」

「ネットでよくある。集団で痴漢しようって話題あげて、実はヤッちゃう側的な」

「安西、林崎。お前等、夢の世界に行くな!痴漢はなぁっ、性欲に飢えた奴しかやらん!イケメンばかりが痴漢をすると思うな!」


そんな言葉を聞くわけもなく、真面目にダメ出しをする安西弥生と林崎苺。


「松代さん。40代のおっさんの尻で興奮してちゃ、絵になりませんよ!」

「せっかく、顔だけはまともなんですから!イケメンを選んでください!」

「黙ってろ!腐女子!!」


痴漢未遂をしていたから会社に遅刻しました。とんでもないことである。クビだクビ。会社で働く女性3人がこんな話を聞いて、退かないどころか。許してあげたり、夢を広げたりする。なんなんだよ。

それに言える事がある。


「イケメンってズリーよな……」


きゃっきゃっしているような絵面なので、男性社員にしてヤクザ面した三矢正明には、マジで羨ましいというか、妬ましいところであった。今日だって真面目に泊まり込みなのに……。




いやぁ、ホント。ズリーわ。イケメンってホントずりーわ。

無自覚装うのが、余計ムカつきますわぁ。


三矢の気持ちには自分も同意です。


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