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よし。
図書館に行こう。
現在の時間はPM6:00。
ログアウトするのはPM11:00位だからまだまだ大丈夫だね。
ちなみにゲーム内時間と現実の時間はリンクしている。
サービス開始がPM1:00だったかな?
一応学生の身分だが、特に問題ない。
今日は夏休み初日だからね。
リアルなんてどうでもいい。
図書館に行こう。
近くの人に聞いてみると、図書館は北エリアにあるらしい。
歩きながら何を調べるか考える。
とりあえず自分が持っているスキルについての情報かな。
まあよくある「文字が読めない! 」なんてことにはならないと思うし、もし他の言語の本が必要なら《翻訳》を取るから大丈夫かな。
あと《速読》スキルを取れるかな、という淡い期待もある。
そんな事を考えていたら図書館に着いた。
かなり大きい建物だ。今まで歩いてきた感じだとこの街で一番大きいかもしれない。
翠雅は迷惑になっちゃうかな?
帰還させとこう。
「リターン! 」
図書館に入る。
カウンターには翼が生えてるお姉さん。
【天使族】っぽい。
余りにも気になったので声をかけてみる。
「すみません。図書館について、なにか決まり事とかありますか? 」
「えーっとね、飲食禁止、静かにするのは勿論、勝手に持ち出したら強制転移だから気を付けてね。それで、閲覧するのは無料なんだけど、借りるなら会員登録しなくちゃいけなくて、100Gかかっちゃうの。どうする? 今作っとく? 」
「あー......お願いします。」
100Gを払って会員登録をし、会員証を受け取る。
名前 図書館協会会員証 重要アイテム
レア度 5
詳細 極々普通の材質不明のカード。破壊、紛失不能アイテム
どこが『極々普通』だよ。
胸ポケットとかに入れとこうかな。
って言うか今気づいたけどすごいフランクな司書さんだな。
もしかして......
「ええ。プレイヤーよ。」
「へぇ......ってなぜ分かったんですか!?」
「図書館ではお静かに。あなた、気を付けた方がいいわよ。考えてる事が唇に出る癖があるみたいだから。まあ、《読唇術》のスキルがないと何を言ってるか分からないと思うけどね。」
「あ、《読唇術》スキル持ってるんですね。いつかわたしも取得する予定なので、その時はいくつかレクチャーしてくれると嬉しいです!」
「へえ、そうなんだ。私はシオリ。フレンド登録、しない? 」
「あ、是非! 私はサラサです! 」
送られてきたフレンド申請を受諾する。
2人目だ。100人いけるかな?
「本題に戻るけど、どんな本を探しているの? 」
「えーっと......スキルに関する本です。」
「分かったわ。そこのテーブルで待っていて。」
テーブルで待つ。
......スキルとしか言ってないけどどのスキルか分かるのかな?
あ、シオリさん来た。
初めての短剣術、魔法事典、魔法系生産レシピ、アインス・ミュージックの4冊を持っている。
「妙にピンポイントですね、また唇に出てましたか?」
「いや、短剣は腰から下げてるし、実はさっき狩りに出ててね。あなたの演奏、聴いてたの。フクロウを連れてたから【召喚士】だって分かったし。魔法系生産は純粋に私も読もうかな、って。」
「なるほど。名推理ですね! ちなみに、どんな生産スキルをお持ちで? 」
「《魔法書製造》よ。 」
見事に本ばっかりだな。
「本、ありがとうございます。メモできる物ってありますか?」
「ペンなら貸し出せるけど......あ、《製紙》の練習で作った紙束があるけど、使う? 」
「ありがとうございます! 」
シオリさん、《製紙》持ってるんだ。紙売って貰えないかな......?
「シオリさん、魔法紙とか作れたりします? 」
「え、ええ。」
「売って貰えませんか? 」
「良いけど、何に使うの? 」
「私、《呪符作成》持ってて、でも呪符に使う魔法紙が作れなくて困ってたんです。」
「なるほど。じゃあ、お金はいらないから、作った呪符を少し分けてくれないかな? 」
シオリさんマジ女神。
「分かりました。受取日から3日以内に1/2の数の呪符をお渡しします。属性とか、指定はありますか?」
「私は《光魔法》と《回復魔法》を持ってるから、それ以外の物をお任せで。じゃ、今渡すわね。」
「ありがとうございます、って多くないですか!? 100枚位ありますよ!? えーっと、3日後に50枚、お渡ししますね。」
「ええ、楽しみに待ってるわ。」
本来の目的の読書に入る。
《翻訳》スキルは必要ないようだ。
だが困った事態が。
本を読んでいると何故かMPが減っていくのである。
シオリさんに聞いてみると、
「《速読》スキルを取ればMPは減るけど多く読めるわよ。職業か【司書】だと減らないんだけどねぇ。」
「鬼畜仕様ですね......」
夢の読書ライフは無理そうだ。
作者は学生なので、この時期期末テストがやって来るんです。
更新がとても遅くなります。すいません。
期末テストは月末ですので、来月からは更新ペースを元に戻します。